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6話

「な、なんだ貴様ら!?」


「ほぉ、もっとかかると思っていたが意外と早かったな」


 部屋には二人の男がいた。一人は予想通りオボロ。もう一人は眼鏡をかけた細身で神経質そうなリーダーらしき人物。


「お前が禁断の果実のリーダーか?」


「俺のことは無視なのか?」


「そうじゃない。そいつが誰か確かめたかっただけだ。お前への恨みを忘れるはずがない」


「それもそうか」


「で、どうなんだ?」


「確かに私は禁断の果実のリーダーのヘビだ!? お前らこそ誰なんだ!?」


「白と赤の髪の女は伯爵の娘、黒い髪の男と白い髪の女はA+ランクの冒険者だ」


「冒険者だと!? どうやってここまで来たんだ!? ここへの行き方はメンバーしか知らないはず!?」


 ヘビが喚くのを無視して俺はオボロに話しかけた。


「ずいぶんお喋りなんだな、オボロ」


「お前らと話すときはいつもより饒舌になってしまうな。意外だったか?」


「あぁ、意外だった。だが関係ない。これから殺す相手だ。それからヘビとやら、ここまで来るのは簡単だったぞ? アジトまでは伯爵が持っていた地図で、そこから先は壁を破壊して来ただけだ」


「おいおい、そんな雑なやり方でいいのか? すぐに他の奴らが駆けつけてくるぞ?」


「それまでにお前たちを殺せばいいだけだ。それに最悪お前たちの後ろの壁を壊して逃げながら殺せばいい」


 それを聞いたオボロは面白いとばかりに笑みを浮かべ、ヘビは恐怖をこらえるのが限界だったのか奇声を上げながら剣を構えて襲い掛かってきた。


「死ね! 死ね! しねぇぇぇぇぇ!」


「ひっ」「きゃあっ」


 その勢いにアリスとイヴが驚くのを尻目に俺はカタナに手をかけ振りぬいた。


 肉を着る手ごたえがあり、ヘビの腕が宙に舞った。


「あああぁ! うで、腕があぁぁぁぁ!」


「五月蠅い奴だな」


「同感だ。さて、殺してやるよ」


「ま、まt」


 容赦なく振るった剣が奴の首を切り落とし、ヘビはあっさりと死に至った。


 オボロがヘビを守らなかったことが気になった俺は素直に奴に聞くことにした。


「こいつを守らなくても良かったのか?」


「それをする義理はないんでな。さて、お前たちと戦いたいのも山々だがまだ早い。しばらくお預けといこうか」


「させるか!」


 壁に向かって歩き始めたオボロを止めようとした俺だが足元に亀裂ができ、足を止めた。


 それと同時に沢山の足音が聞こえ、刃物を持ったガラの悪い男たちが駆けこんできた。


「おい! いたぞ!」


「ヘビが死んでる!?」


「今のが見えるくらいに強くならないと俺には勝てないぞ。もっと強くなって来い。でなければお前たちに仇討ちに付き合うだけの価値はないと判断し殺すぞ?」


「くっ……」


「まずはここの奴らくらいは軽々殺して見せな。俺は行く」


オボロが壁の前に立つと何かした様子もないのにゴッと音がして壁が吹き飛ぶ。


 オボロは悠々と出ていき、俺たちは男たちの相手をすることになった。


「おら兄ちゃんたち、ここをボロボロにした挙句ヘビを殺したんだ。殺すだけじゃ済まさねぇからなぁ?」


 安っぽい売り言葉に買い言葉で返そうとするとその前にアリスが一歩前に出て言葉を返した。


 その後ろ姿からはいつもは抑えている俺以上の殺気で俺は思わず身震いした。


「それ以上何か喚くようなら即刻首を切り落とす」


「……ブッ、アハハハハハ! お嬢ちゃん、お兄ちゃんにカッコいい姿を見せたいみてえだがそんな細腕でどうやっt」


「お、おいっ、どうした!?」


 アリスの殺気を男たちは気づかなかったみたいで笑い飛ばしていたがそのうちの一人が一瞬動きを止めたかと思えば床に倒れる。その倒れた男に首から上はくっついていなかった。


「ふん、馬鹿が。黙っていれば見逃してやったものを。さて、全員殺すがいいな?」


「全員殺すなよ? 他にもアジトがあるかもしれないからな」


「あぁ、わかった」


 そう言うと同時に三人の男の首が飛ぶ。そこで膠着が解けたのか男たちは武器を振りかぶってアリスに襲い掛かるがアリスの間合いに入った瞬間に首が飛んでいく。


 俺たちからは顔が見えないがあいつは笑っているだろう。


「キルさん…… アリスさん…… 一体どうしちゃったんですか?」


「あれが本当のアリスだ。普段のアリスは外向きの顔で、本当のアリスは家族を殺されてああいうふうに歪んでしまったんだ」


「そんな……」


「可哀想だと思うか? 可哀想だと思っても変わらず接してくれると助かる」


「キル、終わったぞ」


「ああ、お疲れ様」


 そう話すとアリスは一瞬動きを止めたが直ぐいつものように明るく話し始めた。


「これぐらいでお兄ちゃんの手を煩わせる訳ないじゃん!」


「それだと俺が強くならないだろ? どんなに弱い相手でも戦う事に意味があるんだぞ?」


「それもそっか。次は気をつけるね」


 普段通りの調子で物騒な会話をする俺たちだが、用がないならさっさと帰ろうとイヴが提案し、それもそうだなと感じた俺たちはケルベロスを狩りながら情報を持っていそうな男一人を縛り、ライベルクに帰った。



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