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第5話 消し去る鳥

学校の帰り道、僕と漣はクレープ屋さんによって、二人でクレープを食べた。僕はツナマヨクレープで、彼女はチョコバナナ。お互いの頼んだ物が違うので、食べ比べをしてみた。「まるでデートみたいだな」と僕が言うと、漣は頬を染めて、「そうだね、デートみたいだね」と返してきた。くっそうなんて可愛いんだ、漣は。こんな幼馴染を持って僕は幸せだ。人生2週目万歳。幼馴染万歳。これで僕もリア充の仲間入りだ。僕は残りのクレープを勢いよく平らげた。漣は小さな口で少しづつ味わうようにクレープを食べている。これは少し時間がかかりそうだ。僕はもう一枚クレープを食べることにした。一回目はしょっぱいのだったので、今度は漣と同じチョコバナナにした。

「あー、流呉食べすぎ、太るよ」

「平気だって、学生生活はお腹が空くんだよ」 

 僕は猛烈な勢いでクレープを口の中にかき込んだ。味わっているつもりだが、イマイチ味がよくわからない。ただ甘くて美味しいという情報だけが脳みそにインプットされた。

「もう、口、凄いよ」

 漣はティッシュを取り出し、僕の口を拭いてくれた。そのかいがいしい所作は恋人のようだった。でも僕と漣はまだ正式に付き合っているわけじゃない。ほとんど付き合っているのも同然だが、まだお互い気持ちを確かめ合っていないのだ。 

 僕は漣のことが好きだ。幼い頃からずっと一緒にいた。一緒に勉強し、剣術の研鑽をし、魔法習得を助け合った仲だ。幼馴染であるが僕は彼女に恋をしている。漣は中学校までは可愛い感じだったが、高校にはいってから美しさを感じさせるようになり、乳房もふくらみ、色気をかもし出すようになってきた。僕は漣を自分の物にしたい。ずっと彼女と一緒にいたい。高校を卒業しても、一緒の大学に行って、一緒に働いて、そして結婚するんだ。

「どうしたの、人のことじろじろみて」

「いや、別に、食べるの遅いなって思ってた」

「あなたが速すぎるのよ。太ったらもう一緒にクレープ食べてあげないから」

 そう言ってホッペを膨らませる漣には、まだ少女のあどけなさが残っていたので僕は安心した。僕達はまだ十五歳だ。人生薔薇色、未来の可能性は無限大。

 僕達が食べていたクレープを鳥がつまんできた。

「あら」

「この、卑しい鳥め」

 僕はしっしっと鳥を追い払った。

「さて、クレープも食べたし、帰りますか」

 漣が満面の笑みで僕を迎えてくれる。その笑顔が嬉しい。思えば1週目の高校時代は悪夢だった。先生には落ちこぼれ扱いされ、生徒達には苛められていた。学校を卒業しても就職先は見つからず、家でゲームばかりする引きこもり生活。1週目の僕は完全に出来損ないだった。まさに生まれてきてごめんなさいという感じだ。だから死んで異世界に行けた時は正直嬉しかった。やっと僕の時代がきたってね。僕は現世での体たらくぶりが嘘のようにやる気を出して冒険を進めたんだ。そして散々の苦労と犠牲の上に魔王、理を倒したんだ。

 理とは奇妙な名前だ。まあ自らを理と名乗る割りには大したことなかったけどな。少し戦闘強度を上げすぎたかもしれない。戦闘強度とは誰にでも備わってる物で、魔物を倒すたびに強化されていく力のことである。この戦闘強度が高すぎると、チート級の武力を身に付けられ、素手で魔王をちぎることさえ可能だろう。

「さっきから一人でぶつぶつ何しゃべってんの、流呉」

 漣に声をかけられてしまった。

「ちょっと明日のテストのことが気がかりで」

「ねー、入学早々テストなんて酷いよね」

 ふう、何とかごまかせた。

 僕と漣の家は目と鼻の先ほどの近くにある。夜になるとお互いの家の窓から互いの部屋がのぞきこめるのだ。下手に家でスーデルを召喚しようものなら浮気を疑われて嫌われてしまう、気をつけなければ。

