↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/28

興津湾 海辺の水族館


 興津湾(おきつわん)では、再開発(さいかいはつ)が進(すす)んでいる。民間企業(みんかんきぎょう)が関(かか)わり、この土地(とち)はリゾート地(ち)になるそうだ。

 この町(まち)には市立(しりつ)の小(ちい)さな水族館(すいぞくかん)があった。私(わたし)が幼(おさな)い頃(ころ)に祖母(そぼ)に連(つ)れて行(い)ってもらった。それから、色々(いろいろ)な事(こと)があって行(い)けていなかった。いつか息子(むすこ)の優太(ゆうた)を連(つ)れて行(い)きたいと考(かんが)えていた。


 パソコンを開(ひら)いて水族館(すいぞくかん)について検索(けんさく)する。機械(きかい)は相変(あいか)わらず苦手(にがて)だが、写真(しゃしん)の管理(かんり)やメールのやり取(と)りにどうしても必要(ひつよう)なので志保(しほ)に選(えら)んでもらった。

 最近(さいきん)の作家(さっか)はパソコンで書(か)くそうだが、私(わたし)は原稿用紙(げんこうようし)に書(か)いている。


 ホームページを覗(のぞ)くと、水族館(すいぞくかん)は、私(わたし)が行(い)っていた頃(ころ)とは様子(ようす)が変(か)わっていた。敷地面積(しきちめんせき)は倍(ばい)になっていて、リゾートホテルまで建(た)てられている。それに、入場(にゅうじょう)するには事前予約(じぜんよやく)が必要(ひつよう)らしい。私(わたし)はパソコンの画面(がめん)を開(ひら)いたまま、志保(しほ)の所(ところ)に持(も)って行(い)った。

「あそこの水族館(すいぞくかん)、最近(さいきん)まで工事(こうじ)をしていて、やっと開(あ)いたばかりなんだよ」

志保(しほ)は自分(じぶん)のスマートフォンを開(ひら)いて、同(おな)じページを開(ひら)いた。

「テレビや雑誌(ざっし)でも紹介(しょうかい)されてたけど、もしかして知(し)らなかった?」

「ああ、流行(はや)りものには疎(うと)いからな…」

「予約(よやく)はしとくよ、私(わたし)も行(い)きたかったからね」

志保(しほ)はスマートフォンを操作(そうさ)して水族館(すいぞくかん)の予約(よやく)をした。志保(しほ)によると、この水族館(すいぞくかん)はチケットレスという方式(ほうしき)で、入場時(にゅうじょうじ)にはスマートフォンをかざすらしい。

「今度(こんど)の土曜日(どようび)で良(い)いよね?」

「ああ、そうしてくれ」 

志保(しほ)はカレンダーに印(しるし)を書(か)いて、台所(だいどころ)に行(い)ってしまった。

 改(あらた)めて、水族館(すいぞくかん)のホームページを見(み)た。民営化(みんえいか)された水族館(すいぞくかん)は広々(ひろびろ)としていて、どこも人(ひと)が集(あつ)まっている。

 以前(いぜん)の水族館(すいぞくかん)は仄暗(ほのぐら)く、何処(どこ)か寂(さみ)しい様子(ようす)だった。あの頃(ころ)はあまり水族館(すいぞくかん)には興味(きょうみ)が無(な)く、大(たい)した思(おも)い出(で)も無(な)いのだが、こうして変(か)わり果(は)てた建物(たてもの)を見(み)ると寂(さみ)しい。  

 パソコンを閉(と)じて仕事(しごと)に戻(もど)る。最近(さいきん)も、立(た)て続(つづ)けに仕事(しごと)が舞(ま)い込(こ)んで来(き)ている。そのうちの一(ひと)つを早々(そうそう)に片付(かたづ)け、提出(ていしゅつ)の準備(じゅんび)をした。


 それから、次(つぎ)の休(やす)みになった。志保(しほ)と優太(ゆうた)を連(つ)れて、電車(でんしゃ)に乗(の)る。水族館(すいぞくかん)までの道(みち)は混雑(こんざつ)していた。休日(きゅうじつ)というのもあるのだろう、子供連(こどもづ)れの客(きゃく)が多(おお)い。

 入場(にゅうじょう)して本館(ほんかん)に入(はい)った。海(うみ)の環境(かんきょう)を再現(さいげん)した水槽(すいそう)が目(め)の前(まえ)にある。興津湾(おきつわん)周辺(しゅうへん)の他(ほか)に、南国(なんごく)の海(うみ)の水槽(すいそう)もあった。

 以前(いぜん)同(おな)じ場所(ばしょ)にあった水族館(すいぞくかん)よりも設備(せつび)が充実(じゅうじつ)していて、通路(つうろ)も広(ひろ)くなっている。

「最近(さいきん)、ずっと忙(いそが)しそうにしていたでしょ、だから、たまにはゆっくりして欲(ほ)しいな」

優太(ゆうた)は魚(さかな)に興味(きょうみ)があるようで、水槽(すいそう)に釘付(くぎづ)けになっていた。

「私(わたし)も小(ちい)さい頃(ころ)に両親(りょうしん)に連(つ)れて行(い)ってもらったな、懐(なつ)かしい」 

志保(しほ)は優太(ゆうた)の後(うし)ろに立(た)って水槽(すいそう)を眺(なが)めていた。


 それから、イルカショーを見(み)てからお土産屋(みやげや)で優太(ゆうた)にイルカのぬいぐるみを買(か)った。水族館(すいぞくかん)の中(なか)にあるカフェで休憩(きゅうけい)する。

 この水族館(すいぞくかん)はどこも賑(にぎ)わっていた。幼(おさな)い頃(ころ)の水族館(すいぞくかん)とは様子(ようす)が異(こと)なっていたが、それでも、優太(ゆうた)やそれよりも小(ちい)さな子供達(こどもたち)は楽(たの)しそうにしていた。


 私達(わたしたち)は水族館(すいぞくかん)を後(あと)にした。優太(ゆうた)は疲(つか)れてしまったようで、電車(でんしゃ)の中(なか)で寝(ね)てしまった。

 

 

 



 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。