“先見”と“忘却”は私が覆します(2)
神には娘がいた。
神は殊更その娘を可愛がり愛した。
神が住まう天宮と呼ばれる塔に囲い込んでしまうくらいに。
そんなある日、その天宮をこっそり抜け出した神の娘は、この国の王子と出会う。
はじめは喧嘩ばかりだった二人だが、恋に落ちるのに、そう時間はかからなかった。
しかし悲劇が起こる。
王子が魔の者に殺されたのだ。
愛する者を失った神の娘は、永遠の命を捨て後を追った。
それに嘆き悲しんだ神は、我々人間を、この国を、この世界を、ありとあらゆるものを残したまま、姿を消してしまった。
そしてこの世界から神はいなくなった。
その日からこの国は“神がいない国”―――デウザビット王国となった。
これは今から約千年程前に起こったとされるお話。
この国に伝わる古からの御伽噺――――――――――――
私たちは幼き頃、この御伽話を題材にした絵本を読んでもらいながら眠りについた。
いつか“神の娘”と王子様が生まれ変わり、今度こそ幸せになることを夢見て。
だけど、人の想像――――――いや、妄想は留まることを知らないようで………………
「なになになに!こ、こ、この恥ずかしすぎる内容は!あぁぁぁぁぁ……こんなの私には絶対に読めない!お願いアカ、頑張って!」
『頑張れるかッ!なんでオレがこんな本を……よし!今すぐこのオレが燃やしてやる!』
「駄目よ!燃やして欲しい気持ちがないわけではないけれど、この本はあくまでの借り物なんだから!きゃぁぁぁ~~~ッアカ!ほんとに口から炎を出さないでッ!」
そう、あの後――――私とアカはシャウラが図書館の歓談室で手にしてた恥ずかしタイトル本以外に、さらに追加で十冊ほどの恥ずかしタイトル本をシャウラから押し付けられるようして手渡された。
その理由を、シャウラ曰く―――――――
『こちらの本は、私が厳選した“神の娘”とその運命のお相手である王子の、涙なしでは見られない切なすぎる恋物語ですわ。うふふふ……純粋なユーフィリナ様はご存知ないようですけれど、想像力が逞しい皆様にとって、“神の娘”と王子のお話ほど、想像力を掻き立てられるものはないそうですの。だってそうでしょう?実際の御伽話にも王子は“魔の者”に殺され、“神の娘”は命を捨てて後を追ったとなっていますが、そこにあるのは事実と結果だけで、具体的なことが何もわからないのです。“神の娘”と王子がどのように愛を育み、何故王子は“魔の者”に殺されることとなったのか………それ故に、このような想像の産物が大量にできてしまうのですわ。そこで、千年前の事実をご存知であるイグニス様にこれらをすべて読んでいただき、一番史実に近そうなものを、ユーフィリナ様に読んでいただきたいのです。ユーフィリナ様は“神の娘”としての自覚が持てないために、もしかしたら他にいるのでは?と、探されていらっしゃいますよね。もちろんそれも必要なことでしょう。しかし、自分を見つめ直すこともまた必要ではないかと思うのです。ですから、こういった物を読んで、何か感じるものはないか、思い出すことはないか、一度確かめてみてはどうでしょう?もし、何も感じ取れなかったとしても、“神の娘”について学ぶことができたと思えば、決して無駄ではありませんわ。ということで、お二人ともしっかりと読んでみてくださいませね』
――――――――ということらしい。
そして宿題とばかりにシャウラから預かり、馬車の中ではお兄様から怪訝な目を向けられつつも、どうにかこうにか誤魔化して屋敷まで持ち帰ってきた私たちは、自室のソファでその本を読み始めたのだけれど、最初の数ページで撃沈してしまった。
とにかく内容が甘美すぎるのだ。
“神の娘”と王子の恋愛部分に重きを置いているため、とにかく甘くて切なくて、なかなかに際どかったりする。
そのまま反射的にスパーンッ!と勢いよく本を閉じてしまうくらいに。
「ア、アカ……本当にこんなことが?」
