表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生した悪役令嬢ですが、どなたがヒロインなのか教えてください!  作者: 星澄


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

101/153

ヒロインの登場です!どうやらヒロインはお兄様を攻略対象にしたようです!(6)

「サルガス様、シャウラ様、お元気そうで何よりです」

 

 あの後、私たちは当初の目的地であったバルコニーへ移動した。

 そして、新鮮な空気を取り込みようやく落ち着いた私は、一番言いたかった台詞をそのまま口にした。

 開口一番がそれだったので、サルガス様とシャウラ様はさすがご兄妹と思わせる、よく似た苦笑となる。

「ユーフィリナ樣もお元気そうで何より嬉しいですわ。ずっと心配しておりましたのよ。全然学園に来られないから」

 そう言いながら、シャウラはその原因へと迷うことなく視線を向けた。 

 言うまでもなくお兄様にだ。

「まったく……ウチもそれなりだと、こないだの件で改めて自覚しましたが、上には上がいるというか、ウチのお兄様がこのレベルになったら、私の方から縁を切るというか、ユーフィリナ樣は本当にお優しくてよかったですわね。セイリオス樣」

 呆れと私への同情を綯い交ぜにして、シャウラがお兄様にチクリと針を刺す。

 しかし、お兄様は奇妙なことを聞いたとばかりに首を傾げた。

「ユーフィリナが優しいのは当然のこととして、何故縁を切られるような事態が起こるのだろうか?何のレベルがサルガス殿のレベルより私の方が上なのかはわからないが、たとえどんなにそのレベルが突き抜けていようと、万が一にも私とユーフィリナの縁が切れることはない。そんなことは絶対に私がさせない。永遠にだ」

「お、お、お兄様…………」

 一切の照れもなく、むしろ胸を張らんばかりにそう答えるお兄様の隣で、私は真っ赤になりながら、その口を閉じさせようとする。

 しかしお兄様は私をあやすように背中をトントンと叩くと、極上の笑顔で宣わった。

「二人の肉体が滅び、たとえ魂だけになったとしてもだ」

 だから安心していい、と私の顔を覗き込んでくるけれど、むしろ安心するより、私の息の根を止めにかかってきているとしか思えない。

 その極上すぎる笑みも、イケボと呼ばれる下腹を痺れさせるその声も、恥ずかしげもなく口にするその鳥肌ものの台詞も、私にしたらすべてが暗器だ。

 いや、まったくもって隠れていない時点で、ただただ致死率100%の殺人兵器でしかない。

 それをまともに食らってしまったのだから、ここで白目を剥いて倒れたとしても、誰にも責められないはずだ。

 そんなことを走馬灯のように脳裏で巡らせていると、諦観の境地に達しているらしいアカが諭すように告げてきた。

「セイリオスやめろ。不本意ながらオレはすっかり慣れてしまっているからいいが、耐性のないサルガスが見事な石像と化しているぞ」

 それにすかさず同調するのが、シャウラだ。

「えぇ、本当に。初心なお兄様には刺激が強すぎる………いえ、精神的ショックが強すぎるようですわ。それでなくとも傷心の身ですのに」

 そのシャウラの言葉に、真っ赤な顔で固まっていたはずのサルガス樣が反応する。どうやら無事に石像から人間に戻ったらしい。

「だ、誰が初心だ!そんなことあるわけないだろう!それに精神的ショックなど受けてないし、私はまだ負けたとも思っていない!」

 などとサルガス様がシャウラに噛みついたけれど、いつ勝ち負けの話になったのだろうと、内心で首を傾げる。

 それに、サルガス樣が傷心中なんて初耳だ。

 しかし、西の公爵家の兄妹だけがわかる身内同士の会話なら、ここで家族でもない私がその理由について問いかけるのは憚られる。

 そこで、お兄様の重篤なシスコンぶりを少しでも希薄に見せる目的も兼ねて、シャウラたち兄妹の仲の良さを主張してみた。

「ふふふ。サルガス様とシャウラ様はお互いを思い合って、本当に仲のいい素敵な兄妹ですわね。羨まし…………」

「「どこがです(の)!?」」

 二人当時に返されて、思わず目を丸くしてしまったけれど、そういうところが…………と、笑ってしまったのは仕方がないことだと思う。

 


