6.最強の仲間たち
フレイ王国へと向かった4人は
フレイ王国で騎士、フレイに会う。
フレイを仲間につけ、チームは5人になり、
5人はクロティスの故郷の王国へと向かうが...
「結局、あの時はクロティスの家まで行ったんだよ〜」
「だから!あの時はお前が勝手に来たんだろ!」
四人はフレイ王国に向かいながら、二年間の思い出を語っていた。クロティスやネオンはほとんど遠くへ行くことはなかったが、レイは旅人という立場ながら世界を旅していた。
そんな話をしているうちにフレイ王国が見えてくる。しかし、何かがおかしい。フレイ王国の周りには人が住んでいる気配がない。本来ならどの王国も中央の王国とその周りの農村で構成されているはずなのに、フレイ王国は中央の城のみで、人がいる気配がない。
「なんか...人の気配がまったくしないね...」
「フレイ王国が滅亡したなんてことあるか...?」
「クロティスと会う前に通ってないからなんとも言えないけど、フレイ王国はずっと平和だったのにね...」
「もしかしてルナ王国と同じ目に..あったんでしょうか...」
全員が心配しながら王国に入ると、王国の中は活気で満ち溢れていた。
「外はまったく人の気配がしなかったのに...中は発展してる...!?」
「これはおそらく最近人を中心部に集中させたようだな。」
「そうかも、人の数と家の大きさが合ってないし。」
「とりあえず中心部に行ってみるしかないんじゃない?」
「そうだな。」
四人は馬を一旦置いて、中心部へと向かった。
中心部へ行くと、なにやら声が聞こえた。
「説明している通り、国民を王国の城に集めたのは、避難をするためです。」
ルナ以外の三人はこの声に聞き覚えがあった。ルナはわからず、ただ話を聞いていた。
「つい数日前、大陸の南側の国家は完全に滅亡し、我々の王国の反対側にある、ヘルツ王国までもが、昨日滅亡したようです!我々はこの原因を突き止めながら、国民を救うため一刻も早く避難をしなければいけないんです!騎士団は動かせる人員すべてを持って、避難の手助けをいたします!ご協力お願いします!」
話が終わると、その場にいた騎士団や普通の人々が一斉に解散した。そのタイミングで、クロティスとレイは話していた人の元へとすぐに向かい、声をかけた。
「フレイ。」
その騎士が振り向くと、すぐに声を上げた。
「レイ!?来てたの?!」
フレイはびっくりしていたが、嬉しそうに話していた。
「この間、来てから全然来ないから、どこいったのか、心配だったの!」
「ごめんって。大陸の西側を通っていったから、ここに寄り道するタイミングがなかったんだ。」
レイとフレイが話しているところで、レイが他の仲間のことを話す。
「そうだ。今日は僕だけじゃなくて、みんな来てるよ。」
レイが行った言葉にフレイが反応し、フレイがみんなの方を向いて、再び笑顔になる。
「クロティスにネオンにルナちゃんじゃない!」
この言葉に驚いていたのはクロティスやネオンだった。
「フレイ、ルーちゃんのこと知ってるの?」
「ルナちゃんとは一回会ったことがあるの。一年前ぐらいだけどね。」
「久しぶりフレイさん!もう会わないと思ってたけど、みんなが騎士を探しに行くって言ってたからもしかしたらって思ってたの!会えて嬉しいよ!」
ルナとフレイはとても仲良さそうにしている。前に会ったのが一年前とは思わせないほどの元気さだ。
「ところでフレイ、楽しそうなところを邪魔して悪いんだが、どうして避難を?」
クロティスが気になっていたことを話した。すると、フレイは答えた。
「私用に他の国々に情報を収集してくれる人たちを派遣してくれているのだけれど、南側の大陸で侵食が再び動き出したっていうのを聞いたから。ところで、クロティスの王国やルナちゃんの王国は大丈夫だったの?」
クロティスは顔を曇らせながら答える。
「ルナ王国はなんとか事前に避難を進めることができて、被害は最小限だ。ただ...」
「ただ...って?」
「私達が一番最初に侵食に気づいた時に私達の王国は犠牲になった。おそらく生存者は私とネオンだけだ。ルナは違うが、ここにいる4人は一度侵食の討伐を経験いるから気配を感じられるが、一般人はわからない。それが原因だ。」
クロティスが言った言葉にその場の空気は凍った。ルナが悲しそうな表情で聞く。