『あるわけないだろ!フィリアとあいつは至極健全だ!』
「で、ですよね……こ、こんな…………きゃぁぁぁぁぁぁ!」
『ユフィ思い出すな!忘れろ!お前にはまだ早い!』
「む、無理ぃぃぃ~~~だって、さ、さ、挿絵が目に焼き付いて…………っていうか、そういうアカだって、仔狼だし、真っ赤じゃない!」
『オ、オレは元々赤いし、仔狼でもないッ!』
まさかこの世界にも、二次小説なんてものが存在するとは夢にも思わなかった。
いや、腐女子様方がいるくらいだから、こんな御伽噺から派生した二次小説だって、そりゃあるだろう。
私だって前世ではファンタジー小説を愛読していたし、それなりに際どいものだって読んだことはある。しかし、その内容がフィリアのことだと思うと、無性に恥ずかしく思えてとても読めそうにない。自分のことではないとわかっているのにだ。ましてや、ここまでの甘美な内容の小説を、アカと共有して読むなんてできるはずもない。
うん……駄目だわ…………刺激が強すぎる…………
というか、作家の皆さん、本当に想像力が逞しすぎる………………
よくもまぁ、王子が“魔の者”に殺されて、“神の娘”が後を追って死んだという話だけで、ここまでの創作ができたものだと感心してしまう。
それも、ドロドロの愛憎劇のような話を………
しかし、御伽噺でもあるように、“神の娘”は永遠の命を捨ててしまうほどに、王子のことを愛していた。
そこまでの激情を確かに持っていた。これらの本に描かれるほどの激情を………………
だとしたら、もし、また王子の生まれ変わりと出会えば、そんな恋に落ちてしまうのだろうか。
“神の娘”の―――――フィリアの魂は。
以前、アカに聞いたことがある。フィリアはどんな人だったのかと。
するとアカは答えてくれた。
好奇心旺盛で、いつだって笑顔で、とにかく周りを明るくする奴だったよ―――――と。
そんな無邪気にも思える人がそこまでの激情を?と、どうしても訝しんでしまう。けれど同時に、そこまで無邪気だからこそ、逆に純粋で一途なのかもしれないと納得してしまう自分もいたりする。
だからこそ、愛する人の死で、いとも簡単に心が壊れてしまったのではないかと。
けれど……………と、ふと蘇るのはアリオトの言葉。
“君はボクたちにとって邪魔な存在だからね。過去の君も、だから殺された…………いや、死を選ぶように仕向けられた。ボクの仲間……あいつを仲間と呼ぶのはなんだか腹立たしいな……とにかく、ボクと同じ眷属であるそいつの策略に嵌ってね”
アリオトの話によれば、フィリアは死ぬように仕向けられたということになる。それもアリオトの仲間の策略で…………
そうなると、御伽噺のようにただ単純に王子は“魔の者”に殺されて、フィリアが命を絶ったというわけではないということだ。
そしてそのことを、アカは間違いなく知っている。
当然だ。知らないはずがない。だってアカはフィリアの守護獣だったのだから。フィリアの死の直接の原因を知らないはずがないのだ。
私はそれに気づいていながら、フィリアの人となりは聞いても、フィリアの死について一度も問おうとはしなかった。
もちろん、問わなかった理由の一つに、悲しい過去の記憶を、アカに思い出させたくないという気持ちも、少なからずあった。
けれどそれ以上に、今はまだ聞きたくないと両手で耳を塞ぐ自分もいた。
だからきっと、シャウラはそれに気づいて、こんな本を渡してきたのかもしれない。
自覚がない、身に覚えないと言って、事実から目を逸らし、探ることをどこかで敬遠していた私に、いつかはちゃんと向き合うべきだと告げるために。
とはいえだ……………………
「だ、だからって、この本は絶対にないわ…………だってずっと二人がいちゃいちゃドロドロしているだけなんだもの…………」