「火事だーーーー!」

 僕の家の方角から男性の叫ぶ声が聴こえた。一体火事ってどういうことだ。まさか僕の家じゃあないよな。僕は大急ぎで自宅近くまでやってきた。燃えているのは我が家だった。黒い炎に包まれて大炎上している。大変だ。早く火を消さないと。僕は水の精霊を召喚し、火事場に放り込んだ。しかし全く炎が消える気配がない。

「お兄ちゃん、助けてー」

 なんということだ。妹がまだ家に残っているのか。両親は共働きだからいないのは当然だが、こんな早い時間に妹がいるなんて。 

「待ってろよ、直ぐにお兄ちゃんが助けてやるからな」

 とは言ったものの具体的な助けるアイデアが思いつかない。あの黒い炎は一体何なんだ。全然水の精霊が仕事をしないじゃないか。

「流呉ッ」

「漣」

「なんか雰囲気がおかしいから戻ってきてみたら、速く妹さんを助けないと」

「わかってる今、水の精霊に火消しをさせているところだ。」

「私も援護するね」

 そう言って彼女は詠唱をはじめ、水魔法を唱え、火事で焼けている自宅目掛けて大量に放ちつづけた。しかし全く炎の勢いは衰えない。

「ちょっと、どういうこと、あの炎、普通じゃない」

「普通じゃない。じゃあ何なんだっ」

「あれは魔界の炎ですっ」

 僕の背後から、スーデルが叫んだ。

「魔界の炎だって、なんでそんなものがこの世界に」

「やはりルクレティオ様の留守を狙って、この犯行・・・許せません」

「おい、スーデル一体どうすれば火は消せるんだ」

「魔界の炎を消せるのは魔族が使用する魔法だけです。」

「そんな」

「ですが、もう一つの方法があります」

「なんだ」

 スーデルは徐に指輪の入った小箱を僕に見せ付けてきた。

「このリングを使って魔界の炎を消し去る能力を作るんです」

「なんだと」

「ねえ流呉、その女の子誰」

「説明は後だ」

「どうしますか、ルクレティオ様、指輪の試練を受けますか?」

「やらなきゃ妹を救えないんだろう」

「そういうことになりますね」

 僕はスーデルから指輪を取り上げ、右手の薬指に付けた。その瞬間、体中がねじられるような間隔を覚えたが、他に害は及ぼさなかった。

「一体どうやって能力を作るんだ」

「全てはルクレ様の創造力次第です。創造力を魔綬するのです。能力を思い込みながら名前を叫び、我の命に応じリングに魔綬されたまえと言うのです」

 創造力を魔綬と呼ばれても、いまいちピンと来ない。しかし妹の所まで火が来るのも時間の問題だ。

「お兄ちゃん助けて、苦しい、ゴホ、ゴホ」

「くっそうこうなったら破れかぶれだ。我が望む物を消し去る鳥よ、我の命に応じリングに魔綬されたまえ」

 僕がそういうと、全部で十三あるうちの一つ目のダイヤモンドが輝きを増した。 

「いけます、流呉さん。能力を身に付けました」

「ようし、待ってろ妹よ。行け、イレイサーバード、黒い炎を消し去れーーーーーっ!」

 僕はリングを前にかかげ、そう叫んだ。すると巨大な半透明の鳥が現れ、自宅の方へと突進していった。黒い炎にピンポイントで当たり、炎は完全に消え去った。

 魔界の炎は家屋を焼き尽くしてはいなかった。単に燃えていただけで、家は無事だった。僕は妹の部屋まで駆け込んで、彼女を救出した。その様子を見ていた周囲の住人達も大喜びで歓声を上げてくれた。