「一つだけお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「どうしたの?」
「先程のお話を聞いていて、ひとつだけ気になったんです。ヘルツ王国は滅亡したんですか...?」
「ええ...滅亡したわ。つい昨日、しかも夜の話だと聞いた。」
「「「え...?」」」
その場にいた他の3人は驚きを隠せなかった。レイは違うとしても、クロティスとネオンとルナが王国から出てきたのは昨日の朝の話だ。つまりその時点でヘルツ王国は侵食を受けていたことになる。三人は命拾いしたのだ。
「昨日の時点で侵食は受けていたってことか...」
「あ!だから...」
「ネオン?なにか思い当たることがあったのか?」
「昨日ヘルツ国王に伝言をお願いしたいって言われて...」
「それで、なんて言われたんだ?」
「フレイ王国からヘルツ王国に戻ってこないで、そのまま北のメル王国に行けって。もしかしたらその時点で滅亡することを予見してたのかも...」
その場の空気が更に悪くなる。しかし、レイがそれに気づき、話を変える。
「フレイ。お願いがあるんだ。」
「いいけど、なにかするの?」
「僕達は今、新メンバーが一人増えつつも、元のメンバーを集めてるんだ。」
「つまり、またチームを再結成するってこと?」
「ああ。そうだ。レイと合流してから、考えていたことなんだ。再結成すれば、再びフルーフを留められるかもしれないって思ってな。」
「正直、今は、難しい。でも、侵食を止めなきゃ行けないでしょ?なら私はついていくよ。私はこの国も守りたいけど、それ以上に犠牲を出したくない。私も騎士として十分成長したつもり。チームの騎士として、精一杯やらせてもらうわ!」
「ありがとうフレイ!その言葉が聞きたかった。」
レイがフレイを抱きしめる。すると、フレイの顔は真っ赤になる。
「ちょっと離れて!」
「ご、ごめん。嫌だった?」
「いや...そうじゃなくて...恥ずかしいから...」
レイとフレイの間に良い雰囲気が漂っている中でネオンがそれを遮った。
「フレイが仲間になったんならやること進めないと、侵食が来ちゃうよ!」
「そ、そうね!でも、私が仲間になって、これからなにするの?」
「とりあえずフレイに色々説明しなきゃな。」
クロティスがレイに説明したのと同じように今までのことを説明する。
「なるほど...だから侵食の速度が少し早いと思ったのかぁ...それに、新しい能力を持ってるってのはなかなかに厄介になったわね。」
「それでフレイにも手伝ってほしいんだが、私の王国に戻って、書物を探しに行きたい。」
「あなた持ってないの?あのとき使ったでしょ?」
「あの時使って、討伐に成功した後、王国の城の書物庫に保管したんだが、持ち出す暇がなくて、侵食から一回避難したんだ。侵食からの攻撃が来る可能性はあるが、西側に侵食が進んでいる以上、中心は西側にあると思うんだ。」
「なるほどね。わかったわ!行きましょう!」
フレイを仲間に加えて、5人はクロティスの故郷の王国へと向かった。
「ところで、クロティス様の王国に向かうとしたら、だいぶ時間がかかりませんか?それに、ルナ王国やヘルツ王国が侵食の影響を受けているとなると、もっと難しいんじゃないですか?」
「ルーシャ。それなら心配ない。一回作戦を説明するよ。」
クロティスが地図を開いた。それはクロティスの王国とその北の山脈を表した地図である。
「説明するよ。まず、我々はここに向かう。」
クロティスは山脈の一部分を指した。
「ここってただの山じゃないんですか?」
「ここは山脈だけど、この部分だけ道が作られてるの。だからそこを使えばすぐに南側に行けるのよ。」
「フレイの言う通りだ。我々はここを通ってすぐに王国へと向かう。」
クロティスが説明を続ける。
「王国は今、おそらくこの辺りまで侵食されているだろう。」
クロティスはそういいながら、平野部の大部分を指した。
「まあ、発生源がすぐ近くにある以上、そうなるだろうね。」
「でも、山脈は越えてないの?越えてなくても山脈に少しずつ侵食が進んでたりすると思うんだけど。」
ネオンが問いかけると、クロティスが説明する。
