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第九十六話 エドガーと同じ動き

「さあ、どんどん行こうじゃないか」


レイモンドさんの声が響く中、俺は体勢を立て直して槍を構えた。


全身に痛みが走るが、ここで倒れるわけにはいかない。


(この人……強すぎる)


ロングソードを構える彼の姿には、全く隙が見当たらない。


それどころか、一瞬一瞬の動きが全て正確で、圧倒的な力を感じさせる。


「まだ立ちますか、天城くん。いいでしょう――もっと全力で来なさい!」


その声とともに、再び剣が空を切り裂きながら迫ってくる。


その瞬間、背筋がゾクッとした。


(この動き……)


レイモンドさんが剣を構えるその姿に、既視感が襲った。まるで――。


(エドガーさんの動きと同じだ……!)


俺の記憶に刻まれたエドガーの勇姿が脳裏に蘇る。


しかし、それは彼が密室で刺された、あの瞬間だけではなかった。


(あの時……俺はもっと前のエドガーを見ていた)


彼の死体に《過去視》を使い続けた時、俺はあの密室の事件よりさらに前の彼の記憶に触れていた。


エドガーは、一流のストレンジャーとしてダンジョン内で難敵のモンスターと対峙していた。


その動きは、攻撃と防御が完璧に調和したもので、一撃一撃が美しいほど正確だった。


――これが……一流のストレンジャー……。


その戦いを追体験する中で、俺は彼の視点、彼の動き、そして戦いに挑む気迫を体で感じていた。


エドガーの記憶を辿ることで、彼の戦い方が体に刻み込まれたような感覚があった。


(だからだ……だから、レイモンドさんの動きが読めるんだ)


レイモンドさんが剣を構える。


その動きがエドガーと重なり、次の一手が予測できた。


「見えた!」


俺は槍を振り上げ、盾を高く構える。


彼の剣が空を裂く瞬間、それをギリギリで受け流す。


「ほう……」


わずかに後退する彼の動きを見て、胸の中に小さな希望が灯る。


(見える……この動き、エドガーさんと同じなら――!)


「やるじゃないか、天城くん!」


レイモンドさんが再び剣を振り上げ、俺に向かって突進してくる。


槍で受け流し、盾で防御しながら、一瞬の隙を突いて槍を繰り出した。


「そこだっ!」


槍の先がレイモンドさんのロングソードを弾く。


その瞬間、彼の口元に微笑みが浮かぶ。


「いいぞ、その調子です」


しかし、彼の動きはさらに速く、重くなる。


ロングソードが光を反射し、剣圧が一段と増していく。


次の瞬間、レイモンドさんの剣が淡い光を纏い始めた。


その光は徐々に強さを増し、空間全体を包み込むように広がっていく。


「これは……」


その異様な気配に、思わず息を呑む。


レイモンドさんの足元から小さな光の刃が現れ、それが次々と増幅されていく。


彼の声が静かに響く。


「天城くん……ここからが本番です」


目が鋭く光り、ロングソードを振りかざす。


その剣先が天を切り裂き、眩い光の波動が広がる。


(やばい……次の一撃……どこか嫌な予感がする!)


眩い光が俺に向かって解き放たれた。



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