「お兄ちゃん、ありがとう」

「気にするな。僕達は兄妹なんだから」

 2週目で出来た貴重な妹をあっさりと死なせてたまるか。僕はそう強く誓い、妹を力強く抱きしめた。

 しかし状況が状況とはいえ、なし崩し的に指輪の試練を受けることになってしまった。あと十二日間、毎日能力を作ってその日のうちに使用しなければならない。今日のようなハプニングは早々起こらない。これは大変なことになってしまった。

「ルクレティオ様、大丈夫ですか?」

「ルクレティオ?」

 スーデルと漣が一緒にやってきて、スーデルの僕の呼び名に疑問を抱いている。まずい、修羅場だ。

「ああ、それは、僕の別名義さ」

「そんなの聞いたことないけど」

「ははは」

「まあいいわ、許斐ちゃんが無事なら、それで」

「漣さん、大好き」

 漣と許斐が抱き合っている間に、僕はスーデルを外に連れ出し、事情を聞くことにした。

「それにしても、なんで魔界の炎が僕の家に放たれたんだ」

「ルクレティオ様は魔王を倒したお方です。お命を欲しがる魔族はうじゃうじゃいます。」

「じゃああの黒い炎はそのうじゃうじゃの力ってことか?」

「そういうことになりますね」

 僕は大きくため息をついた。せっかく人生2週目を満喫できると思っていたのに、これだもん。ため息の一つも吐きたくなるというものだ。

「気を落とさないで下さい、ルクレティオ様」

「その呼び方をやめろ。変な誤解をされるから。流呉と呼べ」

「はい、わかりました、流呉様」

「二人とも、今、大丈夫?」

「漣っ」

「あら、綺麗な人」

「許斐ちゃんならベッドで寝てるわよ。凄く怖かったみたい。でも少し軽度の火傷があったから回復魔法で治癒しておいた」

「ありがとう、漣、助かったよ。」

「それより隣の女性は誰?」

「ああ、彼女は、その」

「私は流呉さんの友達なんです。名前はスーデルって言います。同じ学校なので、よかったら仲良くしてください」

「同じ学校? 貴方みたいな人、入学式にいたかしら?」

「まあまあ細かいことは後にして、では、私はこの辺で失礼します」

「ちょっと待って、指輪の試練って何?」

 聞かれてしまっていたか。まあ隠していても特に意味のないことだし、漣には事情を話すか。

「実はこのリングを身に付けると、全部で十三の能力が手に入るんだ。ただしそのためには厳しい試練が待っててさ。毎日一個新しい能力を作らなきゃいけない。作った能力はその日の内に使用しなければならない。失敗した場合は寿命の半分を持っていかれるっていう、ちょっとイカレた魔道具なんだ」

