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第二十六話 ダンジョンボス戦③


「ドンッ!!」


ゴーレムが再び拳を振り下ろしてきた。その一撃は「岩砕き」のスキルによる広範囲攻撃で、床一面に衝撃波を走らせる。瓦礫が跳ね上がり、部屋全体が激しく揺れた。


「くっ……!」


俺は蒼狼の戦靴の力を最大限に発揮し、素早くその場から跳び退いた。ゴーレムの拳が直撃した場所には巨大なクレーターができ、破片が周囲に飛び散る。


(危なかった……)


九死に一生を得た俺は、乱れた呼吸を整えながらゴーレムを見据えた。


「ドンッ、ドンッ!」


巨大な体を揺らしながら、ゴーレムが再び腕を振り上げる。その動きから、次のアースクエイク攻撃を仕掛けようとしていることが明らかだった。


「!!」


俺の心臓が跳ね上がる。あのスタンデバフを食らえば、再び動きを封じられてしまう。


(でも……ここだ!)


決意を固め、俺は猛然と走り出した。


「うおおおおおお!!」


靴の効果を最大限に活かし、足に全力で力を込める。だが、向かう先はゴーレムではなく壁だった。


(壁走り……! もう一度挑戦するんだ!)


一度失敗した「壁走り」に再挑戦するため、瓦礫を避けながら一直線に壁へ向かう。そして――


「いける……!」


靴の軽さと俊敏さを信じ、一歩、二歩、三歩と壁を駆け上がる。蒼狼の戦靴の移動速度UP効果が体を支え、足が滑らずに壁面を捉える。


「できた……!」


壁を駆けながら、俺の胸に小さな達成感が広がる。だが、喜びに浸る間もなく、ゴーレムのアースクエイク攻撃が発動した。


「ドンッ!!」


巨大な腕が地面を叩きつけ、再び部屋全体を揺るがすような衝撃が走る。だが――


(スタンが来ない!?)


足を止めることなく壁を走り続けながら、俺はその事実に気づいた。


(読み通りだ! アースクエイク攻撃のスタンデバフは、壁には伝わらない!)


敵の攻撃は地面を基準とした範囲効果であり、壁にはその影響が及ばない。ホロウィンドウには「スタン:なし」の文字が表示されている。


(本当の地震ならこうはいかないんだろうけど、これは敵のスキル……予想が当たった!)


ゴーレムは大技を放った直後の硬直状態に入り、巨大な体が動きを止めていた。その隙を見逃すわけにはいかない。


「いける……!」


壁を伝って勢いをつけた俺は、思い切りジャンプしてゴーレムの大きな背中に降り立った。その巨体を足場にし、さらに頭部へと向かって駆け上がる。


「ここだあああああ!!」


右手に持った天狼の槍を振りかぶり、ゴーレムの頭部に嵌め込まれた赤い宝石をめがけて力強く突き刺す。


【天狼の槍】


種別:武器/槍

ランク:A

説明:鋭い刃と高い攻撃力を持つ武器。スキル発動時に追加ダメージを与える能力を持つ。

【付与効果】物理ダメージ+40%、スキル発動時追加ダメージ


槍の刃が宝石を砕き、その破片が光を放ちながら四散する。同時に、ゴーレムの赤い目の輝きが消え、巨体がゆっくりと傾き始めた。


「……やったのか?」


足元が揺れる中、俺はゴーレムの動きをじっと見つめた。その巨体がゆっくりと崩れ始め、瓦礫と共に床へと崩れ落ちる。


ゴーレムが完全に動きを止めた瞬間、耳元に軽い電子音が響いた。同時にホロウィンドウが浮かび上がる。


【経験値獲得】

巨大ゴーレムを討伐しました。

ランクポイントを大幅に獲得しました。


【アイテム獲得】

1.【砕けたゴーレムコアの欠片】×1

2.【ゴーレムの拳】×2

3.【古代の宝石】×1


【ランクアップ】

ランク:E → D


冒険者ストレンジャーギルドでの登録更新を推奨します。


「……ランクが上がった……」


ホロウィンドウに表示された文字を見つめながら、胸に充足感が広がる。ついに俺はランクDに到達した。まだまだ上を目指す道は遠いが、確実に前進している。


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