そう赤面を両手で覆い隠しつつ呟けば、アカが呆れたような視線を私に向けて、『健全は健全だったが、それなりにいちゃいちゃしていたぞ。フィリアたちも』と、ちょっとした爆弾を投げつけてくる。それから『好いてる者同士、そういうもんだろ?ま、見せつけられている俺たちにとっては業腹だったがな。あの浮かれ王子に』と付け加えて、うんざりとばかりにため息を吐いた。
しかしすぐさまそのため息を苦笑に変えると、涙目で唇を尖らせている私に、『ユフィはまだまだお子様だな』などと言いながら、アカは私が閉じてしまった本を取り上げるようにして咥えた。そしてそのままテーブルに飛び移ると、積み上げられている他の本の上にその本を置き、ソファへと戻ってくる。それから私の隣の座り直すと、可愛らしく首を傾げ問いかけてきた。
『何があったか聞きたいか?』
「…………………………」
未だ冷めめない熱を持て余しながら、私はアカを見つめ返した。
もちろんアカが言う“何が”とはいちゃいちゃの内容でない。フィリアが死ぬことになった直接の原因についてだ。
言い換えるならば、王子が殺され、フィリアが死を選ぶことになった“魔の者”の策略について――――――――――
知りたい………………その気持ちはある。
でも、どうしようもなく怖い………………という気持ちがそれに勝る。
一言も発せられないままに固まる私の手を、アカがペロリと舐めた。
その感触に我へと返った私は、自分が瞬きすらも忘れていたことを知る。
そして一度目を瞑り、それから目を開けて、もう一度アカを見つめた。
アカの問いかけに対する答えを、口にするために。
けれど、私が声を発するよりも早く、アカが先に口を開く。
『悪い……意地悪な質問だった。それに、オレの方がまだ無理だ』
「アカ…………?」
私が声をかけると、アカの耳が気まずそうに垂れた。思わず手を伸ばして頭を撫ぜれば、アカは一層情けなさそうな顔となって私を見上げてくる。
『千年だ……もうあれから千年経った。だがこの千年、オレは後悔だけで生きてきた。あの時……もっとできたことはあったのではないか、フィリアの心にもっと寄り添えたのではないか、あの大馬鹿者の勘違い王子にもっとフィリアの気持ちを伝えてやれたのではないか、未だに後悔しかないのだ。こうしてフィリアの生まれ変わりかもしれない、ユフィと出会えた今となってもだ。すまない、ユフィ……オレがまだ話せそうにない…………だから、待ってくれ。ユフィが聞きたいと思ったことをちゃんと答えられる日が来るまで、もうしばらく………………そう、これはユフィのせいではない。オレの弱さのせいだ』
「ア……カ……………………」
『それと、これだけは予め言っておくが、自分がフィリアの生まれ変わりではないかもしれないからと、フィリアの過去を知るのはよろしくないとか、妙な罪悪感を持つ必要はないぞ。御伽噺の詳細版とでも思って聞けばいい。またその逆で、もし聞くのが怖いと思うのなら、無理して聞く必要もない。そもそもユフィはユフィでフィリアではない。フィリアの過去はあくまでもフィリアの過去であって、ユフィの過去ではないのだからな。今のユフィにとって大事なのは、過去ではなくこれからの未来だ』
「…………アカ」
私はそのままアカに抱きついた。そして、柔らかい毛に顔を埋める。
この優しすぎる守護獣は、すべてを自分の弱さのせいにして、私に向き合う時間をくれようとしているのだ。
確かに、知りたい気持ちはある。
けれど、それを知れば私の心が忽ち壊れてしまいそうな予感が付き纏う。
そしてそれこそが、所謂自覚ではないのかと言われてしまえば、否定できない自分がいる。
そう、私はそのことが怖いのだ。
認めざるを得ない状況に、自らを追い込むことが――――――――
だからこそ耳を塞ぎ、ヒロインという存在に、一縷の望みをかけてしまう。
ずるいのはわかっているけれど、今も胸を張って言い切れるほどの確固たる自覚はない以上、自分と本当に向き合うのは―――――フィリアの過去と向き合うのは――――――ヒロインを見つけ出してからにしたい。
