表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

165/226

第百六十五話 白石結衣VS趙雪梅


「次、あたしが行くよ」


白石がスッと前に出た。


その瞳には決意の炎が宿っている。


「白石さん、お願いします!」


俺が声をかけると、白石は「任せて」と小さく頷き、滑走路の中央へと進み出る。


周囲がざわめき始め、先ほどまで大刀の勝利に沸いていた日本団メンバーたちも、次なる戦いに目を向ける。


対面から現れたのは、中国S級ストレンジャーの一人、趙雪梅ジャオ・シュエメイ


16歳という若さながら、流星錘(鎖付きの鉄球)を自在に操る腕前と、精密な攻撃センスが売りだという。


彼女は細身でありながら、武器を軽やかに振り回して見せている。


その冷え切った眼差しと鋭い笑みが、まるで白石を見下すかのようだ。


趙雪梅ジャオ・シュエメイ

年齢:16/性別:女性

武器:流星錘(鎖付きの鉄球)

特徴:遠距離でも近距離でも自在に戦える技量を備え、正確無比な狙いが武器。鋭い視線が印象的。


「女同士の戦いね。楽しませてちょうだい」


趙雪梅が冷笑を浮かべ、流星錘を一瞬だけビュンと振り回す。


鉄球が空気を切り裂く鋭い音が、観衆の耳に届き、周囲は再び興奮状態に包まれた。


「そっちこそ、私を楽しませてよね」


白石も負けじと微笑む。


だが、その奥には冷静な闘志が燃えているのが伺える。


二人の女ストレンジャーが対峙し、滑走路の中央で視線を交わす。


仲間たちや中国兵士たちが息を呑む中、“女と女の戦い”の幕が上がる。


※ ※ ※


あたし――白石しらいし 結衣ゆいは、しっかりと前を見据えた。


あたしは炎属性と回復系の魔法を得意とするS級ストレンジャーで、女性ながらも日本団の中核を担う一人だ。

これまで数々のダンジョンを攻略してきたけれど、この中国軍基地での“試合”は、また違った緊張感がある。


目の前にいる趙雪梅は、明らかにあたしを見下しているような態度。


16歳にしてS級という天才肌らしいけれど、その鋭い目つきと冷笑には嫌なものを感じる。


(甘く見ないで……。あたしだって、そんなに弱くないわよ)


「行くわよ!」


あたしはそう叫ぶと、両手を軽く前に出して魔法陣を展開。


すぐに炎の魔力が渦を巻き始める。


【S級スキル:爆炎の嵐】

効果:広範囲に爆炎を放ち、敵を焼き尽くす。


ゴオオッと燃え上がる炎の渦が、滑走路の空気を揺らしながら趙雪梅に向かって突き進む。


炎の熱気に観衆が息を呑んで後ずさりし、まるで灼熱の壁が生まれたかのよう。


しかし——。


「ふふ、こんなもの?」


趙雪梅は軽い足取りで後退すると、素早く流星錘を振り回して炎を掻き消す。


「えっ……?」


流星錘の鉄球が炎を切り裂くように軌道を描き、あたしの魔法を掻き乱してしまう。


(なに、今の!?)


「なら、もう一度……っ!」


あたしは悔しさを飲み込みながら、立て続けに炎を放とうとする。


しかし、その瞬間、流星錘がこちらに迫る。


鉄球がゴッと空気を砕くような音を立て、あたしの頭上を狙って高速で飛んでくる。


「くっ!」


咄嗟に炎の守護壁を展開し、バリア状の炎で防御する。


【S級スキル:炎の守護壁】

効果:炎のバリアで敵の攻撃を防御。


火花が散ると同時に鉄球が弾かれ、一瞬は防ぎきることに成功した……はずなのに、趙雪梅は次の手を既に打っていた。


「はは、甘いわね」


彼女が鎖を巧みに操り、鉄球を急回転させて別の角度から攻撃を繰り出す。


上段から守護壁で防げたと思ったら、次の鉄球はすでに下段へ軌道を変えて、あたしの足元を狙っていた。


(しまっ——)


「ぐっ……!」


足元付近に鉄球が直撃し、衝撃が走る。


咄嗟に炎の防御を再形成しきれず、あたしはバランスを崩して膝をついてしまった。


趙雪梅は、それを見て不敵な笑みを浮かべる。


半ば信じられない光景だが、彼女の動きは見た目に反して非常に迅速かつ正確だ。


あたしは立ち上がり、集中力を高めてスキルを再び発動させた。


【S級スキル:火炎弾ファイア・ボルト

効果:高温の火球を連続で発射し、敵に集中攻撃する。


鉄球を狙い撃つように火球を放つ。


「なっ……!」


一瞬だけ趙雪梅の動きが鈍る。


その隙を逃さず、あたしは全力で魔力を集中させ、最大出力の火炎を一点に放つ。


趙雪梅は防御の体勢を取るが、爆炎が彼女の周囲を覆い尽くす。


「……くっ!」


そして、大爆発を起こした。


(これでどう!?)


しかし……、あたしの期待とは裏腹に、煙が晴れた後には無傷の趙雪梅が立っていた。


「そんな……!?」


「無駄よ。私はあなたの魔法をすべて吸い取るスキルをもっているの」


【S級スキル:魔力吸収マナイーター

効果:あらゆるスキルや魔法を魔力に戻し吸収する。


「魔力を……吸収!?」


「そう。そして、その吸収した魔力でこういうことも……できるってわけ!!」


【S級スキル:多重軌道】

効果:流星錘を複数の軌道で操り、死角からの攻撃を可能にする。


鎖付きの鉄球が一度に複数の方向から飛んでくる。


上から、横から、さらには後方からも攻撃が迫り、あたしは全方位からの猛攻に対応しなければならなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