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ヒロインの登場です!どうやらヒロインはお兄様を攻略対象にしたようです!(5)

 微かに、舌打ちと指の鳴るような音が聞こえた。

 しかしここは騒めく大ホール。

 その音は、溢れかえる音の洪水の中にあっさりと呑まれて消えた。

 でもそのすぐ後に、ある呟きが耳に届く。

 

 「ユフィに………いや、フィリアに瓜二つだ…………」

 

 そう呟いたのはアカだった。

 その言葉に、私は驚きと納得を同時にしていた。

 私はとてもではないけれど、彼女のような天使の如き可憐さと美しさなど持ち合わせていない。

 なのに、アカはなんてことを呟くのかと。

 けれど、フィリアに瓜二つという言葉には、大いに頷けた。

 “神の娘”であるフィリアなら、間違いなく、この目の前の彼女のように美しく愛らしかっただろうと。

 しかし私とは似ていない。

 いや、顔に配置されたパーツ一つ一つを見ていけば、そこはかとなく似ているのかもしれない。

 たぶん、その数くらいは…………

 でも、纏う雰囲気が違いすぎて、似ているなどと烏滸がましくて言えるはずもない。

 そもそも髪の色は違うし、瞳の色も違う。

 私の髪が淡紫のライラックなら、彼女の髪は白金で、私の瞳がエメラルドなら、彼女の瞳は澄んだ空色だ。

 そして何より違うのは、私は華やかさの欠片もない、自他ともに認める色なし地味人間だけれど、彼女は違う。

 白に近い淡い黄色、もしくは優しいピンク。

 彼女の全身からはそんな可愛らしい色が、溢れんばかりに感じ取れた。

 お兄様をひたむきに潤んだ瞳で見上げる彼女からは――――――――


「セイリオス樣………あぁ……ようやく……お会いできた……」

 

 恰幅のいい年嵩の男性にエスコートされているにもかかわらず、彼女はどうやらお兄様しか見えていないようで、隣に立つ男性をなおざりにしたまま、はらりと涙を一筋零す。

 さすがヒロインだわ。

 涙一つにしても完璧に美しいのね。

 なんてことをぼんやりと考えつつも、私は彼女を見つめた。

 けれど、私の隣にいるお兄様が今どんな表情をしているのか、怖くて見ることはできない。

 本来ならここで、「あらお兄様ったら、こんなに愛らしい方に焦がれられているだなんて、隅には置けませんわね」と、妹としてからかって然るべき場面なのかもしれない。

 それとも、「あとは若いお二人さんにお任せして…………」と、お節介な仲人さんのように気を遣い、アカを連れてこの場からさっさと離れるべきか……………

 しかし今の私には、それもできそうになかった。いや、できそうにないのではなく、むしろしたくなかった。

 この二人を残して、この場を離れたくないのだ。

 だからといって、お兄様と彼女の関係を知りたいわけでもなく、ましてやお兄様が彼女を見つめ、嬉しそうに微笑む姿を見たいはずもない。

 そんな勇気は今の私には微塵もない。

 そう、これは所謂立派な自己防衛だ。

 今にも、砕け散ってしまいそうになる自分の心を守るための。

 もちろん自分でも、今の私の行動が矛盾していることはわかっている。

 見たくないのなら、さっさと立ち去ればいいのに――――と。

 でも、二人だけにしたくないと、どうしようもなく心が泣き叫ぶのだ。


 過去、この痛みを一度味わったことがあるかのように――――――――――

 

 そのため、立ち去ることも、二人の様を見つめることも苦痛でしかない私は、ただ眩しい窓の外を眺めるように、完成された美しい絵画を観るように、ただぼんやりと彼女だけを瞳に映した。