だって、どう考えてみても、悪役令嬢の私が“神の娘”の生まれ変わりだなんて、世も末だもの…………
そんな言い訳をして、ごめんね、アカ。でも、ありがとう――――――と、私はアカに顔を埋めたまま、ぎゅっと抱きしめ直した。
「すみません……私には色々と早すぎました。シャウラ様のご厚意を無下に致しまして申し訳ございません」
次の日の放課後、私はいつもの歓談室で平身低頭となってその本の山をシャウラに返した。もちろんアカもそれに付き合ってくれている。仔狼の姿で。
シャウラは深々と頭を下げる私を、形のいい眉を下げながら暫し見つめると、「刺激が強すぎたかしら?」と呟いた。
私はその言葉に反応するように顔を上げ、赤面をぶら下げたままコクコクと首を縦に振った。
よくよく考えてみれば、シャウラと私は同じ歳なのだけれど、そこは個人差ということで、全力で肯定しておく。
そんな私に「あらあら……それは大変申し訳ないことをしましたわ」と、困ったように笑ってから、シャウラはそのままアカを流し見た。
「まさかイグニス様も早すぎたなんて仰いませんわよね」
『当たり前だ。あんなもので顔を赤らめるほど、オレはうぶではない。だが、作り話とはいえ、よく知る者のこんな話を愉しんで読めるほど、オレは無神経でもない!』
どう聞いても、可愛らしい真っ赤な仔狼の吐く台詞ではなかったけれど、実際のアカを思えばその通りであるため、もちろんシャウラからの反論はなく、艶やかな笑みが返された。
「確かに仰る通りですわね。まぁ私の場合、お兄様が誰とカップリングされようとも読めてしまいますが、おそらくイグニス様の感覚の方がごく一般的なのでしょう」
『………ある意味すごいな、お前…………』
「うふふ……ありがとうございます。それは褒め言葉として受け取っておきますわね。しかし……考えようによっては、ユーフィリナ様がここまで恥ずかしがって読めないということは………………」
そこで敢えて一旦口を噤んだシャウラの視線が私に刺さる。もちろん非難のものではない。何かを確かめるためのものだ。
そしてそれはおそらく、私自身の自覚に関することで、私はそれを察した途端、急に居たたまれなくなった。
何故なら、そこから逃げ出したことは私自身大いに自覚があるからだ。
しかしシャウラは、一瞬眇めてみせたその瞳を、今度は一転して優しげなものに変えると、口元に手をやり、何やらブツブツと呟き始めた。
「時期尚早……どうやら少し荒治療が過ぎましたわね。でしたら、今後はそれ以外の選択肢を消すことに専念するといたしましょう。ユーフィリナ様が認めざるを得なくなるほどに、あらゆる可能性をすっぱりと断ち切ってしまえばいいだけの話ですものね……」
「あ、あの…………シャウラ様?」
手で口元が隠されていたこともあり、私にはそのシャウラの呟きを聞き取ることはできなかったけれど、炎狼であるアカは一言一句聞き取れたらしい。
シャウラに対して呆れたように言葉を返す。
『親身になって色々やってくれるのは有難いが、ユフィはまだまだお子様だ。くれぐれもお手柔らかに頼む』
それに対し、シャウラは同意を示すように一層笑みを深めてみせた。
「そうですわね。これほどまでに過保護者が周りを囲んでいらっしゃれば、ユーフィリナ様がそうなられても仕方がございませんね。ですから、友人であるこの私が、しっかり面倒をみてさしあげないといけませんわね」
しかしアカは、このシャウラの返答がお気に召さなかったらしく、即座に切り返した。
『知ってるか?世間ではそれを大きなお世話と言うそうだぞ』
となれば、シャウラの笑顔の口撃が始まるのは必至で……………………
「あらあら、さすが千年以上の生きてらっしゃる守護獣さまは博識でございますわね。しかし、最近の事情にはお詳しくないようですので、僭越ながらお教えいたしますが、これは神聖なる女同士の熱い友情と申しまして、男性不可侵のものなのです。ですからここは、傍観に徹せられるのが最善であり、またそうすることによって、イグニス様もお望みの未来を早々に手にすることができるかと………」
