第六十三話 とっておきのA級アイテム
(これを使う時が来た……!)
俺はマジックバッグから新しいA級アイテムを取り出し、装備を整えた。手にしたのは、過去視スキルで進化させた新たな武器とアクセサリーだ。
【装備アイテム】
【氷刃の双剣】
種別:武器/双剣
ランク:A
説明:氷属性の力を宿した双剣。冷気による追加ダメージで炎属性の敵に有利。
【付与効果】氷属性ダメージ+50%、攻撃速度+20%
【聖なるペンダント】
種別:アクセサリー
ランク:A
説明:装備者と範囲内の味方の状態異常を回復する特別なペンダント。
【付与効果】状態異常回復スキル
俺は新しいA級アイテムと共に、【蒼狼の戦靴】の力で一気に加速し、戦場に駆け込んだ。
(この速度なら……!)
ラヴァトロルの巨大な拳が振り下ろされる瞬間、俺はすばやく横にステップを踏んで攻撃を回避した。
「おおっ……!」
周囲のギルドメンバーたちが驚きの声を上げる中、俺は双剣を交差させてトロルの足元を斬りつけた。
氷属性のエフェクトが広がり、その一撃がボスのHPを大きく削る。
「天城くん、右手が来るよ!」
リナの声に応じて、俺はさらに距離を取った。トロルの火炎の拳が地面を叩きつけ、周囲に火柱が立ち上がる。
「……っ、ギリギリだった!」
「ナイス回避!」
リナが後方から親指を立てる中、俺は一瞬の隙をついて双剣を振り抜いた。その攻撃がボスの腹部を捉え、またしても大きなダメージを与える。
その時――ラヴァトロルの体が赤く光り始めた。
【スキル発動】
スキル名:溶岩の咆哮
効果:範囲内の敵に炎属性ダメージを与え、スタン効果を付与する。
前兆:体が赤く光り始める。
「危ない! 溶岩の咆哮よ!」
リナが叫ぶと同時に、スキルが発動した。
耳をつんざくような咆哮が響き、炎の波動が周囲を襲った。範囲内にいたギルドメンバーたちが次々と炎に包まれ、スタン効果で動きを止められる。
「ぐっ……体が……!」
「やばい……動けない!」
周囲が混乱に陥る中、俺は聖なるペンダントを手にし、スキルを発動した。
「《クリアフィールド》!」
ペンダントから放たれた光が周囲を包み込み、ギルドメンバーたちのスタン効果をかき消していく。同時に、傷ついた体力もわずかに回復した。
「動ける……!」
「ありがとう、天城さん!」
メンバーたちの体が次々と動きを取り戻し、再び戦闘態勢に戻った。
「すごい……状態回復スキルまで使えるなんて!」
「これならまだ戦える……!」
メンバーたちの士気が上がるのを感じながら、俺は再び双剣を構えた。
トロルが攻撃を仕掛けるタイミングを見計らいながら、俺は双剣を振り上げ、渾身の一撃を放つ。
その刃がトロルの腕を捉え、さらに足元を切り裂いていく。
氷の力がトロルの動きを鈍らせ、その隙を他のメンバーが攻撃で埋めた。
「天城くん、かっこいい! みんな、もっと盛り上がって!」
リナが配信コメントを読み上げながら声を上げる。
【配信コメント欄】
「天城すげえええ!」
「リナちん、ナイスサポート!」
「これが新時代の冒険者だ!」
「配信同接、今どんくらい?」
「天城くん、超推せる!」
俺は再び双剣を構え直し、トロルへの攻撃を続けた。ギルドメンバーたちの声援も力となり、戦場は次第に勝利へと近づいていく。
「これは……勝てるかもしれない!」
「ここまで削ったら、あとは押し切るだけだ!」