 しかし、そんな私に聞こえてきたのは、お兄様の声ではなく、彼女の隣に立つ男性のものだった。

「グラティア、南の次期公爵様相手に失礼だよ。場所と立場を弁えなさい」

「あっ………………」

「セイリオス様、我が義娘が本当に申し訳ない」

 お兄様に対し丁重に頭を下げる男性の隣で、彼女はやってしまったとばかりに小さな声を漏らすと、眉尻を下げ申し訳なさそうにはにかんだ。

 そして慌てて頬に残る涙の跡を指を拭う。

 その一挙手一投足の愛らしさに、周りの男性たちから甘い吐息が一斉に漏れる。

 しかしここに至っても、お兄様は何故か一言も発しなかった。

 そのことに違和感を覚えつつも、私はお兄様の声を聞く前に、いっそのことこの場で目を閉じ、耳を塞いでしまいたいと真剣に思っていた。

 でも、当然それはできない。

 場所のせいもあるけれど、それをしたところでまるで意味がないからだ。

 目を閉じたところで、彼女の残像が離れず、耳を塞いだところで、近くで響くラッパの音のように、その声は防ぎきれないだろう。

 ならば、ここは公爵令嬢としての矜持を守るべきだと必死に前を向く。

 今の私ができる精一杯の微笑みを張り付けて…………

 けれど、ここで思わぬ味方が現れた。

「あら、プリオル侯爵家当主、イェッド・プリオル樣ではありませんか?」

 背後から聞こえてきたその声に、私は弾かれたように振り返った。

 そこには、艶やかな真っ赤なドレス姿で、魅惑的な笑みを湛えるシャウラが立っており、さらにそのすぐ後ろには苦笑気味のサルガス様もいた。

 あの日以来、学園にも行けず、会えなかった私の大切な友達と、アリオトに囚われていた私を助けるために、危険を顧みず来てくれた大切な仲間だ。

 ずっとずっと会いたかった二人の元気そうな姿に、何よりもこのタイミングで来てくれたことに、私の顔は無意識のうちに綻んでいく。

 そんな私に、ここは任せてとでもいうように、シャウラは自然な仕草で視線を向け目を細めると、再び口を開いた。

「まぁ、南の公爵家の方々とご歓談中に、わたくしとしたことが、大変無作法な真似をしてしまったようですわ」

 頬に手を当て、眉を寄せたシャウラは、その口調と表情は確かに申し訳なさそうではあったけれど、内心でペロッと舌を出しているのはなんとなく感じ取れた。

 うん、なかなかの役者だわ。

 しかも、ヘーゼルの瞳と艶やかに彩られた唇が弧を描く様は、とても私とは同じ歳には思えないほどの色香と迫力があった。

 そんなシャウラに気圧されたのか、プリオル侯爵と呼ばれた男性が僅かにたじろぐ。しかし、ここはさすがに年の功というべきか、瞬時の立て直しをしてみせた。

「いやいや、久しくお会いしないうちにシャウラ様は大変お美しくなられましたな。これでは西の公爵様も、さぞかし気を揉まれているのではないですか?あぁ、兄君のサルガス様も、すっかりご立派になられて、西の公爵家は安泰ですな」

 なかなかに恰幅のいい身体を鷹揚に揺らしながら笑い声を立てたプリオル侯爵に、サルガス様は目礼だけをし、シャウラは微笑みに紛れて目を眇めた。

「まぁ、随分とお上手なこと。そういうプリオル侯爵様も大変お美しいご養女を貰われて、気が気でないのではなくて?ねぇ、グラティア様」

 シャウラに視線を向けられたご令嬢――――――――グラティア様は目の錯覚かと疑ってしまうほどのほんの一瞬、迷惑そうにも、嫌そうにも見える顔をしたように感じたけれど、やはり既に疲労困憊となっている私の目の錯覚だったようで、瞬きの後には可憐な笑みの花を咲かせた。

 そして、頬をうっすら染めながら、恥ずかしそうに告げてくる。

「私など、シャウラ様に比べましたら全然ですわ。でも、編入したばかりの学園で恙なく過ごせているのは、すべてシャウラ様のおかげでございます」

「あらあら、嫌だわ。それではまるで、生徒会長であるお兄様を差し置いて、私が学園を牛耳っているみたいに聞こえるわね」

「い、いえ、決してそういうつもりでは…………」

「ふふふ、冗談ですわ」

 そう答えたシャウラはとてもにこやかだったけれど、グラティア樣の目にはそうは見えなかったのだろう。

 今度はさっと顔色を悪くして、オロオロと慌て始めるグラティア様の姿もまた一層可愛らしく、きっとこういうところが男性方の庇護欲を擽るのだわ…………なんてことを傍観者の立場で達観的に思う。

