第百十話 ボスの最終形態
「やったぞ!! 天城くん!!」
俺たちは息を整えながら、崩れ落ちた巨人を見つめていた。
その体が完全に沈黙し、辺りには静寂が戻ったかのように思えた。
しかし――。
「待て!!」
「……なんだ、あれは?」
霧島が震える声で呟いた。
巨人の破壊されたコアの中から、赤黒い光が放たれ、その光が徐々に形を成していく。そして現れたのは――。
「……龍だと!?」
巨大な炎の龍が現れた。全身を覆う燃え盛る炎、その赤い瞳には明らかな敵意が宿っている。
【ボスモンスター情報】
名称:炎龍アルドレイク(Infernal Drake Aldrake)
ランク:S級最終ボスモンスター
特徴:炎を纏う巨大な龍。空を自由に飛び、超高熱のブレスを放つ
スキル:
•インフェルノブレス:広範囲にわたる炎のブレス攻撃
•ファイアストーム:炎の嵐を巻き起こし、敵を焼き尽くす
「汝ら全て、燃やし尽くす!!!!」
炎龍が吠えると同時に、溶岩がさらに煮えたぎり、辺りの空気が灼熱に包まれる。
「これが、敵の最終形態ってわけかよ……」
大刀が思わずつぶやく。
全員が驚愕する中、俺は冷静に剣を握りしめた。
「皆さん、聞いてください」
俺が発した声に、全員が俺の方に振り向いた。
「こういうパターンも、予想していました」
「なに?」
「一体どう言うこと? 天城くん」
俺は、覚悟を決めて伝える。
「炎の龍……まさに、打ってつけの展開です」
俺の言葉に、霧島が驚いた表情で問いかける。
「どういうことだ?」
「俺の武器と、もっとも相性がいい相手だってことです! 白石さん!」
「はい!?」
「このダンジョンに潜った時、あなたは自分の魔力が無尽蔵だって言ってましたよね?」
「ええ……そうね。今まで、数値測定をしたときも、他のS級ストレンジャーの誰にも負けたことはないわ」
「俺の剣に、ありったけの氷属性ブーストをかけてもらえませんか? あなたの魔力、全てを使って」
「!! ……オッケー、わかった」
白石が杖を握りしめ、魔力を全放出する。
名称:アイスフュージョン(Ice Fusion)
効果:氷属性を武器に封入し、攻撃力を大幅に増幅する
白石の氷属性ブーストが俺のドラゴンスレイヤーに封入されていく。剣は眩い光を放ち、まるで別物のような輝きを纏った。
武器情報
名称:ドラゴンスレイヤー:エクレール・アルファ
ランク:S級武器
効果:
•光属性ダメージ+80%
•氷属性ブースト+2300%
•ドラゴン系特攻+60%
•16回連続攻撃
•範囲攻撃
•必中効果
「そう。俺の剣はドラゴンスレイヤーです。龍退治なら、これ以外にありません!!」
その言葉に、白石が微笑む。
「その顔、最高にいいわね」
「わかった。日本団の命運、天城くんに託そう」
イザナも覚悟を決める。
そして、日本団メンバー全員が気合いを入れ直す。
「イザナさん、俺を龍のいるところまで、重力魔法で飛ばしてください!」
「承知した」
イザナが重力魔法を発動し、俺を空へと運び上げる。
名称:グラビティリフト(Gravity Lift)
効果:対象を空中に浮かせ、自在に移動させる
ブウン……と浮遊していき、空を飛ぶ炎龍の目前にたどり着いた俺。
その瞬間、炎龍がインフェルノブレスを放つ。
名称:インフェルノブレス(Inferno Breath)
効果:広範囲を焼き尽くす超高熱のブレス
「ぐっ……!」
灼熱の炎が俺に襲いかかるが、
「はあああああっ!」
俺はドラゴンスレイヤーを振りかざし、炎を一刀両断した。剣が放つ冷気と光が炎を切り裂き、霧散させる。
氷属性ブースト+2300%という効果で、それを可能にしたのだ。
「!?」
龍が驚愕の声を上げたその隙を見逃さなかった。
「うおおおおおおおおおお!!!!」
俺はドラゴンスレイヤーを握り直し、スキルを発動した。
名称:乱れ打ち(Frenzy Strike)
効果:高速で連続攻撃を繰り出し、クリティカル率が上昇する
「くらえええええ!!!」
剣が眩い光を放ちながら乱れ打ちを炸裂させる。
その連続攻撃が龍の額にある龍核を直撃し、クリティカルヒットを連発する。
「グアアアアアッ!」
パァアアアアアアアン。
硬質な轟音と共に龍核が砕け散り、炎龍の体が崩れ落ちていく。
「やった……!!」
俺は息を整えながら着地する。
完全に動かなくなった龍の体を見下ろした。
その場にドロップしたのは――。
報酬情報
名称:記憶のオーブ(Memory Orb)
ランク:S級アイテム
効果:古代の記憶を読み解く鍵となる
さらに、俺のホログラムウィンドウにはランクアップの表示が浮かび上がった。
ランクアップ情報
B→A
冒険者ギルドでの更新を推奨します。
他の日本団メンバーが、わっと歓声を上げる。
「やったな!!」
「本当に倒せるなんて!!」
「天城くん、すごすぎ!!」
喜びも束の間、ダンジョンコアが部屋の中央に現れる。
それを受けて、イザナが静かにそれを破壊した。
「これで、この古代ダンジョンの一角は攻略完了だ」
全員がその言葉に頷き、達成感に包まれながら、俺たちはダンジョンを後にした。




