13話 共闘
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モンスターの流入が少なくなってからは、仮眠をパーティごと交代で何度か取った。
その頃には、ほとんどモンスターはやってこなくなっていた。
油断は禁物だけれど。
これなら組合からの応援がやってくるまで十分にやり過ごせるだろう。
「やー。グレンくんたちは本当に頼りになるね」
もうしばらくモンスターがやってこないタイミングで、マリナさんが話しかけてきた。
僕たちがいつでも動けるよう軽く地面に腰を落として休んでいたところにやってくると、彼女は座り込んでこちらと視線を合わせてきた。
「強いのもそうなんだけど、きっちり自分の仕事をやってくれるし。細かいところにも気がつくしさ。実力があっても雄分類パーティには大雑把なとこも多いから。まあ、グレンくんたちは混成パーティだけどさ」
「ありがとうございます。マリナさんたちもさすが頼りになります」
おせじではなかった。
もともと防御と回復に特化した構成の『輝きの百合』が堅実なタイプなのもあるのだろうけれど、防衛戦に回った彼女たちの戦いぶりは危うげというものがない。
立ち回りという意味だと、まだパーティを立ち上げてから時間がない僕としては、学ぶところも多い。
「ありがとー」
ニコッと陽気な笑みを向けてくるマリナさんのうしろに、ほかのメンバーたちもやってきた。
「パーティの雰囲気はリーダーが作るものです。エステルさんたちが雄分類のグレンさんとパーティを組んでいる理由がわかりますね」
メリナさんがそういえば、あまりこれまで僕たちとかかわりのなかったナディアさんも口を開いた。
「確かに。雄分類との混成パーティなんてと思ってはいましたけれど、やりやすかったわ」
「ねー。これが終わったら、また一緒にお仕事したいね」
「あら。マリナがそこまで言うなんて」
シャーロットさんも話に入ってくる。
「よほど気に入ったのですね。あなたは好き嫌いがはっきりしてますから」
「グレンくんはなんだか他人に思えないんだよね。戦い方が似てるからかな」
マリナさんは軽戦士の割に武器はごつい大剣で、速度がありつつ一撃が重いタイプだ。
近接戦で魔法主体という僕とはスタイル自体はまったく違うように見えるけれど、速度があるのと魔法の一撃の重さという点では通じるものがある。
自然と立ち回りは近くなる。
そういえば、初対面の下層での休憩のときにもいろいろと戦い方について聞かれたような記憶がある。
興味を持たれていたのかもしれない。
もちろん、それだけでなく、彼女の人なつっこい性格もあるのだろうけれど。
ポンとマリナさんが手を叩いた。
「そだ。今度、一緒に探索に行かない?」
「探索ですか?」
少し驚いた。
今回のような組合からの依頼は例外として、雌分類パーティが、あえて雄分類と探索を一緒にすることはまずない。
もちろん、僕たちが混成パーティであることも影響してるんだろうけれど、それでも、あえて雄分類が混ざったパーティと組むというのはあまり考えられない。
実際、これまでは一度もなかった。
ただ、どうやらリップサービスというわけでもないらしく、マリナさんはニッコリして言った。
「グレンくんたちとはもっと仲良くなりたいからね。だめ?」