第1話 最高な夢?
韓ドラを見すぎた結果創造が掻き立てられ、初めて書いてみました。
10話ほどで完結予定です。
生まれて初めて物語を書いてみたため、拙い点が満載だと思うのですが、駄文と思って見守っていただけると幸いです。
後々じゃんじゃん加筆修正してしまうかもしれませんがご了承ください…。
【追記】相手役の名前は特定の人が連想されないように考えたつもりですが、男性アイドルの方と同じお名前でした…。造形美的には確かにお美しい方なのですが、該当の方でイメージはせずに、読者の方の中の推しのイメージで楽しんでいただけると幸いです。
私、北村 昴は都内の美大に通っている普通の23歳女子で、授業とバイトの往復というなんとも平凡な日々を過ごしている。最近のマイブームは、たまたま友人に教えてもらった韓国ドラマにハマってしまい、もうすぐ最終回なので放送済みの回を何周も見返すことである。
そんな私のことだから、確か、いつもと同じように大学に行って、バイトから帰ってきて、韓国ドラマを見返して、眠りについたはずだったのに——。
ーーーーーー
徐々に浅くなってくる眠りの中で、ふと周りの音が聞こえてきた。
韓ドラ見直しててそのまま寝落ちしちゃったかぁ...などと思いながら、段々と思考が冴えてくる。
あぁ……いま何時だろ……あれ…ちょっと待てよ
「やばい今日バイトじゃん!!!!!!!!!」
ガバッと立ち上がった私の目に映ったのは、
私の部屋じゃなくて教室風の場所。
周りにいるたくさんの人たちの視線が集まるのを感じる。
「え…!?な……?!」
どこここ、なにここ…?!?!?!え、なんで私寝巻きじゃないの??なにこれ制服??なにどういうこと!!!?????
頭の中の混乱が限界に達して瞬間的に足がふらつき、椅子に足が引っかかって通路側にベチーン!!と倒れ込んでしまう。と、同時にマイクを通したような音声が流れてきた。
「はいカットーーーーーー!おーーーいF役、しっかりしてくれよーーーー」
大丈夫?と周りの席の数人が声をかけてくれる。
混乱した頭でも恥ずかしさは感じるもので、咄嗟に「す、すみません、大丈夫です、ごめんなさい」と謝りながら元いた席に座る。
ちょっと待ってなにこれどうなってるの…
呼吸を整えながら周りを見渡してみると、周りの生徒の制服に見覚えを感じた。
ん…?待って…これ…「わたキャン」の制服に似てないか…?!
最近ハマった韓国ドラマ『私たちのキャンバス』は高校を舞台に繰り広げられる青春ドラマで、最終回間近となった今、私は最初から見返すことに勤しんでいる。
その『私たちのキャンバス』(通称:わたキャン)の舞台となる高校の制服にそっくりだ。
水色がかった白半袖が爽やかで、短すぎないグレーのスカートがやっぱり可愛い。
コスプレイベントか何かか…??っていやいや、コスプレはしたこと無いし第一ここに至るまでの記憶がない。撮影者とか他にも人がたくさんいるし、なんなんだこの状況は…?
まだ夢見てるのかな…それにしてはさっき転んだ時の痛みがリアルすぎるでしょ…
必死に思考を巡らせていると再びマイク音声が聞こえてきた。
「アクション!」
はっとして周りを見渡すと、教室前方にいる生徒らしき人たちが喋り出す。
ー なあなあ、聞いたか、ジュンソがまた賞とったんだって
ー すげ〜よな〜〜〜顔も良くて、勉強もできて、芸術も嗜んでらっしゃるなんて
ー ほんと、カッコいいにもほどがあるのよね、本物の王子様だわ…
ー はいはいお喋りはそこらへんにして、今日の分のプリント、王子にも渡しときなさいよ。
ー はーーい!
会話が進む中で気づいてきた。
これ、わたキャンの序盤シーンそのままじゃない…?なんで…?
焦る気持ちを落ち着けたくて窓の外に目をやろうとすると、ふと、窓に映っているはずの自分が目に留まった。
わたしの顔じゃ…ない…?
とんでもない考えが頭をよぎる
もしかして私、わたキャンのモブ役女優になってるの…?!
