7.ノーマルスキルとレアスキル
雨が4日ほど続いていた。
雨が降ると冒険者たちは仕事を受けなくなる。
単純に足を滑らせたりでの怪我のリスク、体が冷えて病気になるリスクがあるためだ。
ジョナサンクラスの冒険者になれば、沼地のような地形での戦闘も経験もあり、
雨の中で活動するために防具には雨よけのマジックアイテムがはめ込まれている。
単純に泥で汚れるのが嫌なのだろう。
ジョナサンが真剣に本を読んで、羊皮紙に書いているメモと睨めっこしている。
気になったクロトは近づいてみる。
普段は、ベテランの体育会系の冒険者だと思っていたが、こうして真剣に本まで読んで考え事をしていると
知的な面も見えてくる。
「おい、ボウズ。この本が気になるのか」
「でも、文字が読めないんです」
「孤児だからな。でも俺がよみあげてよろう。お前のためにもなるはずだ」
ジョナサンが本のタイトルや内容を読み上げる。
結論はこの世界のエロ情報付きの胡散臭い週刊誌のようなものだった。
本のタイトル:男を磨き、美女とやりまくる方法 第328版目
内容:裸婦の絵の記載。ベットでの特殊なプレイの説明。伝説のノーマルスキルについて。
ジョナサンが一通り読み終わる。
「伝説のノーマルスキルの絶倫と巨根は、本当にこの薬を飲めば手に入るんですか?」
「そこに食いついたか。俺も高い金を払って、習得しようしたが騙された。
しかし、伝説のノーマルスキルは俺はあると信じている。故に、このど田舎の町に来たのさ」
「その結果は?」
ジョナサンは別な本を取り出しまた読み始める。
絶倫と巨根のスキルの薬を作っている集落の説明が、どうやらこの地域と同じそうだ。
「この本の情報の通りなら、ビンゴだ。後はこの町を拠点に集落を訪問して確認するのみだ。」
ジョナサンはメモを見せてくる。
横線を引いているのが訪問した集落のようだ。
「残り3つで終わるから、どれかしらにはあるに違ない。そしたら、俺も漢として一生勝ち組側に回れるというものだ」
ジョナサンは幸福感溢れる笑顔でいる。
「機嫌がいいから、他に聞きたいことがあれば教えてやろう」
「それでは、ノーマルスキルとレアスキルの違いは?」
「簡単だ。金さえ払えば手に入るのがノーマルスキルだ。固形物または液体を飲むだけでスキルを気軽に獲得できる。レアスキルは、運よく生まれた時に持っている場合、努力して厳しい条件を満たした時に入る場合がある。」
「なるほど」
「伝説のノーマルスキルとは?」
「教会が存在を認めていないノーマルスキルをいう。俺は絶倫と巨根のスキルを手に入れて、教会に登録しにいくつもりだ。そうすればただのノーマルスキルとしてスキル一覧の本に追加されるのさ。」
ジョナサンがまた別な本を取り出す。
「こっちの本には絶倫や巨根のスキルもちの紹介として、今の教皇様や位の高い神官様、隣国のよぼよぼの皇帝陛下のことも書かれているんだぜ」
「よくそんな本が出回るものですね。教会から取り締まりはないんですか?」
「教会や国王、皇帝といった支配者階級はこの素晴らしいスキル情報を独占したいらしく、よく都市部では抜き打ち検査で没収されているな。ふざけた話だ」
ジョナサンは過去の没収時のことを思い出したようで机を思い切り叩く。
どう考えても皇帝陛下、教皇や神官たちへの名誉棄損になりそうなことが書かれており、没収されて当たり前の本にしか見えなかった。というか、この世界でこんな本(支配者層まで馬鹿にした詐欺本)を出版してるのは命知らずなのか?
試しに受けつけのひ弱そうな男性のロッキーに伝説のノーマルスキルについて聞いてみる。
「ジョナサンの話は話半分にするように。真に受けて信じて話すと笑われますよ」
「仮にそんなスキルがあったら、ノーマルスキル何ですか?」
「社会の役にたたないし、ノーマルスキルの分類が妥当だと思うけど、決めるのは中央の教会だ」