『なるほどな。確かに最近の世には疎いかもしれないが、ユフィのことは詳しいぞ。なんせ四六時中一緒だからな。さらに言えば、男性不可侵とやらは守護獣であるオレには及ばないものだ。それにオレの望む未来は、すでにここにあるから問題ない』
「それは困りましたわね。ユーフィリナ様のお望みを知りつつ、今の状況で満足されているなんて、それはユーフィリナ様にずっと悩み続けることを強要されているのでしょうか。しかも、私はずっとイグニス様を男性として接してまいりましたが、今度からは女性としての対応をしなければなりませんね」
『なんでそうなるッ!』
「神聖なる女同士の友情に土足で踏み入ろうというのです。守護獣様といえども、笑顔で侵入許可を出すわけにはいきませんわ。守護獣様が女性であるというなら、話は別ですが。それにいい加減、度が過ぎた過保護はお止めになり、ユーフィリナ様を成人した立派な淑女としてご覧になるべきかと…………」
なんだろう…………アカとシャウラの間で、私にとって非常に有難くない会話が繰り広げられているような気がする。
そしてそれを止めたいのに、口を挟む間がまったくない。
にもかかわらず、まるでテニスの試合を観戦している客のようにアカとシャウラを交互に見やりながら、ただただオロオロしているだけの私に、アカとシャウラが同時に振り返り、『「ユフィ(ユーフィリナ様)も、そう思うだろ(思いますよね)!」』と、声を揃えて同意を求めてくる。
思わずその二人からの圧に押されて、うんうんと頷けば、またもや言葉の応酬が始まってしまう。しかも今度は…………
「今の愛らしい頷きは私に対してですわ」
『愛らしいのは認めるが、今の頷きはオレに対してだ』
「いいえ、ユーフィリナ様の視線は確実に私の方を向いておりましたわ」
『いや、オレのほうだ』
「いえ、あの…………その………………」
圧に押されて適当でした、とも言えず、ここはどう収束させればいいのだろうと頭を抱え込む。
そこへ、コンコン…………と、天の助けの如きノック音が、歓談室の空気を揺らした。
今の私にとっては紛れもない救世主。
藁にも縋る思いで「はい、どうぞ!」と立ち上がり、公爵令嬢としてはどうかという素早さで扉の前まで行くと、迷いなくその扉を開けた。
するとそこに立っていたのはお兄様とシェアトで、私を確認した途端、二人揃って渋い顔となる。
「何故、ユーフィリナが扉を開けるのだ?相手が私とシェアト殿だったからよかったものの、それ以外だったらどうする?」
「あ…………申し訳ございません……」
お兄様の言葉に、確かにこれがトゥレイス殿下だったとしたら大変なことになっていたわ、と軽率すぎる己の行動を反省する。
そんな自分の迂闊さと情けなさから、しょんぼりと俯いてしまった私の頭に、お兄様がふわりと手を置いた。
「すまない。少し強く言いすぎたな。だが、これからは気を付けなさい」
そう言って、ほんの少し口調と表情を和らげる。
けれど、それも刹那のこと。
お兄様は私の頭に乗せていた手を、そっと私の髪を撫でつけるようにして下ろすと、そのまま私の左手を取った。そして、やはりどこか硬い表情のまま告げてくる。
「ユーフィリナ、来なさい。スハイル殿下がお前に話があるそうだ」
不穏な空気を纏わせつつ告げられたお兄様の言葉に、私の心臓は俄に早鐘を打ち始めた。
こんにちは。星澄です☆
たくさんの作品の中から、この作品にお目を留めていただきありがとうございます♪
また再び大事件の予感…………
皆様にとってドキドキワクワクできるお話となりますように☆
恥ずかしながら誤字脱字は見つけ次第、すぐに修正いたします。
何卒ご容赦のほど………。:゜(;´∩`;)゜:。
星澄




