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失われた根1
静は坤宮へと馬を走らせていた。
静の馬の後ろには、従者として麒鞠の近衛兵が付いてきている。坤宮の定礎として封印されていた未の根が失われたことにより、坤宮周辺の土地がどんどん痩せていっている、との報告が坤宮の当主から、中宮へと上がってきていたのだ。
坤宮の周辺は田畑が多く、また貴金属の出土が多い。陽光と豊かな水源にも恵まれており、豊かな土地として知られている。坤宮の土地が瘦せていっているとの報告はにわかには信じがたかった。
静自身も驚きではあったが、寛麒もまた、
「坤宮の土地が痩せている。さらに根が失われるとは、そうはないことだね」
と飄々としつつも、驚きの色を隠せないようだ。
静には、
「もしよければ偵察に行ってくれないか?」
と寛麒は言う。
婚姻後も、自由に中宮を出入りしていた静ではあったが、武術の修行が滞っていたこともあり、退屈していたのも確かだ。新しい任務は、静をにわかに勢いづけるには十分だった。
「ぜひ、参ります」と前のめりになって言う静に、寛麒は笑う。よろしく頼んだよ、と言うのだった。




