表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

木屑の舞う夜に――双子の掃除屋

作者:月影の書記
セントクリーン市――魔法と科学が混在するこの小都市で、幼くして両親を失った双子の姉弟、ミナとレンは「掃除屋」として生計を立てていた。

姉のミナが持つのは、触れたものをほんの少しだけ脆くする魔力。弟のレンが持つのは、逆にほんの少しだけ頑丈にする補修魔力。二人の力は単体では些細なものだが、互いをぶつけ合い、補い合うことで、どんな汚れも傷も「なかったこと」にできる。これが、彼らだけの"地味チート"だ。

地道に小さな依頼をこなし、町の住人たちから少しずつ信頼を得ていく双子。いつしか彼らの手仕事はSNSで話題となり、やがて市内屈指の大手リフォーム企業「グランドクリーン社」から、歴史的建造物の大規模改修という大仕事が舞い込む。

しかし、これは同時に、ミナの心に潜む過去のトラウマを呼び覚ます契機だった。

「崩れゆく闇の中で」――幼い頃、魔力暴走で両親を失った悲劇のフラッシュバックに襲われるミナ。歴史的建造物の梁(はり)の上、パキッという不穏な破裂音、冷たい風と舞い上がる木屑、そして心臓の軋む音が彼女の精神を追い詰めていく。ミナの魔力が暴走し、梁に亀裂が走ったその瞬間、レンは渾身の補修でなんとか崩落を食い止める。

息をのむ静寂の中、互いを信じ、赦す短い言葉を交わした双子は、これまで以上に固く結束する。

同じ頃、グランドクリーン社では、効率重視の経営方針に反発する若手幹部エレナとベテラン職人カイルが、双子の"職人技"に共感し、立ち上がる。エレナは一度は否決された新部署設立案を胸に、冷笑と無言の圧力に耐えながら再起を誓う。

果たして、双子はこの難局を乗り越え、歴史的建造物を守り抜くことができるのか? そして、彼らの出会いが、閉塞感に満ちた大企業に新たな風を吹き込むことになるのだろうか?

これは、双子の地味な魔法が紡ぐ、小さな奇跡と絆の物語。心を磨く掃除屋が歩む、清々しい成長の物語が、今、始まる。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