表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

90/226

第九十話 私たちの誰を選ぶの/選ぶんですか!?


リナ、朱音、リン。


三人の美少女に取り囲まれた俺が焦る中、


空気を読まずに社会人ストレンジャーたちが酔っ払い状態で俺に絡んできた。


「天城、さっきからずっと思ってたんだけどよ」


ずずいっと隣に来た討伐隊攻撃班のリーダーが、酒の勢いでにやりと笑いながら尋ねてきた。


「お前、この3人のうち誰が彼女なんだ? まさか全員か?」


「えっ!?」


その言葉に、俺は手に持っていたグラスを落としそうになった。


俺の周りに集まってきていた他のギルドメンバーたちも興味津々でこちらを見つめている。


「ち、違いますって!」


慌てて否定しようとしたその時――。


「私です!」

「違う! 私よ!」

「そ、それなら……私だって……!」


リナ、朱音、リンが同時に声を上げ、手を挙げて火花を散らした。


周囲が一瞬静まり返る。


「お前、本当にモテモテじゃねえか……」


「ハーレムか!? ハーレムなのか!? クソっ! 羨ましすぎるぞ……!!」


社会人ストレンジャーたちがなぜかショックを受けたように塞ぎ込んでしまう。


慌てる俺を尻目に、


「そうだ、だったら、あの続きをしましょうよ!」


リナが、にっこりと微笑む。


「そうですね。リナと私、どっちを取るのか決めてもらいましょう」


朱音がそれを受けて提案する。


「えっ……!?」


俺が驚いていると、その話を聞いたリンが小さく手を挙げた。


「今なら……私も間に合いますよね?」


「いやいや、何の話をしてるんだ!?」


「じゃあ私から!」


リナが自信満々に胸を張る。


「まず、サポートは私が一番得意! 一緒に配信もできるし、絶対に楽しいよ! お金だってあるし、一緒にいろんなところに行ける!」


「いや、お金は関係ないだろ……!!」


「それに……どうしてもっていうなら、メイド服とか着てあげる!」


「着なくていいから!!」


リナの大胆すぎる発言に俺は突っ込まざるを得ない。


「次は私!」


朱音が真剣な表情でこちらを見つめた。


「学校のクラスメイトとして、私だってしっかりアシストできる。一緒にダンジョンも楽しく潜れるし、それに私の方が小さい頃から天城くんのこと知ってるんだから!」


「それは……まあ、そうだけど……!!」


「お昼にお弁当を作るって約束もしたでしょ? お、お、お嫁さん……になる自信もあるんだから!」


「え、お嫁さん……!?」


朱音の発言に、俺も言った朱音も顔が真っ赤になる。


「えっと……じゃあ私も……」


リンが恥ずかしそうにしながらも、一歩前に出てきた。


「一緒にS級ダンジョンをクリアして絆ができました。そして……天城さんのアシスト魔法なら、私が一番得意です!」


「それは確かに……」


「あと……天城さんのためならどんなことでもします! どんなコスプレだってするし、ツンデレになれと言われたらやってみます!!」


「ええっ!? コスプレ!? ツンデレ!? なんでそうなるんだよ!?」


リンの突拍子もない発言に、今度は俺は思わず突っ込んだ。


とにかく三人は全く引き下がらない。


周囲のストレンジャーたちは固唾を飲んでその様子を見守っている。


「「「さあ、誰を選ぶの/選ぶんですか?」」」


「いや、えっと、その……」


三人のタイプの異なる美少女からのアピールに、俺は押されまくってしまう。


「「「さあ、早く!!」」」


う、う……!


言葉が何も出ず、焦っていると……。


「そうよ。天城くんのこと、まだ信用できないわね」


朱音も腕を組んで言う。


その時。


「天城! そこにいたか!」


酔っ払ったイザナが笑いながらこちらに歩み寄ってきた。


そして、突然肩を組んできて俺を引っ張る。


「ちょ、イザナさん!? さ、酒臭い!! 何ですか急に!」


「いいじゃないか、こっちで一杯付き合え! いやあ、今日は本当に最高の祝賀会だ!」


「いや、俺、まだ未成年です!! ちょっと――」


三人の視線を背に受けながら、俺は強引に連れ去られる形となった。


(た、助かったのか……?)


※ ※ ※


引っ張られて連れて行かれたのは、パーティ会場のVIPスペース。


イザナとその側近のみが使用していたところだ。


「いやぁ天城よ! さいっこうのパーティだなぁ!!」


酒の勢いがあるのか、イザナはそこに俺を誘い、ソファに座らせた。


「まあ、はい……」


「よし、この場所なら、《盗聴》スキルを持っているストレンジャーからも盗み聞きされる恐れもなさそうだな」


「え……?」


気づけば、消音魔法があたりに展開されている。

イザナがかけたのだ。


「まさかイザナさん、さっきのって……」


「いや、演技半分、酔っ払い半分だよ。これで君と真剣な話をできるね」


「真剣な話……?」


「君にだけ、伝えたい」


真面目な表情でイザナは語り始める。


「ランク分類不能の、大魔導士スペシリアが封じ込めたと言われている古代のモンスター」


「えっ……」


その言葉に、体が硬直する。


「世界に4つ点在する、封じられた禁忌のダンジョンの攻略だ」


「スペシリア……!? 古代のモンスター……!?」


その言葉に俺は衝撃を受けた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