「なんでそんなものを身に付けたの。というか、なんでスーデルさんはそんな危険な代物を持っていたの」

「それはその」

「はーーーーーっ」

 スーデルは気合を入れて叫ぶと、漣の顔の前に掌を広げた。漣は狐に摘まれたような表情に変わった。

「あれ・・・私なんでここにいるんだろう、家に向かってたはずなのに」

漣はどうやら直前の記憶を失ったらしい。これは間違いなく、スーデルの犯行だ。

「じゃあ、私、帰るね。またね」

 そう言って、漣は俺に手を振ると自宅に帰って行った。

「なんで記憶を消したんだ、スーデル」

「その質問にはこう答えます。彼女を危険な目にあわせないためです。下手にリングのことを知って協力する展開になると、彼女も魔物に狙われる可能性があります。」

「なるほど。どうやらこのリングは完全に呪われているらしいな」

「そのリングを身に付けた物は魔物に探知されやすくなります」

「スーデル、キミは酷い人だね。なんでそれを先に言ってくれなかったんだ」

「非常事態だったので」

「まあ、確かにそうだな」

「お兄ちゃん達、なんの話してるの」

 ぽかんと口を開けて、許斐が立ち尽くしている。

「はーーーーーーっ」

 再びスーデルが今度は許斐の記憶を消した。

「あのな、キミさ。」

「これでいいんです。これからは右手に手袋をしてください」

「なんで?」

「リングをつけているのを隠すためですよ」

「わかった。じゃあ明日は記憶を消す能力を作ろう」

「行けません。そのリングは魔王の種子を回収する能力に特化させてください。」

「そんな事言ったって、その日の内に使わなきゃいけないリングで魔王に効果のある能力を作っても、肝心の魔王がいなかったら僕の寿命が縮むじゃないか」

「はっそれもそうでしたね。流石ルクレティオ様、切れ者ですね」

「褒められてもあんまり嬉しくないな」

「お兄ちゃん達、何話してるの」

 僕とスーデルは許斐の記憶を消し、自宅の中へと入っていった。記憶を無くした許斐が茶の間にいる僕とスーデルにお茶をいれてくれた。

「まあ、ありがとうございます」

「どうぞ、ごゆっくり」

 許斐が部屋から出たのを合図に僕は話を切り出した。

「さてと、白状してもらおうか。」

「何をです?」

「とぼけるな、ただの魔道具にしては出来る事もリスクも桁違いだ。このクロニクルリングとは一体何なんだ」

「エターナルリングです」

「どっちでもいいっ」

 僕はテーブルを力いっぱい叩いた。

「この家に魔界の炎をばら撒いた連中とこのリングはどんな関係があるんだ。いや、まずはこのリングの起源から説明してもらおうか。僕には聞く権利があるはずだ」

「そうですね、ルクレティオ様にはその資格がありますね。分かりました。全てお話しいたします」

 スーデルは大きな瞳を鋭く尖らせて、喋り始めた。

「ルクレティオ様の身に付けた指輪は、かつて神が複数の世界を創造する際に使用したといわれています。もしくは神が自らの力を高めるために天使に作らせたという説もあります。」

「一体どっちなんだ」

「その辺は私達にはわかりません。ですが、私達三姉妹は生まれたときからもしこの世界にとてつもない災厄が起こりしときはそのリングをしかるべき魔綬士に授けよと言い伝えられていたんです。」

「三姉妹? キミとお姉さんのほかにだれか女神がいるのか」

「はい。現在起っているこの問題を調査している妹のコーデルがいます。」

「ヨーデル、スーデル、コーデルでデル三姉妹なわけね。なるほどそれで魔王の種子がばら撒かれたことはとてつもない災厄に該当するってわけか」

「その通りです」

「で、魔綬士の僕に白羽の矢が立ったと」

「そういうことです」

「確か飛び散った魔王の種子は全部で七つだったな」

「確認しているだけで七つです。もっと増える可能性があります」

「種をばら撒いている連中がいるってことか?」

「そうとしか考えられません」

「どうせ魔族の犯行だろう」

「そうならよいのですが、この世界も魔王に関しては一枚岩では無いんです。魔王がいるおかけで武器商人たちは経済的に豊かになっています。魔王に支配された魔物を討伐することで生計を立てているものもいます。魔王がいてくれる世界を望むものも少なからずですがいるのです」