「侵食は地下からやってくる。そしてどこでも高さが一定なんだ。だからおそらく、我々の足元の下にある一層にしか、フルーフは侵食できないはずなんだ。そうすると、山脈は高さが高くなるから、侵食するには地面から広げていくしかない。しかし、それは難しい。だから山脈には侵食は来ていないはずなんだ。」
「なるほどね。」
ネオンが納得したところで、クロティスが話を締める。
「あとは、侵食が少ない場所で、城に最も近いところから書物庫へと向かう。帰りは同じことを繰り返す。それで成功するはずだ。」
クロティスの作戦はすぐ実行に移された。
5人はすぐに出発して、その日の昼には王国が見える位置まで向かうことができた。
クロティスの予想では、平野部の大部分が侵食されていると考えていた。しかし、実際は山脈の麓を少しずつフルールが侵食していて、山脈は越えていないもののいつ越えるかわからないような状態だった。
「ここまで侵食が来ていればしょうがない。すぐ行こう。準備は大丈夫か?」
「もちろん。フルーフからの攻撃は全て弓で返すよ。」
「もちろんです!」
「もちろん戦ってやるわよ!」
「騎士として責務を全うします!」
「よし、行くぞ!」
5人は走って、フルーフの中を通り抜けた。王国の中に入るまで、侵食から攻撃を受けることは一切なかった。王国に入ると、すぐに城がみえ、全員は襲われずに書物庫へと向かった。
書物庫について、30分以上たつが、本が見つからない。侵食によって書物庫は荒らされ、そこら中に本が散乱している。また、侵食によって瓦礫や岩が書物庫内に流れ込み、それによってさらに探索は難航していた。
「あったか?」
「こっちにはないよ!荒らされすぎて見つからないよ!」
「クロティス様、おそらくここにはありません。フレイ王国に戻りましょう。」
「これ以上探してもフルーフに気づかれるだけだよ。」
「しょうがない、撤退しよう。」
結局本は見つからず、全員が外へ出る。外に出ると、そこには崩れた建物が大量に広がっていた。
「やばいぞ、フルーフに気づかれている。全員足元に気をつけてくれ!フルーフからの攻撃がいつ来るかわからない!」
行きはほとんど崩れ落ちていなかったはずなのに、書物庫を出たタイミングでは、道が瓦礫によって塞がれるほど、建物が倒壊していた。
5人はその場の瓦礫の上を歩き、フルーフからの攻撃を警戒していた。
その時だった。
「ルーちゃん!後ろ!危ない!」
ルナの後ろからいきなり植物の茎のようなものがルナを捕まえようとする。
「ルーちゃん伏せて!」
ネオンがとっさに炎魔法を使い、侵食を灰にする。しかし、そこら中から茎が出てきて、攻撃を仕掛けてくる。
クロティスは攻撃を避けながら氷魔法を使って、凍らせ、そしてそれを砕き、
レイは弓矢を一度に3発撃ってそれを操り、フルーフを粉々にしてしまった。
しかしフルーフの攻撃の手はやむことはなく、それどころか少しずつ勢いをましている。クロティスとレイは攻撃しながら、少しずつ退避していくが、四方八方から出てくるフルーフに対応しきれなくなった。
戦闘に夢中だったネオンは自分の後ろに他の茎と色が違う茎が出ていることに気づかず、攻撃を受けた時、かわしきれずに右腕に直撃してしまった。
「うっ...痛い...なにこれ...」
その茎は他の茎よりもはるかに固く、ネオンの右腕には剣が刺さったような痛みが走った。
「ネオン!大丈夫か!」
クロティスがすぐに駆けつけ、その茎を凍らせ、動きを止めた。レイやフレイもすぐにその場へ向かうが、フレイは瓦礫に足を引っ掛けて転んでしまい、茎の攻撃を受けてしまった。普通の茎は強度が低い分、柔軟で、刺すような攻撃はできなくとも、叩きつけるような攻撃が可能だった。フレイはその攻撃によって体を地面に叩きつけられ、一瞬のうちに気絶してしまった。
「フレイ!くっ...意識を失っている...クロティス!フレイがやられた!すぐに撤退しよう!」
レイがすぐにフレイのもとに行き、クロティスにも状況を知らせる。
「わかった!敵の攻撃を避けつつ、撤退だ!」
クロティスとレイがなんとか敵の攻撃を弾き続けたことで、なんとか撤退には成功したが、フレイは全身にダメージが入り、ネオンは右腕が動かなくなってしまった。
このチームには恥ずかしがり屋が多いようですね...
あと2話ほどで一旦投稿頻度を下げさせてもらいます!