表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

61/226

第六十一話 ランクアップ


古代遺跡をテーマにしたダンジョンを進みながら、俺とリナは会話を続けていた。苔むした石の壁が淡い光に照らされ、独特の神秘的な雰囲気を醸し出している。


「天城くんって絶対、ランクDとかじゃないよね?」


リナが歩きながらふと口を開いた。


「……何の話だ?」


「だって、B級モンスターをあんなに軽々倒すんだよ? もしかして、わざと低ランクのままにして正体を隠してるとか?」


「いや、全然そんなんじゃなくて」


俺は苦笑しながら首を振った。


「今こうやってダンジョン探索をできてるのも、本当に最近の出来事なんだ」


「そんなすごいスキルを持ってるのに?」


「つい最近まではゴミスキルって呼ばれてたよ」


俺の言葉に、リナが驚きの声を上げた。


「ゴミスキル……?」


「そう。《過去視》は、1秒前の過去しか見えない。ただそれだけのスキルだったんだ」


「そんなふうには見えないけど……」


リナが首を傾げながら考え込む。


「天城くんが、その不遇のスキルをうまく活用していったんだね」


「まあ、そうなのかもしれない」


「でも、ここまで来れたのはスキルのおかげだけじゃない。リナのサポートがあるからだよ」


「えっ、そ、そんなことないってば!」


リナが顔を赤くしながら慌てて手を振る。その仕草に、俺は少しだけ口元を緩めた。


そんな俺たちのやり取りを、配信コメント欄が逃すはずもなかった。


【配信コメント欄】

「天城お前…リナちんを何てことを!!」

「リナちん赤くなってる! 超可愛い!」

「これもう公式カップルってことでいいですか?」

「天城の爆発まだ?」

「このイチャイチャの続きはいつ見れるんです?」

「推しがイチャついてるとか…………最高です!」




「うわっ……またかよ……」


俺が顔を引きつらせる中、リナが笑顔でドローンに向かってウィンクを飛ばした。


「はいはい、リナ親衛隊のみんな! 天城くんと私は相棒だから! ラブラブじゃないからね! たぶんね!」


「たぶんって何だよ……」


俺が呆れた声を出すと、リナが楽しそうに笑い声を上げた。


そのとき、再び遠くから足音が響いてきた。


「来たぞ……」


「えっ、また!?」


リナが肩をすくめながら後退し、俺は槍を構えた。奥から姿を現したのは、新たなB級モンスターの一団だ。


【モンスター情報】


モンスター名:スケルトンウォリアー

種別:敵モンスター

ランク:B

HP:180/180

攻撃力:40

説明:古代遺跡を徘徊する骸骨兵士。高い防御力と迅速な動きで敵を翻弄する。

【スキル】

1.骨の刃:強力な斬撃を繰り出す

2.再構築:一定時間後に自己修復する


「スケルトンウォリアーか……!」


「これ、かなりタフそうだね……!」


リナが呟く中、俺は一歩前に出た。


「タフだろうが何だろうが、関係ない!」


「また出た! 天城くんの『関係ない』理論!」


リナが苦笑しながらドローンを操作する中、俺は槍を振り上げ、突進してきたスケルトンに向かって突進した。


槍の一撃がスケルトンの胸を貫き、その体を粉々に砕いた。同時に追加効果の衝撃波が周囲のモンスターに広がり、一瞬で2体を倒した。


「すごい! 天城くん、本当に強いね!」


リナの声が後方から響く中、俺は次のスケルトンに向かって槍を振り抜いた。その刃が骸骨の胴体を断ち切り、その体が崩れ落ちる。


「はあああああっ!」


最後のスケルトンに向かって槍を突き刺し、その巨体が地面に沈む音がダンジョン内に響き渡る。


「ふぅ……」


俺は槍を下ろし、息を整えた。


その時、耳元に軽い電子音が響いた。


【ランクアップ推奨】


現在のランク:D → 推奨ランク:C

冒険者ストレンジャーギルドでのランク更新を推奨します。


「ランクアップか……」


俺が表示を見て呟くと、リナが近づいてきて画面を覗き込んだ。


「おおっ! 天城くん、私と同じランクCだね! やったじゃん!」


「……そうだな」


俺が小さく頷くと、リナが明るい笑顔を見せた。


モンスターを全て倒し、ダンジョンの奥へと進むと、目の前に巨大な扉が現れた。両サイドには古代文字が刻まれており、中心には大きな紋章が描かれている。


「これは……」


俺が立ち止まり、扉を見上げながら呟いた。


「ダンジョンボスがいる部屋の扉か?」


「そうみたいだね」


リナが頷きながらドローンを操作し、扉の周囲を撮影している。


その時――扉の奥から、悲痛な叫び声が聞こえてきた。


「うあああっ……!」


「今の……聞こえた?」


リナが驚いた表情で俺を見上げる。


「ああ。行こう!」


俺は躊躇せず、扉に手をかけた。その先に待ち受けているものが何であれ、進むしかない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