「ユーフィリナ樣、ごめんなさい。先にこちらから感謝と謝罪をお伝えしなければならないのに、すっかり順序が逆になってしまって…………」

 一頻り笑った後で、突然そんなことを神妙に言い出したシャウラに、「えっ?」と、私は目を丸くした。

 すると、サルガス樣までが姿勢を正し、礼儀作法のお手本のような所作で頭を下げてくる。

「私からも改めて感謝と謝罪を述べたい。ユーフィリナ嬢、シャウラの魔力暴走を止めてくれて、本当にありがとう。そして心より謝罪させて欲しい。シャウラが依頼した魔道具が利用され、アリオトに拐われることになってしまった。本当にすまない」

「ユーフィリナ樣……ごめんなさい」

 二人に謝罪され、私はぎょっと目を剥いた。

「サ、サルガス樣!頭を上げてください!シャウラ様もそんな顔をなさらないで!」

 ブンブンと、首とそれに連動するように手を横に勢いよく振って、思いつくままに言葉を並べ立てる。

「あの時のことは、すべてアリオトが悪いのであって、サルガス様もシャウラ様もれっきとした被害者なんです!だから謝罪なんてなさらないでください!それに、もし謝罪をするなら私の方ですわ!」

 そう言い切って、驚きで目を瞠るシャウラを見つめて、へにょりと眉を下げた。

「シャウラ樣、ごめんなさい。友として私に話してくださったことを、已むを得なかったとはいえ、サルガス樣やお兄様、そしてスハイル殿下にお話ししてしまったんです。シャウラ様がサルガス様の負担を考えられて、魔道具をロー様に依頼されたことも…………シャウラ様がサルガス樣の罪悪感を少しでも拭ってさしあげたいと、失った記憶を取り戻したいと考えていることも…………」

「違う!それらを話したのはオレだ!ユフィではない!」

 アカが噛み付くように否定してくれるけれど、私は違うと今度は小さく首を振った。

「確かに、最初に口にしたのはアカ……いえ、イグニスだったかもしれない。でも、私もその場にいて、イグニスを止めなかったし、最終的には話すべきだと納得もしていたの。だから同罪よ」

「しかし、ユフィ…………」

 眉間に思いっきり皺を寄せ、薄く形のいい唇をへの字に曲げる。

 そんな顔ですら神が特別に創った聖獣だけあって、アカは品よく整っており、私は苦笑しながら続けた。

「いかなる理由があったにせよ、大切な友達との約束を守れなかったのは事実よ。だから私はちゃんと謝りたい。シャウラ様の友人として」

 そう声にした瞬間、何かが身体に体当たりしてきた。いや、違う。ものすごい勢いで抱きついてきた。

 不意を突かれてよろけそうになるけれど、舞踏会もまだ始まっていないのに、すっ転んでドレスを台無しにするわけにはいかないと、ほとんどない運動神経を駆使して必死に踏み止まる。なんて格好のいいことを言ってしまったけれど、実際のところはお兄様の反射神経の賜物で、傾いた身体を腕一本で支えられ、私はすっ転ぶのを回避した。

 しかし当面の問題は、私の運動神経がお兄様の反射神経とは比較にならないほど地を這っていることではなく、勢いよく私に抱きついてきた存在である。

「ユーフィリナ様!あぁ…………もう堪りませんわ。なんなのこの愛らしい生き物は!天使ですか!女神ですか!この私を一体どうなさりたいのかしら!もうこのまま一思いに食べてしまいましょう!」

「シャウラ!ユーフィリナ嬢から離れろ!っていうか、食べるな!」

 すぐさまサルガス樣が引き剥がそうとするけれど、シャウラは益々隙間なく抱きついてきた。

「何を仰っておりますの?この可愛さの前に、我慢ができるわけがないでしょう!ふふふ、お兄様。自分が抱きつけないからって、私に嫉妬するなんて、情けないにもほどがありますわ。男の悋気ほど醜いものはないですわよ!」

