表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

108/226

第百八話 古代ダンジョンボス、灼炎巨人


扉を抜けた瞬間、目の前には再び広大な火山エリアが広がっていた。


灼熱の空間には溶岩が流れ、天井には黒い噴煙が渦巻いている。


「……これが、ボス部屋か」


俺たちは足を止め、緊張した面持ちでその中央に君臨する巨人を見上げた。


全身が燃え盛る炎で覆われ、その威圧感だけで足元が揺れるように感じた。


【ボスモンスター情報】

名称:灼炎巨人(Infernal Titan)

ランク:S級ボスモンスター

特徴:全身を覆う炎と火山の力を操る能力を持つ巨人

スキル:

•フレイムアームスラッシュ:炎を纏った腕で広範囲を薙ぎ払う

•マグマクレスト:足元に溶岩を噴出させて敵を封じ込める


巨人はその赤く輝く瞳をゆっくりと動かし、俺たちを見据えた。そして――。


「汝らか。我の邪魔をするのは」


その重々しい声が響くと、空間全体が震えるようだった。


「愚かな人類よ。古代より汝らは滅ぶべき運命なのだ。


じきに我が地上に出て、人類を我が炎で焼き尽くしてやろう」


巨人は腕をゆっくりと動かし、溶岩を操るように見せながら続けた。


「だからそれまではじっとしておれ。わざわざ死期を早めることもあるまい」


「……暗獄竜ゼルガルムと同じ……!」


俺は思わず呟いた。イザナも険しい表情で頷く。


「言葉を解する知能を持つボス……これまでのモンスターとは違うぞ!」


「やってみせよ。人類。我と力と力のぶつかり合い也」


巨人が両腕を持ち上げ、その巨大な炎の腕がゴオッと燃え上がる。


「来るぞ、フォーメーションを組め!」


イザナの指示で全員が配置についた瞬間――。


「ゴオオオオ!!」


巨人の腕が振り下ろされ、炎の波がストレンジャーたちを薙ぎ払った。


「うわあああああっ!」


全員が吹っ飛ばされ、飛び石の上を転がるように倒れ込む。


「藤堂、大丈夫か!?」


「くっ……どうにか……!」


「溶岩に飲み込まれるな!」


イザナが咄嗟にグラビティグリップを発動し、全員を溶岩から引き戻した。


名称:グラビティグリップ(Gravity Grip)

効果:重力を操り、対象を静止または移動させる


「助かった……でも、なにこの力……」


白石が額の汗を拭いながら呟く。その視線の先では、巨人が再び腕を振り上げていた。


「くそおおおおお!!」


大刀が大剣を構え、スキルを発動させながら巨人に向かって突進した。


スキル情報

名称:蒼雷斬(Azure Thunder Slash)

効果:雷属性を纏った斬撃で敵の防御を無視してダメージを与える



「くらえええええっ!」


雷の力を纏った大剣が巨人の腕に直撃した――が。


「ぬるいぞ、人類」


巨人はその一撃を片手で受け止めると、大刀の体を掴み上げた。


「うわあああああっ!」


巨人の炎が大刀の体を包み込み、そのまま真っ黒こげにしてしまう。


「大刀!!」


霧島と白石が叫ぶ。藤堂が駆け寄り、すぐさま回復魔法を発動させる。


巨人の攻撃はさらに続く。


次の瞬間、霧島が双剣を握りしめながら飛び石の端に倒れ込んだ。


彼の腕や足は真っ赤に焼けただれ、動ける状態ではなかった。


「霧島!」


白石が駆け寄ろうとするが、次の炎の爆風が彼女を襲う。


「きゃあっ!」


白石の体が宙を舞い、飛び石に激しく叩きつけられた。全身に火傷を負い、彼女もまた動けなくなっていた。


「くそっ……!」


大刀に続き、霧島と白石までもが巨人の攻撃に倒されていく。


藤堂が駆け寄り、必死に回復魔法を発動する。


名称:ヒーリングオーラ(Healing Aura)

効果:範囲内の味方のHPを回復し、火傷状態を軽減


「ダメだ……! 僕の魔法じゃ間に合わない!」


藤堂の声に、全員の表情が青ざめた。


「『ハイ・エリクサー』!」


俺は再びマジックバッグからS級アイテムを取り出し、それを霧島と白石に使った。


アイテム情報

名称:ハイ・エリクサー(High Elixir)

ランク:S級アイテム

効果:対象のHPと状態異常を完全回復する


「すまない……助かった……」


霧島が息を整えながら俺に感謝を伝える。


「ありがとう、天城くん……。あたし、もうダメかと思ったわ」


白石が弱々しく微笑む。


「どうする……」


大刀が悔しげに言った。


「巨人の力は想像以上だ。このままじゃ、俺たちは全滅する……!」


イザナも険しい顔で巨人を睨む。


俺は断罪剣を握りしめ、巨人に向かって放った。


スキル情報

名称:光刃剥奪ラディアントディスペル

効果:光の波動で敵のランクをダウンさせる


断罪剣の光が巨人を包み込み、一瞬だけその炎が弱まる。


【ボスモンスター情報(ランクダウン時)】

名称:灼炎巨人(Infernal Titan)

ランク:A級ボスモンスター(ランクダウン中)

効果:攻撃力と防御力が一時的に低下


しかし――。


「……戻った!」


巨人の炎がすぐに元の勢いを取り戻し、その巨体がランクダウン前の威圧感を再び放つ。


(時間が短すぎる……! この技は使えない!)


(なら……俺が持つ全てのA級、そしてS級アイテム。そして俺自身の力を駆使して、この巨人を攻略するしかない!)


その時、頭の中である閃きが生まれた。


「これでどうだ――!!」


俺はマジックバッグに手を入れ、新たなアイテムを取り出した。


それは、鋭い冷気を放つ双剣と、淡いピンク色の輝きを放つオーブ、それに緑色のオーブだった。


武器情報

名称:氷刃の双剣(Frozen Edge Dual Blades)

ランク:A級武器

効果:冷気属性の連撃攻撃、敵の動きを鈍らせる追加効果


アイテム情報

名称:ピンクオーブ(Pink Orb)

ランク:S級アイテム


名称:グリーンオーブ(Green Orb)

ランク:S級アイテム


「どうするつもりだ、天城くん!」


イザナが叫ぶ中、俺は二つのアイテムを構え直し、全員を見渡した。


「お願いです、みなさん、俺の言うとおりにしてくれますか?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