 そして、乙女ゲーム目線で見れば、このシャウラとグラティア様の状況こそ、悪役令嬢に虐められる可憐なヒロインの図に見えなくもない。

 まぁ、実際のシャウラは悪役令嬢でもなければ、虐めているわけでもないし、何よりこの世界の悪役令嬢はこの私なのだけれど。

 しかし、今のグラティア樣には、シャウラが悪役令嬢に見えているのか、完全に怯えたように視線を泳がせている。そして、助けを求めるようにお兄様を見上げ、さらにサルガス様に視線を流した。

 けれど、二人が無反応だったために、今度はアカを経由させてから、藁にも縋る勢いで私に視線を向けてくる。

 そして、薄っすらと涙を浮かべながら話しかけてきた。

「セイリオス様の妹君のユーフィリナ樣ですね。先日、プリオル侯爵家の養女となりましたグラティア・プリオルと申します。そしてお義父樣の計らいで、レグヌムデウザビット・マギア学園に編入させて頂きましたの。ユーフィリナ樣は、ずっと体調を崩されてお休みをされているとお伺いしましたが、もうお加減は大丈夫でございますか?」

 おずおずと自己紹介と一緒にそう尋ねられて、私は表面上は微笑みを浮かべながら、内心では違和感というか、不審感のようなものを覚えていた。

 まず、彼女にとって私は南の公爵家の息女というより、あくまでお兄様の妹であるということだ。そして、私が体調不良で(実際は違うけれど)学園を休んでいると知っているということである。

 そもそも私は、自分で言うのもなんだけど、学園では常に隠密スキルを発動させているので(知らず知らずのうちに)、かなり存在感のない公爵令嬢となっている。

 つまり、そんな私の噂を学園で聞くことは、ある意味、都市伝説や学園七不思議を聞くよりも難しい――――と、思うのだ(本当に自分で言うのはなんだけど)。

 それに、シャウラやシェアト、そしてサルガス様が彼女に私の話をしたとはとても考えにくい。

 だとしたら、彼女自身が私のことをわざわざ調べたということになる。

 しかし、その答えもあっさりと行き当たってしまった。

 お兄様を探す上で、色々と調べたんだわ…………きっと………………

 妙な確信を得て、気分がすっきりするどころか、益々憂鬱になってくる。

 正直言って、あまり気持ちのいいものではない。

 けれど、それが恋する乙女というものなのだという諦観もあって、私は微笑みを張り付けたままで、徐ろに口を開いた。

「初めまして、プリオル侯爵様、グラティア様。お会いできて嬉しいですわ。ここ数日学園の方には行けておりませんでしたが、このように今は体調もすっかりよくなり、今宵は舞踏会にも参加することができましたのよ。もし、体調が悪ければ、きっとお兄様が出席をすることを許可してくださらなかったでしょうし。ですから、どうかもうご心配ならさないでくださいね」

 はっきり言って、常日頃から隠密スキルに頼り切って生きているので、社交での挨拶などほとんどしたことがない。

 シャウラやシェアト、そしてスハイル殿下にしても、このような畏まった雰囲気での出会いではなく、どちらかというとただただ驚愕の中での出会いだった。

 だからこのように改めて挨拶するのは肩が凝るというか、非常に気が張るものなのだけれど、どういうわけかプリオル侯爵の顔が驚きを軽く通り越して、何かの怪奇現象でも見たかのように完全に硬直していた。

 しかも、目を零れ落ちんばかりに見開き、口をぽかーんと大きく開けながら、よくよく見れば身体全体を小さく戦慄かせている。

 そのことに今度は私のほうが驚き、思わず「プリオル侯爵……どうされましたか?」と声をかけた。

 すると、プリオル侯爵は慌てて口を閉じ、取り出したハンカチでじんわりと額に滲んだ汗を拭う。

「ま、まさか……南の公爵家のご息女様であるユーフィリナ様が、この場にいらっしゃるとは…………その、グラティアをお声をかけるまでそのお姿に気づかず、た、大変失礼をいたしました」