「なっ……!り、悋気などそんなこと…………って、いや、そうではなく、そこは我慢しろ!こ、こら!どさくさに紛れて、頬ずりをするな!」

「あぁ、可愛い!心が洗われるようですわ。そうね。やはりこのまま私が食べてしまいしょう!殿方にはもったいないですわ!」

「だから食べるな!お前は人食い人種か!」

 いつかの図書館の歓談室の時のように、ぎゅうぎゅうに抱きつき、さらにはすりすりすりと頬を擦り寄せてくるシャウラに、私は若干驚きながらも、じんわり喜びが滲み出てくるのを感じていた。

 そんな私にシャウラが告げてくる。

「ユーフィリナ樣、謝罪なんて必要ございませんわ。むしろ私にお礼を言わせてくださいませ。お兄様がすべて話してくださいましたの。私の失われた過去に何があったのか…………」

「えっ…………」

 そういえばと思い出す。

 アカは確かあの時、こう言っていた。


『――――――記憶を消した当時の七歳のシャウラではなく、今のシャウラは小生意気なくらいにしっかりと成長したシャウラだ。多少の辛い記憶なんて乗り越えられるかもしれない。しかし、それは一か八かでするようなことではない。だから、今回の件が片付いたら、まずは兄妹でよく話せ。それで大丈夫だと思ったら、ユフィに頼んでみればいい。ま、覆せるかどうかはわからんがな』


 そしてサルガス様は、アカの言葉に従い、シャウラにすべてを話したのだろう。

 もちろん私はシャウラの過去にどんなことがあったのかまでは知らない。

 それでもそれが、幸せで楽しいだけの過去でないことだけはわかる。

 七歳の子供の心を壊す恐れがあるほどの過去だということも。

 それを聞いて今のシャウラはどう思ったのか。

 やはりそれを聞いた後でも記憶を取り戻したいと思うのか。

 それとも………………


 私の身体があからさまに強張った。

 抱きついているシャウラがそれに気づかないはずがなく、「ふふふ……」と、笑いを漏らす。

 そしてもう一度私をぎゅっと抱きしめ直した。

「我ながら、なかなか壮絶な過去でしたわ。幼き子供が抱えるには少し重すぎるくらいの…………でも…………」

 シャウラはゆっくりと私から身体を離すと、泣き笑いのような笑みを浮かべた。

「私の失われた記憶は、お父様とお兄様の優しさで綺麗に埋まってしまいましたわ。だから、もう思い出す必要もございませんの。けれど、一応申し上げておきますが、決してこれは、辛い過去から目を逸らしたのでも、逃げ出したのでもなく、過去を過去として受け止めた上での結論ですから」

 そう言って、泣き顔だけを綺麗に消し去ったシャウラは、嫣然と笑ってみせた。

 その表情に憂いも迷いもない。

 あるのは、清々しさと凛とした美しさだけ。

 シャウラらしいと思った。

 過去を思い出さないと決断することで、サルガス様の行為を肯定し、その想いを真正面から受け止めたのだから。

 そんなシャウラと潔さと優しさに、今度は堪らず私から抱きついた。

 そして、胸に広がった気持ちをそのまま吐露する。

「シャウラ様、大好きですわ。ずっとずっと私の友達でいてくださいね」

 それから少し身体を離してニッコリと微笑めば、何故かシャウラの顔が真っ赤に染まり、呆けたように固まった。

 しかもそれはシャウラだけではなく、さっきまで私からシャウラを引き剥がそうとしていたサルガス樣までもが、真っ赤な顔をして呆然と立ち尽くしている。

「あ、あの…………シャウラ樣?サルガス樣?どうかされましたか?」

 恐る恐るそう尋ねる私に、シャウラの身体がぷるぷると小刻みに震えだす。

 しかも、何かに堪えるように、両手はきつく握り込まれ、ヘーゼルの瞳は固く閉じられており、見るからに只事ではない。

 もしかして何かの発作かしらと、心配で覗き込めば、シャウラの目がくわっと見開いた。

「もう限界ですわ!やはり私が食べてしまいます!」

「ひゃっ!」

 飛びつかんばかりの勢いでまたもや抱きつこうとするシャウラを、今度は素早くサルガス様が捕獲し、私もまたシャウラから引き離されるようにして、お兄様の腕に囲い込まれた。

