人類史に名を刻む英雄
8769年
人類は地上を捨て地下に都市を築き暮らしていた、地下都市は暗くどこも薄汚れており人々の目には光がなく、科学を含む全ての学問はは大きく後退し、地上時代の人類が遺したものはほとんどなく奇跡的に絵などが数個発見されたくらいだった。
「これで完成だ。しっかり記録していたまえ」
「はい、博士。これで博士は人類史に残る人物になったのですね」
研究室のような場所で白衣を着た2人組が頑丈な鉄鋼を杭でとめ、あちらこちらからパイプが飛び出しているとても巨大な球体を背に話していた。
「ここまで来るのに本当に長かった。私の曾祖父さんがこの設計書を完成させてから220年かかったが、私の代で完成させることができて本当によかった」
「この人口太陽があれば再び人類は活気を取り戻すのですね。地上にいた頃の人類は活気があり、生命力に溢れていたと聞きます。そんな時代が再びやってくるのですね博士」
「そうだとも、君も長い間本当に世話になったな。話はこのくらいにしてとにかく今は人類を救う為一刻も早くこれを王様の元に届けよう」
宮殿の広場に王様と博士と助手、それをたくさんの群衆が取り囲んでいた。
「以上で説明を終わります。王様、 一刻も早くこの人口太陽で人類を救いましょう」
「よくわからんがその大きな球体が人類を救うのだな?。よし、すぐにでも取り掛かりたまえ。」
王様がそう言うと博士はパイプとパイプの隙間にあるボタンを押し、巨大な球体は少し揺れ、その後徐々に浮き始めた。
「しかし、本当に大丈夫なのか?」
「安心してください王様。地上に住んでいた頃空には太陽が浮かび当たり前のように人類はその光を浴びていました。地上時代の人類がわずかに遺したこの絵の右上にも太陽が描かれているでしょう」
そう話していると人口太陽はすでに王様の宮殿よりもっと高く、博士たちが立っている地面から30Kmほど上にある、天井と呼ばれる地下世界の果て辺りに到達していた。
「いよいよですね博士、計算ではおそらくあと10秒後くらいに熱を発します」
「ああ、本当に楽しみだ」
10秒後、1600万度の人口太陽が地上30Kmの距離で輝いた