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第十五話 魔法模擬戦②


「さあ、始めようぜ、天城」


グラウンドの中央に立つ城戸が不敵な笑みを浮かべている。取り巻きたちがその後ろで薄ら笑いを浮かべながら見守っている中、俺は彼の目の前で無言のまま立っていた。


「《アタックブースト》!」


城戸が声を上げると、彼の体から赤いオーラが立ち上る。それは彼のスキル《攻撃魔法増幅(アタックブースト)》。次に使う魔法攻撃の威力を飛躍的に向上させる能力だ。


「これで決まりだ。二度と立ち上がれねえようにしてやるよ!」


城戸は杖を振りかざし、魔力を注ぎ込む。杖から放たれた雷の矢が、稲妻のごとく真っ直ぐ俺に向かって飛んできた。


「天城くん、危ない!」


朱音が悲鳴のような声を上げた。周囲の生徒たちが息を飲む中、俺はポケットに手を入れ、静かにそれを取り出した。


「……あれは?」


ポケットから現れたのは、昨夜《過去視》で進化させたマジックバッグだった。埃まみれだった袋は、光沢のある滑らかな布へと変化しており、見る者に一目で普通のアイテムではないことを悟らせる。


【魔法の布袋マジック・バッグ


種別:アイテム/袋

ランク:A

説明:魔法が込められた収納袋。空間拡張効果により、大量のアイテムを収納できる。

【付与効果】無限収納、重量軽減


「……あんなもの持ってたか?」


「ただの袋じゃないのか?」


周囲の生徒たちがざわつくのを横目に、俺はマジックバッグを静かに広げた。その内部には、かつてジャンク商会で買い取ったアイテムの数々が収められている。


(まずは、これだ)


俺は迷わずマジックバッグに手を突っ込み、一枚の盾を取り出した。


【金剛の盾】


種別:防具/盾

ランク:A

説明:古代の魔導士が作り上げた防御の名品。同ランク以下の魔法攻撃を完全に無力化する力を持つ。

【付与効果】魔法無効化、耐久性+200%


盾を構えると同時に、雷の矢が俺に直撃――するかと思われたが、その光は盾に吸い込まれるようにして完全に消滅した。


「なっ……!?」


驚きの声を上げたのは城戸だった。周囲の生徒たちも一斉にざわつき始める。


「あの盾、何だよ……!」

「雷魔法が効かねえのかよ!」

「天城、どこであんなの手に入れたんだ……?」


その声を聞き流しながら、俺は再びマジックバッグに手を伸ばした。生徒たちが息を呑む中、俺が取り出したのは一本の杖だった。


【蒼炎の古杖】


種別:武器/杖

ランク:A

説明:古代の魔導士が用いた伝説の杖。時間と共に朽ち果てたが、本来の姿を取り戻せば強大な力を発揮する。

【付与属性】過去を呼び覚ます力、炎魔法ダメージ+50%


「そ、それ……!」


城戸が動揺した声を上げるのを見ながら、俺は静かに杖を掲げた。


「じゃあ、次は俺の番だ」


杖に魔力を注ぎ込むと、先端の宝玉が赤く輝き、熱を帯びた空気が周囲を包む。


「《フレイムバースト》」


高位の炎魔法が発動し、巨大な火柱が城戸に向かって一気に放たれる。火柱はまるで生きているかのように彼を包み込み、爆発音と共に衝撃波がグラウンド全体を揺らした。


「なっ……うわあああっ!」


城戸の悲鳴が響き渡り、彼の体は勢いよく吹き飛ばされた。グラウンドの端で泥まみれになりながら転がり、最後には仰向けに倒れ込む。


城戸はピクリと震えるだけで動かない。完全に気絶しているのが分かった。


グラウンドは静まり返っている。誰もが息を飲みながら俺を見ていた。手元の杖をそっと下ろし、俺は一歩前に踏み出した。


(《過去視》が俺にとって無駄なスキルかどうか……これで証明できただろ)


冷静な表情のまま、俺は立ち尽くしていた。




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― 新着の感想 ―
盗まれないといいな。後は捕まって研究、永遠とやらされるパターン。そのへんを考えて対策を練る主人公だと面白いんだけどな。 そうじゃないと、どこかで現実味が無くなって面白くなくなる。
フレイムバーストはいつ覚えたんですか? 古杖の効果はダメージプラスで、固有魔法が使えるわけでは無い、との理解でしたが…
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