 あぁ………やっぱりここでも…………

 と、思ったくらいで、私としては驚きも、苛立ちもない。なんなら、私の存在に気づいたグラティア様の察しの良さに拍手を贈りたいほどだ。

 しかし、プリオル侯爵の驚きはこれで終わらなかった。それどころか尚一層、瞬きさえも忘れて私を一心に見つめ、顔を真っ赤に染め上げていく。

 うん、これも知っている。

 初対面の時のシェアトとスハイル殿下と、まったく同じ症状だ。

 私の隠密スキルの凄さに圧倒されて、自分の察しの悪さに羞恥しているのね。

 と、もちろんこれにも驚かない。けれど、次に発せられたプリオル侯爵の言葉に、再び私が驚くことになる。

「な、なんてお美しい…………ここまで無垢で美しいご令嬢を私は今まで見たことがない…………あぁ、確かに南の公爵樣がずっと隠されているわけだ…………」

 

 はい?

 一体何を言ってらっしゃるのかしら?

 今まで見たことがないって、私なんかよりもお美しいご令嬢をエスコートされているではないですか。


 先程の国王陛下や王太后陛下もそうだったけれど、社交辞令の褒め言葉にしてはちょっと度が過ぎているような気がする。

 しかもそのせいで、心なしか隣のグラティア様の機嫌が悪くなっているように見えるのは、私の気のせいだろうか。

 そしてこういう時にこそ社交慣れ、不慣れという経験値が出るものらしく、私はただただ過大評価過ぎる賛辞を受け止めきれずオロオロとするばかりなのに対し、私の周りにいる面々はシャウラを筆頭に、サルガス様も、そして何故かアカまでもが、お兄様に半目を向けていた。

 そこでようやく合点がいく。

 どうやら、この賛辞の原因はお兄様が“幻惑”の能力を使った結果らしい。

 想像するに、地味な私を周りの嘲笑から守るために、とびっきりの美人に見える“幻惑”をかけているに違いない。

 それはもう、シャウラたちが呆れてしまうほどの。

 なるほど…………

 道理でここまでの賛辞をもらえるわけだわ。

 ――――と、ここでようやく私はお兄様を見上げて、睨みつけようとした。

 てっきり、してやったりという顔をしていると思いきや、お兄様は珍しく苦虫を嚙み潰したような顔をして、さらにはグラティア様を睨みつけている。

 これでは感動の恋人同士の再会どころか、親の仇に会ったかような顔だ。

「お、お兄様……?」

 本当ならばここで睨みつけるのは私のはずだったにもかからわず、それすらも忘れて、私はお兄様に呼びかけた。

 するとお兄様は私の声に反応し、「あぁ、問題はない」と、いつもより硬質な声で返してきた。

 そして、離れていた手が私の背中へと戻ってくる。

 それだけで、泣き濡れていたはずの私の心が、その手の温もりに安堵の息を漏らすのだから、我ながらとんでもなく単純だ。

「ところで、国王陛下へのご挨拶はお済なのかしら?」

 依然として私を見つめ続けるプリオル侯爵の視線を私から引き剥がすためなのか、シャウラがそう声をかければ、プリオル侯爵はハッとしたように我に返り、「い、いえ、これから行こうとしていたところで……」と、罰が悪そうに口にする。

 早い話、挨拶に行こうとしていたところで、グラティア様がお兄様を見つけてしまい、思いがけず立ち止まることになってしまったのだろう。

「だったら、急がれたほうがいい。もうそろそろスハイル殿下も登場される」

 そうお声をかけたのはサルガス様だ。

 さすが気遣いのできる生徒会長は、このような場でも遺憾なくその世話焼きの能力を発揮してしまうようで、スハイル殿下が登場すると伝えることにより、暗に例の発表の時間が近いことをさり気なく教えている。