「カット!OKーー!」
周りの人たちがゾロゾロと移動し始める。
よく分からないけどこの夢に順応してみるか、と思ったのだけど、
「いたっ」
どうやらさきほどのすっ転びで足を少し痛めてしまったらしい。
参ったな…とため息をついたら、スタッフさんらしき人が近寄ってきた。
「…あーーさっき転んでた子ですよね、支えるんで移動しましょうか」
「あ、すみません…」
「大丈夫ですよ、このあとのシーンもう少し後だと思うんでしばらく休んでください。もし痛みが強くなるようだったら今日は全然帰ってもらっても大丈夫なんで」
「はい、ありがとうございます…」
待機エリアまで連れてきてもらって、私の荷物があるというところまで支えてもらった。
わけが分からない状況だし、ぶつけたお尻も頭も、ひねった足も、夢とは思えない痛みを感じていて頭が混乱して、椅子に座った途端思わず机に突っ伏してしまう。
か……帰りてぇ…いやどうせ家で寝てるだけだから帰ってるのも同然なんだけどさ…。
と、机に向かってため息を吐くと、肩をトントン、と触られた。
スタッフさんか…と思い「はい…」と気の抜けた返事をしながら振り返ると、
「さっき大丈夫でした…?」
「……?」
ジ!!????
ジェヒョン????!!!!!???!!!!!
私の目の前に、3Dの、いや4DXの、推しが、立っている。
『私たちのキャンバス』でW主演を勤めているうちの1人、ユン・ジェヒョンは世界的に有名な、26歳の若手韓国人俳優である。
スタイル抜群の185cmで程よく筋肉のついた体と、国宝級と言われている美しい顔立ちで人気上昇中。そのビジュアルから国内外のブランドモデルを務めるのはもちろんのこと、演技力も高く評価されていて出演作は軒並みヒット。ビハインド映像などでは美しい顔が時折見せる人柄の良い笑顔の目尻シワで、何人の視聴者の心臓に負担をかけたことか。
とにかく存在が美しく、尊いあのジェヒョンが、今、私の、目の前に立っているなんて!!
実際に見るとこんなに背が高くて顔の造形美すごくて肌が陶器みたいだなんて!!!!!AIが作ったんか?!?!?!?!?!
しかも作品の素晴らしさとキャラの良さから最推しになってしまったジュンソとして!!!!!!!!!信じられない!!!!!!!!!制服姿尊すぎるッうわーーーーッッ!!!
(すみません早口でごめんなさい!!)
「…もしかして頭ぼーっとしてる?結構強くぶつけましたか?」
夢、ありがとう…ありがとう、夢…
推し…ビジュ良すぎるよ…推しが私の顔の前で手をひらひらさせてるなんて…
「あ、いえいえいえいえ!ごめんなさい別件でぼーっとしてました!すみません!転んだのは全然なんとも無いです、ありがとうございます!!!!」
急いで深々とお辞儀をする。
ぼーっとしてごめんなさい、立てなくてごめんなさい!!せめて深くお辞儀を...!
「いやそんなそんな。良かったよ、派手に転んでるの見えてちょっと心配だったから。」
こ、こここ、こんなモブにも目をかけてくれているの??!!推しぃいいいい尊すぎだろおおおお
「あ、ありがとうございます!光栄です!!!!…撮影頑張ってくださいっ!!!」
私にできる限りの力で全力のお辞儀をすると、頭上からフフッというような小さい笑いが聞こえてくる。
やばい変なことを言ってしまったかもしれない、と不安になり顔を上げると、
ご尊顔が、微笑んでいる。あの、威力抜群の目尻のシワだ…。
「お互いにね。」
ん可愛いぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!
微笑む時右側の口角の方がやや高く上がるのそのまんまなんですけどぉおおおおおおおお!!!
これは夢じゃなくて天国なのか…?とフリーズしながらも、颯爽と歩いて去っていった推しの周りの空気をどうにか吸収しようと深呼吸してみる。
何回か深呼吸して落ち着いてきたところで少しだけ頭が回るようになってきた。リュックの中を確認すると台本らしきものがある。
読んでみるとやっぱり、今は多分わたキャンの撮影中で、私はどうやら同じクラスのモブ女子役女優なのだ。
私のセリフはとりあえずまだしばらく無いようなので、黙って静かにしていれば乗り切れる気がしてきた。
なにより、推しドラマの世界をこの目で見届けられるなんて…めっちゃいい夢じゃん!!!