 見事な連携プレーである。

 そして私の視界の先では、完全に不貞腐れた様子のシャウラを前に置いて、サルガス様の説教が始まり、それを横目で見たアカが深々とため息を吐いた。

「まったく……この無自覚な人たらしめが」

 アカのぼやきに、お兄様も同感だとばかりに頷く。

「本当に油断も隙もあったものではない。やはり“幻惑”で隠しておいた方がよさそうだ」

 しかしそのお兄様の台詞に、私はある事を思い出した。

 お兄様の余計な気遣いについて、物申さなければならなかったことを。

「お兄様、“幻惑”で思い出しましたが、今日の私にとんでもない“幻惑”をかけているでしょう?お気遣い痛み入りますが、今すぐ解除してください。正直、恥ずかしすぎて死にそうです!」

 お兄様の腕の中で必死に身を捩り、涙目で訴えてみたけれど、お兄様は「何の話だ?」と、不思議そうな顔で見返してくる。

 どうやら、しらばっくれるつもりらしい。

 そうは問屋が卸さないと、お兄様をキッと睨みつけ言い募った。

「誤魔化そうとしたって無駄ですわ。お兄様が私に“幻惑”をかけて、普段の地味顔を三割増しに可愛く見えるようにされているのを知っているのですから!」

 そう断言したものの、実際のところ三割増しなのか、五割増しなのかまではわからない。

 ここで「いや、八割増しだ」とは、お兄様も悪魔ではないので言わないだろう。そんな訂正を入れた時には、泣く自信しかない。

 しかし、どんなに冴えない地味顔だとしても、これが私の持って生まれた顔ならば、そんな上げ底はいらないのである。

 地顔で勝負。いや、端から勝負にはならないのはわかっているけれど、卑下する必要もない。

 

 それに……地味で華やかな色一つない顔だけれど、美少女だ…………と、前世の記憶が戻った直後に、うっかりそう思ってしまうくらいには整ってはいるものね。

 

 と、自らを鼓舞し、強気で言ってみたのだけれど………………


「「「「はぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」」」」


 盛大にため息を吐かれた。

 それもお兄様やアカだけでなく、シャウラや生真面目なサルガス様からも。

「な、なんでそこで皆してため息?」

 お兄様の腕の中から不服を申し立てれば、お兄様が聞き分けのない子供をあやすように聞いてきた。

「ユフィ……私はお前にそのような種類の“幻術”は一切かけていないよ。どうしてそんなことを思った?」

 そんな種類をかけていないというなら、どんな種類をかけたんだ?という話になるのだけれど、ここはそのことには振れず、そう思った理由について素直に話す。

「だって、国王陛下も王太后陛下も、先程お会いしたプリオル侯爵も、私のことを大袈裟なくらいに褒めてくださるから…………それに、国王陛下がデビュタントの時とは印象が違って見えると仰られていたし、だからてっきり…………」

 そう言いながらその答えに行き着いて、私は猛省していた。

 着飾った女性を前にして、褒めない方が失礼だ。つまり、社交辞令でしかない賛辞を諸に受け取った自分が、単に社交慣れしていないのを露呈しただけの話なわけで…………

 羞恥しかない。

 しかし、そんな反省しきりの妹に対し、お兄様はとんでもない爆弾を落としてくる。

「それはそうだろうな。デビュタントの時は全体的にぼやけて見える“幻惑”をかけておいたからな。おそらくぼやっとした印象しか残っていないはずだ」

「はい?」

「は?」

「なっ?」

「セイリオス!お前、それはやりすぎだ!」

 我が耳を疑ったのは何も私だけではなかったらしい。

 まさか、デビュタントの時に増し増しの“幻惑”をかけられるどころか、ぼかしの“幻惑”がかけられていたとは夢にも思わなった。

 なるほど、地味顔は増し増しではなく、ぼかすのか…………

 晴れのデビュタントがぼかし処理…………

 晴れのデビュタントがぼかし加工…………

 なんてことを考えていると、さらにお兄様のちょっと不機嫌な声が降ってきた。

「仕方がないだろう。ユーフィリナを不躾な視線から守るためには、そうするしかなかったのだ」

「「「だからって、ぼかしはないッ!」」」

 声を揃えてそう言い切ったアカたちに対し、私は心で賛同しながらも、まぁ、モザイクではなかっただけマシかな………………と思うことにした。

 


