第百七話 蓮のリーダーシップ
「来たぞ……!」
溶岩の海を泳いでいたシャークが、再びこちらに向かって突進してきた。
その尾びれが溶岩を巻き上げ、火の雨のように降り注ぐ。
「ぐあっ……!」
大刀がとっさに回避するものの、腕に火傷を負った。
「ちっ……このままじゃ!」
霧島が呻き声を上げながら、飛び石の端で踏ん張る。
「藤堂、回復を頼む!」
「わかった!!」
イザナの指示で、藤堂が再び回復魔法を発動する。
名称:ヒーリングオーラ(Healing Aura)
効果:範囲内の味方のHPを回復し、火傷状態を軽減
「回復サンキューな……けど、次の一撃が来たら終わりかもな」
霧島が額の汗を拭いながら呟く。
誰もが緊張した面持ちで溶岩の海を見つめていた。
その時――。
「跳ぶぞ……!」
溶岩シャークが巨大な体を揺らしながら、高くジャンプした。
「まずい! 島ごと押し潰される!」
大刀が声を上げる。
「今です!! 白石さん!」
俺の声が響くと同時に、白石が杖を振り上げ、冷気魔法を発動した。
「わかった! やってやるわよ!」
名称:アイスアーマー(Ice Armor)
効果:冷気を纏わせ、火属性のダメージを大幅に軽減
冷気が俺の体を包み込み、灼熱の熱気が和らぐ。
その瞬間、俺は断罪剣を構えた。
「おおおおおおおお!!!」
シャークから吹き出される溶岩まみれになりながらも、俺はシャークに向かって剣を振り切った。
スキル情報
名称:光刃剥奪
効果:光の波動で敵のランクをダウンさせる
「光刃剥奪!!」
断罪剣が眩い光を放ち、その力がシャークを包み込む。
【モンスター情報】
名称:岩石シャーク(A級にランクダウン)
ランク:A級モンスター
能力:スピードと攻撃力が低下、耐久力が減少
「!! 敵がランクダウンしたぞ!」
シャークの動きが明らかに鈍くなり、勢いが衰える。
空中でもがきながら、溶岩の海に逃げようとしている。
(流石にこのクラスの敵だと、Fまでは落とせないか……)
しかし、俺は次のステップに移るべくマジックバッグに手を伸ばした。
「逃すかぁあああああ!」
俺が取り出したのは、ドラゴンスレイヤー《エクレール・アルファ》だった。
武器情報
名称:ドラゴンスレイヤー:エクレール・アルファ
ランク:S級武器
効果:光属性ダメージ+80%、ドラゴン系特攻+60%、16回攻撃、範囲攻撃、必中効果
その輝きに一瞬目を奪われる仲間たち。
しかし、俺はすでに岩石シャークに意識を集中させていた。
シャークが溶岩の海に逃げ込もうとした瞬間、俺は飛び石を次々と飛び越えながら突進した。
「逃すものか……!」
剣を構えた俺がシャークの背後に飛び込み、スキルを発動させた。
スキル情報
名称:光裂十六閃(Radiant Sixteen Slash)
効果:1撃で16回の斬撃を繰り出す。クリティカル率大幅上昇、光属性ダメージ追加、ドラゴン系特攻ダメージ適用
「くらえええええ!!!」
剣から放たれる16連撃がシャークを包み込み、一撃一撃がクリティカルを生み出す。
「グアアアアアッ!」
シャークが絶叫を上げながら、その体が砕け散った。
「やった……!」
喜びも束の間、俺の足元の飛び石が崩れ、バランスを失った。
「しまった……!」
そのまま溶岩の海に落ちていく俺。
白石の冷気魔法が体を包んでいても、この溶岩に落ちれば助かる可能性はない。
(終わったか……?)
その瞬間――。
「《グラビティグリップ》!」
イザナの重力魔法が発動し、俺の体がピタッと空中で止まる。
名称:グラビティグリップ(Gravity Grip)
効果:重力を操り、対象を静止または移動させる
「戻すぞ!」
重力を操られ、俺は飛び石の島まで引き戻された。
「ありがとうございます、イザナさん!」
「それはこっちのセリフだ。よくぞシャークを倒してくれた」
イザナが微笑みながら俺の肩を叩いた。
「さあ、扉の奥に向かおう」
イザナが先を見据える。
「おそらくあの向こうに、ボスが潜んでいるはずだ」
全員が頷き合い、俺たちは次のエリアに向かって歩みを進めた。




