第二十三話 指輪の威力
俺は静まり返った部屋の中央で肩を落とし、ゆっくりと深呼吸をした。先ほどまでここを埋め尽くしていた青ゴブリンの群れを、どうにか全滅させた。だが、それでも気を抜くわけにはいかない。
「ふう……まだ終わりじゃないな」
マジックバッグからアイテムを取り出し、一つずつ装備していく。右手には蒼炎の古杖、左手には天狼の槍。指には祝福の指輪をはめ、足元には蒼狼の戦靴を履く。
【装備アイテム】
1.【蒼炎の古杖】(Aランク/炎属性ダメージ+50%)
2.【天狼の槍】(Aランク/物理ダメージ+40%、スキル発動時追加ダメージ)
3.【祝福の指輪】(Aランク/魔力+15%、体力自動回復)
4.【蒼狼の戦靴】(Aランク/移動速度+20%、ジャンプ力+30%)
全身が再びA級アイテムに包まれると、自然と自信が湧いてくる。俺は再びダンジョンの奥へと足を進めた。
瓦礫が積み重なる通路を進む中、いくつかの小さな箱を見つけた。埃をかぶったその中身を確認すると、どれも錆びついた武具や壊れたアクセサリーばかりだ。
【回収アイテム】
1.【古びた指輪】(ランク:F-)
2.【ひび割れた盾】(ランク:F-)
「これも《過去視》で掘り起こせるかもしれないな」
そう呟きながら、拾ったアイテムをマジックバッグに収めた。
次の通路を進んでいた時、低い唸り声が聞こえた。音の方向へ慎重に歩みを進めると、暗闇の中からトカゲのような小型モンスターが姿を現した。
「リザードスカウトか……」
その鋭い爪と毒を滴らせる尾を見ると、一瞬だけ身が引き締まる。
【リザードスカウト】
種別:敵モンスター
ランク:D+
HP:42/42
攻撃力:15
説明:廃墟の迷宮に生息する小型モンスター。素早い動きで敵を翻弄し、毒を持つ尾で攻撃する。
【スキル】ポイズンテイル:毒の尾で攻撃し、継続ダメージを与える
「でも……さっきのゴブリンに比べれば怖くない」
俺はそう自分に言い聞かせ、杖を掲げた。
「《フレイムバースト》!」
杖から放たれた炎の柱がリザードスカウトに向かって飛ぶ。だが――
「速い!」
リザードスカウトはその小柄な体を生かして素早く跳び、炎の攻撃を回避した。次の瞬間には、毒液を滴らせた尾を振り上げてこちらに迫ってくる。
「来るなら……!」
俺は蒼狼の戦靴の力を発揮し、一気に後方へと跳んで間合いを取った。その動きが、リザードスカウトの追撃を完全にかわす。
【蒼狼の戦靴】
種別:防具/靴
ランク:A
説明:素早さとジャンプ力を飛躍的に向上させる魔法の靴。軽量で耐久性が高い。
【付与効果】移動速度+20%、ジャンプ力+30%
「こいつはどうだ!」
再び距離を詰め、左手の天狼の槍を振りかざす。その鋭い刃がリザードスカウトの胴体をかすめると、スキルの追加効果が発動し、衝撃波が小柄な体を吹き飛ばした。
「効いてる……!」
だが、リザードスカウトはまだ動きを止めない。その体が再び跳び、毒の尾を振りかざして突進してきた。
「ここで決める!」
至近距離で、俺は右手の杖をリザードスカウトに向けた。炎の力が杖の先端に集まり、赤い光を放つ。
「《フレイムバースト》!」
放たれた炎がリザードスカウトを直撃し、その場で燃え尽きるように崩れ落ちた。
「やった……!」
達成感に浸ったのも束の間、爆発の余波が俺の体にも及び、後方に吹き飛ばされた。
「ぐっ……!」
背中を地面に叩きつけられ、息が詰まる。体のあちこちが痛むが、致命傷ではない。
その時、祝福の指輪の効果が発動し、体の中にじんわりと温かさが広がっていく。
【祝福の指輪】
種別:アクセサリー/指輪
ランク:A
説明:かつての魔法効果を取り戻した指輪。装備者の魔力を高め、体力の自然回復を促す力を持つ。
【付与効果】魔力+15%、体力自動回復
「回復してる……?」
指輪の力で、体の痛みが次第に和らいでいく。その効果を感じながら、俺はゆっくりと立ち上がった。
リザードスカウトの残骸を見つめながら、俺は深く息を吐いた。
「……やっぱりA級アイテムはすごいな」