「ところでグラティア様のことですが……」

 そう切り出したのは、シャウラだ。

 私もお兄様の腕から無事解放され、そろそろホールへ戻ろうかとなったところで、戻る前にこれだけは聞いておきたいと、シャウラが少し早口で先を続ける。

「随分とセイリオス樣に執着されていたようですが、昔からのお知り合いかなにかでしょうか?」

 するとお兄様は即座に首を横に振った。

「いや、プリオル侯爵家のグラティア嬢などというご令嬢とは面識はない」

「では、プリオル侯爵家のグラティア樣ではない彼女とは面識があると?」

 まるで禅問答のような問いかけに、お兄様は答えを口にせず、曖昧に目だけで微笑んでみせた。

 しかしそれは、明らかに肯定の意を含んでいて、私の胸がツキンと軋んだ。

 シャウラもお兄様の表情に目を眇めて、それから何かを諦めたように一つため息を落とすと、改めて口を開く。

「まぁ、いいですわ。お二人の関係について、無理に聞き出すような野暮なことはいたしませんわ。ただ、編入されてからのこの一週間、学園内でも、ユーフィリナ樣とセイリオス樣をずっと探されているようにお見受けしましたから、ちょっと心配になりましたの」

「えっ?私のことも?」

 まさかという思いが先に立つ。

 けれど、確かに彼女は私が休んでいることも知っていた。

 お兄様を探し出すためにも、まずは同じ学園内にいる私を探すことにしたのだろうと、先程と同じ勝手な憶測を立てる。

 しかしシャウラの見解は違ったらしい。

「これはあくまでも私の女としての勘ですが、彼女はユーフィリナ様に対して敵愾心を持っているように思われます。それに、彼女は編入してたった一週間で、学園の人間を…………特に殿方ですが、すっかり骨抜きにしてしまいました。確かにあの見目ですから、当然といえば当然なのですが、しかし…………」

 言い淀んでしまったシャウラの言葉に、お兄様とアカは嫌悪を剥き出しにして眉を寄せた。

 サルガス様もまた何か思うところがあるのか、グッと唇を噛み締める。

 そんなお兄様たちの様子に、違和感を覚えつつ、私はアカへと視線を向けた。

「そういえばイグニス……グラティア様がフィリア樣に瓜二つだと呟いていたわよね。そんなによく似ているのかしら?」

 おそらくあの呟きはアカにしてみれば、本当に無意識で、ある意味うっかり心の声が駄々漏れてしまっただけなのだろう。

 しかし裏を返せば、そんな呟きをしてしまうほどにグラティア樣はフィリアに似ているということで…………

 アカは自分の迂闊さを呪うように、渋々といった体で声を絞り出した。

「あぁ…………目を疑うほどに似ているな。髪の色も瞳の色も……」

「そう…………フィリア様は本当に美しい方だったのね…………グラティア様が、たった一週間で学園で人気者になってしまうのもわかる気がするわ」

 私は記憶に焼きついてしまったグラティア嬢の姿を思い出しつつ、ぼんやりと答える。

 けれど――――――――

「それは違う!」

 お兄様の地を這う声に、私の意識が一気に引き戻された。

 そしてお兄様は唸るように告げる。


「あれば美しいとは言わない。醜悪と言うんだ」


 

 

 


 

  

 

 

 

 


こんにちは。星澄です☆ 

たくさんの作品の中から、この作品にお目を留めていただきありがとうございます♪


すっかり遅くなりました。

本当にすみません(泣)

そして発表まで辿り着かなかった………うぅ


次回こそは波乱の発表です。

そして投稿は土曜予定です。



恥ずかしながら誤字脱字は見つけ次第、すぐに修正いたします。

何卒ご容赦のほど………。:゜(;´∩`;)゜:。


どうぞよろしくお願いいたします☆



星澄

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