「あんな化け物と共存しようというのか、ふざけた奴らもいたものだな」

「まったくです」

「よし、事情はわかった。」

「では指輪の試練を本格的に受けてくださるんですね」

「すでに能力を一つ作っちゃったからな。なし崩し的になるが試練を受けるよ」

「ありがとうございます」

「その前に指輪のルールを細かく教えてくれ。知りませんでしたでミスをしたら寿命が縮むからな」

「そうですね」

「まず、全部で十三の能力を毎日一つづつ作ります。作った能力はその日の内に使用しないといけません。一度作った能力は何度でも使用可能です。」

「ほう、何度でも」

「はい、何度でも」

 僕は消し去る鳥でスーデルの服を消し去って見せた。彼女は下着姿のあられもない格好になった。

「本当だ、使える」

「もう! ルクレティオ様のエッチ!」

 僕はスーデルに平手打ちされた。

「ありがとうございますっ」

「そういうことをするなら、もう説明はしませんよ」

「悪い悪い、ほんのジョークじゃないか。冷静になれよ」

「全くもう」

 スーデルはふくれっ面で僕を睨みつけている。仕方がないので僕の方から話を振った。

「能力作成に失敗するとどうなるんだ」

「それはありえません。どんな能力でもそのリングには魔綬することができます。」

「そうか、それはラッキーだな。」

「何がラッキーなんですか?」

「既に作成した能力は作れないとかあったら困るだろ。」

「そのルールはありますよ」

「なんだと」

「ですがそのリングは新品で、今まで誰も使っていないので、どんな能力も作り放題なんです。過去に誰かが身に付けていたとしたら作成できる能力に制限が入ります」 

「じゃあこのリングは大丈夫なんだな。」

「それはこの博愛の女神スーデルが保障します」

 スーデルのお墨付きということで、僕は彼女を信頼することにした。

「ほかに聞きたいことはありますか?」

「ありすぎるな」

「どんなことです」

「どんな能力でも作れるといったが、このリングの試練の最終目標は魔王の種子の回収だろ。つまり最終日までに魔王の種子を持った者を探し出して様子を見張っておくか、事前に誰が種子を持っているのか知っておく必要があるだろう。魔王化してからでは手遅れだからな。実質このリングは魔王を倒すためだけの能力を魔綬することになるだろうし」

「そういうことになりますね」

「で、魔王の種子を持っている人間は判別できそうなのか」

「それが・・・・私達にもわかりません」

「魔王の種子が存在する世界は特定できるのか?」

「申し訳ありません。私達には不可能です。ですからこうしてルクレティオ様を頼りにして来たのです」

「なるほど、つまりこのリングで魔王の種子を持った人間を探し出すことからスタートしないといけないらしいな」

「本当にお役に立てなくて、申し訳ございません、ルクレティオ様。頼りにしています」

「どっちにしても種子回収は指輪の試練が終わる最終日だ。それまでに最低でも魔王の種子を見つけ出す能力と、魔王の種子のある世界を特定する能力を作らないと始まらないな」

「そうですね。私もできるだけこの世界に来るようにしてルクレティオ様をサポートします」

「いいよ、必要なときは呼ぶから。それより妹のコーデルって子を手伝ってやれよ」

「ルクレティオ様・・・」

 スーデルは瞳を潤ませて、僕に深々とお辞儀をしてきた。

「顔を上げろよ、スーデル。お前は何も悪くない。共にもう一度世界を救おうぜ」

「はいっ」

 僕とスーデルは固く握手した。

「そうだ、実はお渡ししたい魔道具がもう一つあるんです」

「なんだ」

 スーデルは装束の胸の谷間から右手だけの手袋を取り出してきた。

「手袋? それをどうしろっていうんだ」

「これはスケルトングローブといって、身に付けると右手の指輪だけを隠すことが出来るんです。指輪を隠すためにも常に身に付けておいてください。」

 僕は言われるがままにスケルトングローブを身に付けた。グローブは透明になり、薬指につけた指輪も消えている。

「こいつはいい。中二病みたいに見られなくて済む」

「そのとおりです。今後も試練に役立ちそうな魔道具があれば持ってきます。」

「そうだ、大切なことを言い忘れました。この指輪の試練中は魔法は一切使えなくなりますので、気をつけてください」

「てことはスーデルを呼び出すことも出来なくなるのか?」

「いいえ、それは可能です。自己に内包したエネルギーを使用する魔法だけが使えなくなるので、マナの力を消費する晶術や魔綬は使用可能です」

「それを聞いて安心したぜ」

「それではルクレティオ様、どうかご武運を」

「任せとけっ」

 そう力強く言ったものの、僕の内心は不安でいっぱいだ。寿命が縮むことだけは絶対に避けないといけない。気合を入れて頑張らなくては。

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