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第三十一話 聖剣エクレール

俺は聖剣エクレールを握りしめ、瓦礫を踏みしめながら前に走り出した。目の前でたじろいでいるブラッククロウズの3人に向かって一直線に駆ける。


「こいつ……!」


剣を失い、苦痛に顔を歪めている男がこちらを見て歯ぎしりをしている。その隣では、斧を構え直そうとしている男が、まだ衝撃の余韻で体を震わせている。そして、杖を持つ男も、先ほどの一撃で体勢を崩している。


(今しかない……!)


俺は走りながら考えた。


(さっきの剣の威力、尋常じゃなかった……)


聖剣エクレールから放たれた光の波動は、ただの攻撃力以上のものを持っていた。その理由に思い当たる節がある。


(この剣の付与効果――『悪意』に反応して、攻撃力を増幅する力……!)


本来、この聖剣は悪魔イービル系の魔物に対して特効を発揮する武器だ。しかし、人間相手でも、邪悪な意図や悪意を持った相手には同じ効果が適用される。


【聖剣エクレール】


種別:武器/剣

ランク:A

説明:光属性の魔法を込めた剣。攻撃範囲が広く、魔法を併用した高威力の一撃を繰り出すことが可能。

【付与効果】光属性ダメージ+60%、追加範囲攻撃、悪意感知特効(悪意を持つ対象へのダメージ増幅)


(あいつらの邪悪な意図が、この剣の威力を最大限に引き出しているんだ……!)


その事実を確信しながら、俺はさらに加速した。


「やらせるか……!」


剣を失いながらも、拳を握りしめて突進してきた男に対し、俺は聖剣を振り下ろした。


「これで終わりだ!」


光の刃が彼の体を包み込み、爆発的な衝撃が彼を吹き飛ばした。


「ぐあああっ!」


壁に叩きつけられた男は、そのまま動かなくなった。


「くそっ……こいつ!」


斧を構え直した男が、渾身の力を込めて横薙ぎに攻撃を繰り出してきた。その一撃は重く、威力も申し分ないが――


「遅い!」


俺は蒼狼の戦靴の俊敏性でその一撃をかわし、すれ違いざまに聖剣を振り抜いた。


「うおおおっ!」


光の波動が斧を持った男の体を貫き、そのまま彼を床に叩きつけた。


最後に残った杖使いの男が、呪文を詠唱しようと口を開いた。


「《アイススパ――」


「させるか!」


呪文が完成する前に、俺は聖剣を構え、全力で突進した。その一撃が彼の胸元に直撃する。


「ぐはっ……!」


杖を落とした男が、後方へと吹き飛び、そのまま床に倒れ込む。


「やった……!」


ブラッククロウズの3人が完全に動きを止めたのを確認し、俺は息を整えながら剣を下ろした。全身に痛みと疲労が残っているが、心の中には確かな達成感が広がっている。


「これで……先に進める」


聖剣エクレールを握りしめながら、俺は再び目の前の宝物庫の扉を見据えた。



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