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第八十話 S級ダンジョンへ


箱根から急いで家に戻ってきた俺は、改めてスキルの確認をする。


目の前に浮かび上がったウィンドウ。


その中に表示された「スキルツリー」の言葉に、俺の心臓は高鳴っていた。


【スキルツリー】

•現在:過去視(Lv.10)

•次の進化:過去視:改(ロック中)


(これが……《過去視》のスキルツリー……!)


今の俺が到達した場所は、スキルツリーの入り口にすぎない。


次の進化の先には「過去視:改」と書かれており、それが解放されることで、A+級アイテム以上――S級アイテムの封印を解放できる可能性が高い。


(この力があれば……!)


拳を握りしめ、俺はその文字を見つめた。


「スキルツリーを進むには、スキルを使い続けることだったよな……」


俺は自然と口元を緩めた。


「それなら、俺の得意分野だ」


S級ダンジョンボス討伐まであと3日。


それまでにスキルツリーを進め、「過去視:改」を解放する必要がある。


俺はこれまでと同じようにスキルを発動し続け、限界まで使い込むことを決意した。


「やるしかない!」


スキルを使いながら、アイテムの進化を繰り返す日々が続く。体は悲鳴を上げているが、気力だけで乗り切った。


その日。


俺はリナからのメッセージで目を覚ました。


『最近ぜんぜん相手してくれないじゃん! なにやってんのよー!』


スマホの画面に映る彼女の怒りマーク付きのメッセージに、思わず苦笑する。


(ごめんな……でも、今回ばかりは……)


彼女を心配させたくない一心で、俺は軽く誤魔化すような返信を打った。


『最近ちょっと忙しくてさ。わるい、また時間ができたら連絡するよ!』


『ほんと!? 絶対だよ! 約束だからね!』


そのメッセージのやり取りが終わると、次は月宮朱音からのメッセージが届いた。


『最近、学校休みがちだし、来ても上の空だし……大丈夫?』


彼女からの心配の言葉に、胸が少し痛む。朱音の優しさが伝わってくる分、余計に答え方に悩む。


『ちょっといろいろあって……でも、大丈夫。気にしてくれてありがとう!』


『無理しないでね。いつでも相談していいんだからね』


その言葉に感謝しつつ、俺はスマホを置き、S級ダンジョン討伐の準備を始めた。


(今日は……ついに、S級ボスとの戦いだ)


ダンジョン探索の支度を全て整えて現地に着くと、そこにはアカツキブレイドの幹部たちが20人ほど集まっていた。


その中には、ギルドリーダーのイザナ=カグラもいる。


「来たな、天城くん」


イザナが俺に向かって微笑む。


その顔には余裕と自信が漂っていたが、彼の目には隠しきれない緊張感が宿っている。


「イザナさん、よろしくお願いします」


深く一礼すると、彼は軽く頷いた。


「今日の討伐は、我々幹部だけでは成し得ない。キミの力が必要だ」


「……俺で役に立てるなら」


その言葉に、イザナは少しだけ口元を緩めた。


「キミがいてくれて、心強いよ」


目の前に立ちはだかるのは、異様な威圧感を放つS級ダンジョンのゲート。


深い紫色の光がゲート全体を包み込み、触れれば吸い込まれそうな不気味さを感じさせる。


「これが……S級ダンジョン……」


心臓が高鳴るのを感じながら、俺は手に持った武器を強く握りしめた。


「さあ、行くぞ」


イザナの号令とともに、幹部たちが次々とゲートの中に足を踏み入れる。その後ろ姿を見ながら、俺もゆっくりと足を進めた。




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― 新着の感想 ―
なんで一人で準備しているのか、全く意味がわからない。
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