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第七十六話 進化の修業とランクアップの特訓

俺はそのメッセージを読んで、感慨に耽ると共に、後で必ず連絡しようと心に誓った。


あとで、としたのは、今は目の前に『やるべきこと』があるからだ。


連絡はその後でも遅くはないだろう。


俺は机に広げたジャンク品をじっと見つめていた。



これまで《過去視》を使い、数多くのゴミアイテムを進化させてきたが、A+級が出現したのはただ一度だけだ。


(なぜ、あの時だけA+級に進化したんだ……?)


頭の中で記憶を呼び起こしながら、手元のノートに可能性を書き出していく。


【進化の可能性】

1.アイテムの種類が関係している

2.スキルの使い方に何か特別な条件がある

3.封印の解放にタイミングが関係している

4.複数の条件が重なって発動した可能性


(アイテムの種類か、それともスキルの使い方か……?)


あの時進化したA+級アイテム――叡智のクリスタル。その唯一無二の存在が脳裏をよぎる。


(もしかすると、あのクリスタルこそが進化のヒントなのかもしれない)


次の日、俺はジャンク商会に足を運び、使えそうなジャンク品を集めることにした。


店内には、いつものマッチョ店員が待ち構えている。


「おいおい、また来たのか? 相変わらず変わったもんばっかり持ってくな」


「いつもお世話になってます」


短く答えながら、俺は店内を物色する。すると、ふと彼が腕を組みながら言った。


「そういや、最近流行ってる冒険者配信のこと、あんま詳しくないけど……お前もやってたりするのか?」


「い、いえ、そんなことないですよ! えっと、店主さんは見てたりするんですか?」


「いや、全然! ああいうの苦手でよ」


「そ、そうですか!」


思わず過剰に否定してしまい、胸の内で冷や汗を流す。


(幸い、この人は配信を見てなさそうだ……ホッとした)


部屋に戻った俺は、ジャンク品に向き合い、スキルを発動した。


視界が微かに歪み、1秒前の過去が浮かび上がる。


「《過去視》!」


(これを何百回、何千回と繰り返して……)


頭の中でイメージを組み立てながら、スキルの使用を重ねる。


時間が進むにつれ、疲労が蓄積していくが、手を止めるわけにはいかなかった。


【進化の過程を記録】

•アイテム1:A級進化成功(特性に変化なし)

•アイテム2:A級進化失敗

•アイテム3:進化不可


「なぜだ……!」


メモを取る手を止め、俺は頭を抱える。


進化の条件が見えそうで見えないもどかしさが、胸の中で苛立ちを生んでいた。


その時、机の横に置いていた目覚まし時計が鳴り響いた。


「もうこんな時間か……」


頭を上げると、窓の外には朝の光が差し込んでいる。


徹夜で解析を続けた疲労が体に重くのしかかっていたが、休んでいる暇はない。


(ランクアップのための経験値稼ぎもしないといけない……)


俺はマジックバッグを持ち、準備を整えると、次の目的地である「黒焔の坑道」へと向かった。


【黒焔の坑道】

•ランク:B級ダンジョン

•特徴:坑道内で火属性魔物が多く出現する。冷気や水属性スキルが有効。

•必要装備:火耐性装備、ポーション


坑道に足を踏み入れると、辺りには熱気が漂い、壁には赤く光る鉱石が埋め込まれている。


遠くから魔物の気配を感じながら、俺は静かに槍を構えた。


「ここで稼げるだけ稼ぐ……!」


目の前に現れたのは、火属性の魔物「フレイムウォーカー」だった。


ぐるる……!


その姿は炎で包まれた獣のようで、爪を振り上げてこちらに突進してくる。


【モンスター情報】

名前:フレイムウォーカー

ランク:B級モンスター

HP:320/320

スキル:火炎の爪、自己燃焼


「うおおおおおっ!」


俺は氷刃の双剣を握りしめ、敵に向かって駆け出した。


「《フローズンエッジ》!」


冷気を帯びた刃がフレイムウォーカーを切り裂き、その動きを封じる。同時に、後方から新たな魔物の気配を感じ取る。


「次だ……!」


何体もの魔物を相手に、戦闘を繰り返しながら経験値を積んでいく。


ダンジョンから帰宅後、俺は再び机に向かい、《過去視》スキルの解析に取り掛かった。


(寝る暇なんてない……1週間でできる限りの準備をするんだ)


アイテム進化の条件を探りながら、再びスキルを発動する。


「《過去視》!」


スキルの光と、ノートに書き記されたメモが増えていく。


その合間には、目覚ましのベルに促されるようにしてダンジョン探索へと向かう。


(S級アイテム……そしてランクアップ……)


頭の中でその目標を繰り返しながら、俺は限界まで動き続けた。




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