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巡り巡る呪い 真と偽の境界に立つ  作者: 雪の都
第二章 転生した冒険者、次は勇者で世界を救う。1
8/8

失われた大陸、残された人々

「もう食べ方も眠り方も忘れた...もう希望もない...覚えているのは痛みと哀しみ。感情なんてもう消えてしまった...」

彼女はそう言った。仲間も希望も失い、逃げ延びた彼女。呪いは彼女から死を奪った。永久の生という苦しみを与えるために。

生き地獄とも呼べる世界を数十年間過ごしてきた彼女には、感情も記憶もない。彼女に残るのは最愛の友の死の記憶。いわば苦しみの記憶のみ。



「私はもう何もできない....どれだけ時間がたったのかもわからない...ただ暗闇の中をさ迷い続けている....もう助けは来ない...」

少女はそう言った。呪いによって身体を奪われ、意識は心の奥底へと幽閉された。目の前では仲間が殺された。何もできなかった。そんな自己嫌悪も長い時間がたてば無くなってしまう。少女は願い続ける。

「自由が...ほしい....❳



「戦いに向かっていったあなたたちが...寄り添いながら旅立って....もう何十年もたった...今の子供たちは歴史を知らない....世界が滅んだという歴史を...」

何かを握りながら彼女は言った。

「この石は...今でも...三人の方を指してる...けれど..その三人が生きていたとしても...この世界はもう覆らないでしょうね....」

彼女は女性の王として国を治める立場になった。数十年前から国を守り続けてきた。そして何度も他の国々を復活させようと試みていた。しかし、その思いは届かなかった。今や当事者として世界に歴史を伝えているのは彼女一人であった。

「たくさんの王国からたくさんの人々が来て、それぞれの楽しみがあって....そんな世界をみていたかった....でもそれももう無駄なのかもしれないわね...あとこの国が何年持つかはわからない....でも世界が滅ぶまで...見守ってね...」

彼女はその場から歩いて去っていった。



一人の冒険者が世界を左右する大きな戦いに最高の仲間と挑んだ。

決して負け戦などではなかった。勝てる戦いだった。しかし、彼らは裏切られた。仲間に、同じときを過ごしてきた親友に....優しさをもった彼らにとって、仲間に刃を向けることはとても難しかった。敵の圧倒的な数の前にお互いを愛し合っていた二人は倒れた。

裏切った少女の本音を聞こうと戦った冒険者もその少女の刃によって殺された。

命からがら逃げた彼女も呪いによって精神が崩壊した状態にある...


そんな状態で力を増した侵食に、人々が勝てるはずもなかった。10年で大陸の大半は侵食によって呑み込まれ、それから数年で大陸全体が呑み込まれた。冒険者たちが命を懸け、戦ったことで、侵食の速度は遅くなり、10年という猶予を人々に与えた。その猶予がなくなったとき、大陸は地図から姿を消した。大陸からすこし離れた島にある、王国。数十年で人口は2倍以上にもなった。大陸の人口がこの王国の8倍以上と考えると、決して多くはない数字かもしれないが、生き残った人々がいることは良いことだった。


一方で、数年で人口が倍増したことにより、人々の生活は苦しいものになった。

あと何年国が持つか、誰にも予想できない。

世界最後の国は、自らの手で消えていくのかもしれない....



「今日もいい天気だな~...また山の上、行ってみるか」

少年が山の上へと登る。決して高い山ではないが、遠くまで見える。

その日はいつもより晴れていた。

「なんだろ....あの大きな島...なんかみたことある気がする.....」

彼の脳内に記憶がよみがえる。

「侵食...戦い...裏切り....死...天使...転生...これは...私の記憶....私は少年じゃない....冒険者....クロティス...」

第二章となるお話になります。

大きな戦いにより死んでしまった勇者、転生して記憶を失っていたところ、失われた大陸を見たことによって記憶を取り戻した。

これがストーリーです。

前世の記憶、前世の仲間、すべて取り戻してくれ~!

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