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第九十一話 世界に点在する4つのダンジョン

「天城くん、君は世界に4つ点在する古代のモンスターについて知っているか?」


イザナの言葉に、俺は首を振った。


「いえ……そんなものが存在するなんて、初めて聞きました」


「だろうな。これらの情報は政府機密扱いを受けている」


イザナが少し口元を緩めながら続ける。


「その4つの古代モンスターがいるのは、アメリカ、ドイツ、中国、ロシアのダンジョンだ。それぞれの政府が厳重に管理しており、一般のストレンジャーが足を踏み入れることは許されていない」


「それって、未到のダンジョン……?」


「ああ、もちろんそうだ。調査隊が命からがら逃げてきた報告によると、各ダンジョンには古代のボスモンスターが巣食っているらしい」


4つのダンジョンとボスモンスター

1.アメリカ:死の大渓谷ダンジョン

•名称:死の大渓谷(The Valley of Death)

•概要:砂漠地帯の地下に広がる巨大な渓谷型ダンジョン。灼熱の地形が特徴で、内部には火山活動が確認されている。

•ボスモンスター:灼炎巨人(Infernal Titan)

特徴:全身が燃え盛る炎で覆われた巨人。火山の力を操り、灼熱の溶岩を自由に操る。

2.ドイツ:無限迷宮ダンジョン

•名称:無限迷宮(Endless Labyrinth)

•概要:古代城塞の地下に広がる迷宮型ダンジョン。広大な迷路が広がり、内部の構造が頻繁に変化するため、脱出が困難。

•ボスモンスター:夜闇の魔王(Lord of Nocturne)

特徴:迷宮の主である闇の魔物。幻影や幻覚を操り、侵入者の精神を蝕む。

3.中国:霧の頂ダンジョン

•名称:霧の頂(Summit of Mist)

•概要:標高の高い山岳地帯に位置する霧で覆われたダンジョン。視界が極めて悪く、険しい地形がストレンジャーの行く手を阻む。

•ボスモンスター:霧竜王(Mist Dragon King)

特徴:霧を纏う龍。濃霧によって敵の視界を完全に奪いながら、雷撃と氷を操る。

4.ロシア:氷の虚無ダンジョン

•名称:氷の虚無(Frozen Void)

•概要:永久凍土の地下深くに広がる冷気のダンジョン。極寒の環境で、凍てつく氷の壁が行く手を阻む。

•ボスモンスター:氷獄の白狼(Frostbane White Wolf)

特徴:純白の巨大な狼。冷気を操り、周囲を凍らせながら獲物を仕留める。



「そして、その4つのダンジョンには、ある重要なものが眠っていると言われている」


「重要なもの……?」


イザナが真剣な表情で頷いた。


「《ダンジョンの記憶》を内包したオーブだ」


「ダンジョンの記憶のオーブですか……」


「そうだ。それぞれのダンジョンには、スペシリアが古代のボスモンスターを封じ込めた記憶が刻まれていると言われている。その記憶を宿したオーブを4つ全て集めれば――」


イザナは核心を語り始める。


「大魔導士スペシリアが編み出したと言われる伝説の大魔法を引き継ぐことができる」


その魔法が何をもたらすのか、イザナは静かに言葉を続けた。


「その大魔法があれば、ダンジョンゲートによる未曾有のスタンピードを制御し、世界平和をもたらすはずだ」


壮大な話を聞かされ、俺は言葉を失った。


「そんな……すごい話を、なんで俺に……?」


「日本最大のギルドリーダーとして、政府からこの話を聞いたんだ」


イザナが穏やかな口調で続ける。


「そして、君に伝えたいと思ったのは……」


「日本政府からの要請で、トップストレンジャーたちで遠征隊を結成し、この4つのダンジョンを攻略するよう依頼された」


「それに……俺が?」


「そうだ。S級ダンジョンでの君の動き、判断力、決断力、応用力……どれも見事だった。俺は君を、海外遠征チームの一員としてスカウトしたい」


その言葉に、胸が高鳴るのを感じた。


「ランクがBとかどうとか関係ない。本当の強さは心の中にある」


イザナのその言葉に、姉の記憶が蘇った。


「またいじめられたの? 蓮」「泣いてばかりじゃ、何も解決しないよ!」「アタシが一緒に行ってあげる!」「え? 僕は弱いから嫌だって? 何言ってるのよ」「本当の強さは、心の中にあるのよ」


幼い頃、いじめられて落ち込んでいた俺に、姉がそう言って背中を押してくれた記憶。


(……姉さん。俺、やれるかな……)


少しだけ涙が滲みそうになるのをこらえながら、俺はイザナを見上げた。


「……やります。やらせてください!」


俺の言葉に、イザナは満足そうに微笑んだ。


「よし。頼んだぞ、天城」


彼が差し出した手を、俺は力強く握り返した。


「ただ……遠征に出る前に、お願いがあります」


「なんだ?」


「エドガーの兄に、会ってきます」


その言葉に、イザナは少しだけ驚いたような表情を見せた後、静かに頷いた。


「いいだろう。時間の許す限り、しっかり話してこい」



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― 新着の感想 ―
能力を他人に教えるかどうかでかなり効率は変わるな(; ・`д・´) 教えた場合のメリットはパーティ、ギルド?クラン単位での能力の底上げが出来る。特にガラクタ集めが効率的に出来るかも?デメリットは悪…
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