 そう、つまりは――――――――

「せっかくこのために見目麗しいご令嬢をご養女にされたのだ。早くご挨拶に(売り込みに)行かなれば、勿体ないと思うが?」

 お兄様の言いようもなんだけれど、おそらくそういうことなのだろう。

 明け透けなお兄様の物言いに、気を悪くする時間すら勿体ないと、「で、では失礼して……さぁ、陛下にご挨拶に行くぞ」と、プリオル侯爵はグラティア様を促した。

 しかし、グラティア様の視線はお兄様から離れない。それどころか、半分身体をプリオル侯爵に引き摺られつつも、お兄様へ向かって必死に言い募る。

「あ、あの、セイリオス様、この後の舞踏会では私と一曲踊っていただけませんか?」

 相当な勇気がいったと思う。

 二人にどんな過去があったのかわからないけれど、彼女が必死さがお兄様をどれほど慕っているのか、否応なしに私に知らしめてくる。

 それはまるで氷の刃で心を貫かれるくらいには。

 けれど、彼女の想いに答えるお兄様の声は、すべての感情を押し殺したかのように、酷く冷淡なものだった。

 

「申し訳ないが、一瞬たりともユーフィリナの傍から離れる気はない」

 

 周りの音も一瞬遠ざかり、落ちた沈黙。

 ある意味シスコンならではの断り文句ともいえる。

 しかし、グラティア樣からすれば、妹である私のせいで振られたようなもの。

 羞恥に染まった真っ赤な顔で、私を憎々しげに睨みつけてくる。

 可憐な顔にその顔は似合わないな…………などと脳裏を掠めた瞬間、グラティア樣は突然ふわりと微笑んだ。 

「では、また改めまして、機会がございましたら」

 その言葉とともに、周りの音が耳に戻ってくる。 

 そして、愛らしさとはかけ離れた大人びた笑みを浮かべると、グラティア樣は淑女の礼をとり、プリオル侯爵と一緒に人波へと紛れて行った。

 それを見送って、私たちの間に落ちたため息。

「まったく………いきなりか…………」 

「本当に。偶然かどうかはわかりませんが、こうしてすぐに接触してくるとは、油断も隙もあったものではないですわね」

「シャウラ、落ち着け」

 アカに続いて、シャウラとサルガス様がやらやれとばかりに話し出す。

 どうやらアカたちは、私の知らない何かしらの事情を知っているらしい。

 できれば私もその輪に加わり、先ずその説明を聞く前に、シャウラとサルガス様に会えて嬉しいことを言葉にしたいのだけれど、グラティア樣が残していった空気から未だに抜け出せずにいる。

 そしてそれは、お兄様も一緒のようで――――――――


「私は二度と……間違えない…………」


 喧騒に吐き捨てるように零れ出た独り言。 

 それは誓いの言葉ようで、どこか鬼気迫る戒めの言葉のようでもある。

 やはり二人の間に、何かあったのは間違いないようだ。

 そして、お兄様が私を通してずっと見ていたのは彼女―――――グラティア樣なのだろう。


 お兄様は、彼女とのことで一体何を二度と間違わないつもりなのか。

 それは、彼女と二度と別れないようにするためなのか。

 それとも、敢えて冷淡に接したのは、スハイル王弟殿下の婚約者有力候補の一人になるだろう彼女の幸せを思ってのことなのか。

 グルグルと回る不穏な考えが、ダークカラーのマーブル模様を描いていく。

 

 知りたくなかった。

 会いたくもなかった。

 でも、彼女を見てしまった。

 そしてその彼女は、私がずっと探していたこの世界のヒロインと思しき人で、お兄様を恋い慕っている。

 

 その事実から目を逸らすように、私は不安で塗り潰された思考を、強制的に閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは。星澄です☆ 

たくさんの作品の中から、この作品にお目を留めていただきありがとうございます♪


うぅ、すみません

また一日遅れです。

駄目ですね〜(泣)


さてお話は、

ヒロインらしきご令嬢の登場で、なんだか不穏な雰囲気になってきました。

次回はヒロインの学園での様子と、例の発表です。



恥ずかしながら誤字脱字は見つけ次第、すぐに修正いたします。

何卒ご容赦のほど………。:゜(;´∩`;)゜:。


どうぞよろしくお願いいたします☆



星澄

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