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第百六話 S級モンスター、溶岩シャーク

「ここが……次のエリアか」


目の前に広がるのは、真っ赤に燃え盛る溶岩の海だった。


あたり一面が灼熱の光に包まれ、立ち込める熱気が肌を刺すように感じる。


俺たちは、溶岩の海にポツポツと点在する飛び石のような島の一つに立っていた。


それぞれの島は不規則な形をしており、大きさもまちまちだ。



中には飛び移るのが困難そうな距離にあるものもあり、足場を確保し続けるのが精一杯だった。


「落ちたら、一瞬で終わりだな……」


霧島が険しい表情で呟いた。


その言葉に、俺たちは息を呑んだ。


溶岩の海を静かに泳ぐ影が見えた瞬間、全員の表情がさらに緊張に包まれた。


【モンスター情報】

名称:溶岩シャーク(Lava Shark)

ランク:S級モンスター

能力:溶岩の海を自由自在に泳ぎ、周囲に溶岩を噴出して攻撃する

スキル:

•マグマブレス:溶岩を噴き上げる範囲攻撃

•フレイムフィンアタック:高速移動しながら尾びれで強力な打撃を与える


「なんだ、あの化け物は……!」


大刀が大剣を構えながら叫ぶ。


溶岩シャークが口を開き、周囲にマグマブレスを放つ。


噴き上がる溶岩が空中で炸裂し、俺たちは必死に回避する。


「うわっ……!」


俺は咄嗟に身を翻したものの、噴き出した溶岩の一部が足に触れてしまった。


「ぐっ……!」


熱が全身に広がり、痛烈な痛みに膝が折れる。


目の前が一瞬暗くなる感覚に、思わず歯を食いしばった。


「天城くん、大丈夫か!」


藤堂が駆け寄り、回復魔法を発動させる。


名称:ヒーリングオーラ(Healing Aura)

効果:範囲内の味方のHPを回復し、火傷状態を軽減


「助かりました……」


藤堂の回復により、俺は再び立ち上がる。


その時、霧島がすぐ隣でフレイムフィンアタックを受け、飛び石の端でよろめいた。


「ちっ……! 痛ぇな……!」


彼はすぐに体勢を整えたものの、左腕には火傷の痕が残っている。


「霧島!」


大刀が声を上げるが、次の瞬間、彼も溶岩の飛沫を肩に受け、呻き声を上げた。


「くそっ……こいつ、スピードが速すぎる!」


大刀が大剣を握り直し、周囲を睨む。


「みんな、ここでやられるわけにはいかないわよ!」


白石が冷気を放ちながら叫び、飛び石を覆う熱を一瞬和らげた。


「これ……足場ごと崩されそうね……」


白石が警戒しながら杖を構えた。


「どうにか避けられてはいるが……どんどん敵のスピードは上がってきている」


イザナが冷静に分析しながら周囲を見渡す。


「しかも、次の扉はこの溶岩の海の奥だ」


白石が杖を握りしめながら呟く。


その視線の先には、溶岩の向こうにうっすらと見える扉があった。


「つまり、この溶岩シャークを倒さなければ、先には進めない」


霧島が双剣を握り直しながら険しい表情を浮かべる。


「でも、溶岩の中にいる敵をどうやって倒す?」


大刀が苛立った様子で言った。


全員が次の手を模索する中、イザナが俺を見つめた。


「天城くん、何か策はないか?」


イザナの言葉に、俺は黙って考え込んだ。


(溶岩の中にいる敵……接近戦は難しい。遠距離攻撃でも、今の状態では致命傷を与えるのは難しいはずだ)


頭の中で状況を整理し、考えを巡らせる。


そして――。


「策は……あります」


俺が口を開くと、周囲の視線が一斉に集まった。


「おお、本当か!」


霧島が驚いたように声を上げる。


「なら、任せても構わないか?」


イザナが静かに問う。


「はい、俺にやらせてください」


俺は拳を握りしめながら心に誓った。


(この戦いで、俺も日本団の一人として、認めてもらいたい!)


「白石さん」


俺は彼女に向き直り、真剣な表情で言った。


「ありったけの冷気魔法を俺にかけてもらえませんか」


「えっ……?」


白石が驚いた表情を浮かべる。


「1分、1分だけ持てばそれで十分です」


「それならまあ……できなくはないけど」


「俺が合図したら、よろしくお願いします」


俺の言葉に、白石は少しだけ頷いた。


「わかったわ。任せて」


周囲のメンバーが固唾を飲んで見守る中、俺は静かにマジックバッグに手を入れた。


俺が取り出したのは、断罪剣だった。


アランを打ちのめしたあの剣が、溶岩の光に反射して神々しい輝きを放つ。


名称:聖域の断罪剣(Sanctum Judicator)

ランク:S級武器

効果:光属性ダメージ+80%、追加範囲攻撃、自己回復スキル付与


「いくぞ……!」


剣を構えた俺が溶岩シャークに向かって歩みを進めた。


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