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妹との再会

 四の鐘(15時)のころ。

 俺たちは集会の間に集まって定例会議を開いていた。

 

 今この場には幹部の全員が集まってる。

 街の開発計画についての情報を共有するため、忙しい中みんな集まってくれたのだ。


 そんな中。

 門番のズーポが慌てた様子で広間に飛び込んでくる。



「支配者さまっ! た、大変ですっ!」

「どうした?」

「そ、その……! お、驚かないで聞いてほしいのですが……」

「分かったから落ち着いて話せ」

「は、はいっ……。それが……その……人族の方たちが……盟主である支配者さまにご挨拶したいと入口まで来ておりまして……」


 その瞬間。

 集会の間に大きなどよめきが起こる。

 

 もちろんそれを聞いて俺も驚いた。


(まさか……ルーデウス村のみんなっ?)


 ガンフーが冷静に問い返す。


「それは誠なのか?」

「はい、本当です。全員で四人おりまして……さらに驚きなのが自分たちはエアリアル帝国の生き残りだと言うんです」

「なんやて!?」

「帝国の生き残りがいたなんて……」

「ふむ」


 ドワタンとルーク軍曹が驚きの表情を浮かべる。

 霧丸もどこか神妙そうな顔をしていた。


(エアリアル帝国の生き残りだって?)


 その言葉に俺は引っかかりを覚える。

 そして、次の刹那。


(――――!!)


 脳裏にあの光景がふたたびフラッシュバックした。

 今度のは以前のときよりも鮮明だ。 






 玉座の間のような場所で俺は君主らしき男の前で跪いている。

 顔を上げると司祭さまが祝詞を読み上げた。


(これは……天恵の儀式?)


 やがて。


 樹妖精ドライアドと契約を終えて司祭さまから祝福を受けると、高座の長椅子に腰をかける男がこう口にする。

 

『おめでとう。これでお前は勇者としての祝福を受けた。これからその手で世界を救うのだ』


(!)

 

 勇者……?

 これはいったいなんなんだ?

  

 俺の記憶なのか?






 そこでふと意識は現実に戻った。

 なぜなら、同じ単語がズーポの口から聞えてきたからだ。


「なんでも勇者と呼ばれる者を探しているのだとか」

「勇者? なんやそれ」

「吾輩は聞いたことがあります。今から5年前、大魔帝ニズゼルファにたったひとりで戦いを挑んだ人族の英雄の名だったかと」

「それなら我も知っておる。だが勇者は大魔帝に敗れたのではなかったか?」


 え、敗れた……? 

 耳を疑いたくなるような言葉が聞えてきて思わずガンフーに詰め寄る。


「勇者さまが大魔帝ニズゼルファに敗れたって……本当なのか?」

「はい。微精霊を通じて世界中の種族にその事実が知らされたはずです。なのでほかの者たちも知っているかと」


 ガンフーの言葉に霧丸とルーク軍曹も頷く。

 ドワタンだけはこのことをはじめて知ったようだけど、たぶん父上は把握してたはずやと付け加えた。


「それでその勇者が負けた結果、エアリアル帝国は滅びることになりました」

「!」

 

 霧丸に目を向けるもガンフーと同じことを口にする。


「我々もそのように認識しております」

「そんな……」


 正直言って俺はかなり混乱していた。


 5年前に勇者さまは大魔帝に敗れてた?

 待ってくれ、ぜんぜん理解が追いつかないぞ。


 この件についてもルーデウス村で教えられてきた話とまるで違う。

 

「けどその勇者探してるちゅーことは、そいつはまだ生きてるってことやないか?」

「たしかにそうですね。街の入口に来てる人族が本当にエアリアル帝国の生き残りなら、大魔帝に敗れた勇者が実は生きていてもおかしくないのかもしれません」


 ドワタンの言葉にルーク軍曹が同意する。


「なんにしても。ここは詳しく話を聞いた方がいいかもしれません、ティムさま」

「あぁ、そうだな」


 どこか胸騒ぎのようなものを覚えつつ、霧丸の言葉に頷いた。


(そうだ。ここであれこれ考えていても答えが分かるわけじゃない。勇者さまについてなにか知ってるかもしれないんだ。詳しく話を聞いてみよう)


 俺は幹部のみんなと一緒に街の入口まで向かうことにした。




 ◇◇◇




 入口には本当に人族の姿があった。

 遠くから見てもすぐに分かる。


(ははっ……マジか)


 久しぶりに見る同胞の姿に思わず懐かしさが込み上げてくる。

 これまで多くの仲間たちと一緒に過ごしてきたわけだけど、人族が自分ひとりだけって状況は内心寂しく感じていた。


 だから余計にうれしかった。


 ズーポの報告どおり相手方は全員で四人のようだ。

 若い女の子がふたりと大男のおっさんと小太りなじいさんっていう珍しい組み合わせだった。


 心なしか気持ちが浮ついたまま声をかける。


「待たせたな。俺が盟主のティム・ベルリだ。まさか人族に会えるとは思わなかっ……――!?」


 近づいてみて思わず目を疑った。


(ヨル!?)


 そこに妹がいたからだ。

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