そうと決まれば、さっきからなんかいい匂いもしてきてるし、お腹が空いてきた。痛みがあれば空腹もあるなんて、精度の高い夢だわほんとに!
少し休んだら足も楽になってきたので、ちょっとだけ歩いて散策してみると、キッチンカーが集まっていてご飯を食べてる人たちのいる広場を見つけることができた。
ん…?あれ…そういえばさっきの台本もそうだけど、キッチンカーに書いてあるのも韓国語じゃん…なのに…読めるんですけど!!!夢最高なんですけど!!もしかして、憧れていたあの夢が叶うのではないだろうか。
「美味しい…!!どれも美味しすぎる…!!!」
私がこんなに勢いよくトッポッキを食べながら大袈裟に見えるかもしれないくらい感動しているのには理由があるのです。
なんせ私は辛いものがそこまで得意じゃない。
中学生の頃、当時流行っていた激辛スナックでとんでもない目に合ってからというもの、私は辛いものがトラウマになってしまい食べるのを控えていた。
けど韓国語が読める体になっているというご都合主義のこの夢の中なら、もしかしたら憧れの韓ドラ常連メニューを食べられるのではと思ったんだけど大当たり!どれも辛くて美味しいよう(涙)(歓喜)
「ずいぶんうまそうに食べるね」
ふと後方頭上から落ちてきた推しの声に顔をあげると、ジェヒョン本人がいて思いっきりむせてしまう。
「ぐっ…ごほっげほっ」
「ごめんごめん、急に声かけて、大丈夫?水持ってこようか?」トントン
トントン…トントン…?
お…推しが背中を叩いてくれている…
推しの手が、私の背中に触れている…だと?!ゴクン
「…ぷぁっ!大丈夫になりました!すみません!」
すかさず身を避ける。推しの手を汚してはだめだ!!
「あ、よかった。…ここ座ってもいいかな?」と推しが向かいの空席を指すので
「もちろん!どうぞどうぞ」とすかさず快諾する。
「ご飯食べれてるなら本当に体調大丈夫そうだね。そんなにお腹空いてたの?」
「いや、私辛いの苦手だから食べたことなくて、それが今初めて食べられてすごく嬉しいんです!」
「ははは、そんなふうに見えないくらい普通に食べてるけど、本当に辛いの苦手なの?」
「はい、一蘭は赤いたれ抜いてないと食べられないですね」
「あ〜、一蘭ね。美味しいよね。日本食が好きなの?」
やべ、一蘭は日本食か。
「…そうですね、日本食が基本的に好きでしたね。けど今日から韓国料理派になりそうです!」
「そんなに気に入ってもらえてよかったよ、ケータリングもちょっと相談とかしたからさ」
そう言って微笑む推し(造形美すごい)をおかずにトッポッキを食べる。
こんな幸せな夢あっていいんか…!どうかお願いです、もう少しだけ、醒めないでください…っ!
そんなこんなで夢心地な中、思う存分撮影風景を見ながら全力で黙ってやり過ごし、なんとか1日が終わった。
不思議なもので、足が覚えているというか、なんとなく馴染みの良いと思うルートを辿ると自宅らしき部屋につくことができた。
普通のワンルーム。一人暮らしのようだ。
私のと似たような、生活感はあるけど派手じゃない部屋でなんだか落ち着くなあ、とベットにダイブしたところで気になった。
「私に電話したらどうなるのかな…!」たしかリュックに携帯が入ってたはず…。
「ふはは、読める、読めるぞ」と違和感なく電話アプリを開き、自分の番号を入力する。
かけてみると意外にもコールが鳴り始めて、わくわくしながら数コール待ったところでプツっとつながる音がした。
「…Moshimoshi?Daredesuka?」
「え」
プツっ
…びっっくりした…外国語が聞こえてきて思わず切っちゃった…。
けど…あれ、私の声だったよな…?夢設定細かいな…?
ふいにブブッと携帯が震える
見てみるとメッセージアプリに新着メッセージがきている。
何も考えず開いてみると、一番上のトークに、信じられないことが書いてあるのが目に入る。
【私とあなたはおそらく入れ替わっていると思います】
ここまでお読みいただきありがとうございます!
プロットベースでは完結しているので、頑張って書き上げます。
また読んでいただけるととても嬉しいです。
2025.4.1 海野