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5.冒険者ギルト

冒険者ギルドにクロトは来ていた。正しくは他の孤児の子供たちと一緒に掃除のために来ていた。

受付のお姉さんは…ではなく、婆さんが早朝は担当してるようだった。

婆さんが起きている時は、俺たち孤児をゴミをみるような視線を向けてくる。

掃除のタイミングはギルドは暇な時間帯らしく、暇そうに受付の婆さんは資料を眺めてるふりをしながら

居眠りをしていた。

婆さんの要るエリアのみは特殊なアイテムで空気が清浄化されているらしい。


冒険者ギルドは非常に汚い。粗雑な冒険者が飲み食いしたものがテーブルの上におきっぱになっているので、まずはそれらを片付けるのだ。ネズミはいるし、この世界のGもいる。床には食べこぼしは当たり前で、酷い日には人の糞まで落ちていることもある。

それを日の昇る前から孤児の子供たちが片付けるのだった。

「婆さん、片付け終わったよ」

「ああ、そうかい」

婆さんは確認のために、ギルド内を見回る。

「おいクソガキ、まだここに埃があるぞ。あと掲示物が斜めになってるぞ。」

他にも細かい指摘し、掃除以外の雑用まで押し付けてくる。

教会の孤児院の運営費は冒険者ギルドの寄付もあるため、仕方なく従う。

やっときれいになる。


屈強そうな男がギルドの中に入ってくる。

「婆さん、今日からここに拠点に活動するんだが、この周辺の討伐系でいい案件あるか?」

「は?」

「だ か ら、 と う ば つ け い で い い あ ん け ん あ る か」

「聞こえてる。そんなの知らん。掲示物の木札を適用にもってこんかい」

婆さんは屈強そうな男に対しても怯まずに受け答えをする。

男は不機嫌そうな顔をしながら案件を自分の目で確認する。

木札を取り、婆さんに渡す。

婆さんはその木札をじっと眺める。

しばし、無言の時間が流れる。

「ダメだね。後にしな」

男は堪忍袋の緒が切れたようで、

「いい加減にしろ。くそババア。死にてぇのか。」

「わたしぁ、もう歳でこんな細かい字は見えん。読める奴はあともう少したったらくるんだから

待てと言っとるんじゃ」

婆さんも逆切れし応戦する。


男は木札をもって、クロトの方にいく。

「おい、ボウズ。受付のババアは信用ならんから、この木札を別な受付がきたら、ジョナサンが依頼を受けたといって渡しといてくれ」

男はそういうと木札と小遣いを渡してでギルドを後にした。

クロトは仲間の孤児に目線を向けると、割とよくあるみたいな雰囲気だった。

その後も他の冒険者たちはきて、木札と小遣いを孤児に渡して、受付の仲介依頼をして去っていく。


それから2時間後に

ひ弱そうな男性がギルドに入ってきた。ひ弱そうな男性は孤児たちをみて、ため息をつく。

「またなんですか。ドーラさん。きちんと受付してくださいよ」

「わたしゃ、ここにちゃんと座って受付業務してた。今日も職務真っ当したから帰るぞ」

ドーラ婆さんがギルドから出ていく。

ひ弱そうな男性が孤児に対して木札と、それを渡した人の外見を聞いて

多分この人が依頼をうけたのだろうと判断して受付業務の記録を書いていく。

なんだかんだで1時間はかかったようだ。


そこに青年2人の組み合わせで、ギルドに入ってくる。

「冒険者ギルドに登録したいです」

入り口で大声でいう。

「君たち、受付は私一人で今はまだ本来の仕事が終わってないから、時間ずらしてくれないか?

もしくは私の仕事が区切りつくまで、そこの椅子に座っていてくれ」

2人組はぼそぼそ小声で相談し、取り合えずギルド内で待つことにしたようだ。


クロトは他の孤児たちに自分は冒険者ギルドに興味あるから、孤児院への戻りは遅くなると伝えた。

他の孤児たちは帰っていた。


クロトは青年2人に近づいていく。

「あの、冒険者になるために長年なにかを鍛えたりとかしてたんですか?」

「毎日の農作業の合間に木刀を振ったりしてたさ。あとは単純に体を鍛えていたしな」

青年二人ともが鍛えた足と腕の筋肉を見せてくる。

「俺たちは冒険者登録して、魔獣を狩って、そのうち魔術師や治癒師も仲間にしてドラゴン狩りするのが夢なのさ」

青年二人が自分の夢や村で何をしてたかを語りだす。そして時間が過ぎていく。


ひ弱そうな男性が、壁の依頼内容の情報を手作業で更新していく。

小声で「あの糞ばああが…」と言いながら掲示物を新しい情報にかなり雑に張りなおしていく。


どうやら仕事が終わったようで、

「君たちの登録をしよう。」

クロトは近寄ってその業務をみていくことにした。

棚から水晶を取り出す。まずはこれに触れるみたいだ。

1人目の青年が触れるが、変化なし。2人目の青年が触れるが、変化なし。

「君たちは凡人だね。良かったよ。これが光ったら、通報しなきゃいけないからね」

2人の青年は凡人と言われたショックよりも通報というワードに驚いたようだ。

「通報ってどういうことですか?」

「なんでも普通の人ではありえない力を持っている人が近年冒険者ギルドに登録しようとするということが多発してるそうなんだよ。しかも、まだ未成年の子供も含めてだよ」

「才能あるなら、英雄になれるじゃないですか?」

「ところが、鑑定でその才能をみると1つでも貴重なスキルをなんと3つも持っているんだ」

「すごい」

「そんな危険人物が国家や教会を敵にしたら大変だろう? コツコツ経験と実績を積んで人格に問題ない人なら英雄だけどね。信頼もないのにいきなりそんな力持ってたら、歩く兵器だよ。」

「ああ…なるほど」

「だから冒険者ギルドでは登録時に凡人かどうか確認してるのさ。君たちに才能がないっと言ってるわけでないから努力しだいだよ」

「ちなみに、光るとどうなるんですか?」

「その場は祝福の言葉の述べて、裏で討伐隊を編成しての狩りになるさ。君たちも強くなれば社会のためにその討伐隊に入ることもあるからね。頑張って強くなってくれ」

その後は受付の男性は細かいルールや冒険家としての心得を説明していく。


クロトは異世界ものといえば冒険者ギルドが定番だと思っていたが、この事情を知らずにいけば死んでいたに違いない。

教会の孤児院への帰り道、今後の方針がまったくきまらず、現状維持(孤児院にいる状態での情報集め)しか選択肢がないという結論に至った。













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