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5話

「キャーーッ!」


 みんな寝静まった屋敷に響いた悲鳴に俺たちは飛び起きた。


「なに!? 何が起きてるの!?」


「わからない。声は伯爵の部屋のほうからだ。行くぞ!」



 できる限りの速度で伯爵の部屋へ向かう途中でアダムとイヴが合流してきた。


 かなりの速さで走っているのについてきていることから二人の才能の欠片を感じた。


「お二人も悲鳴を!?」


「あぁ。急いでいるが恐らくは……」


 伯爵の部屋に着くと女中が口を押えて震えていた。どうしたのかとアダムが聞くと、


「は、伯爵がお亡くなりに……!」


「やはりか……」


 死体をよく見ると俺の家族と同じように心臓を一突きされて即死している。ということはこれはオボロの仕業か……


「? キルお兄ちゃん?」


「どうした? 何か気になる点でもあったか?」


 俺はこの殺され方に見覚えがあること、犯人に心当たりがあることを話した。


「なるほど、国賊オボロ……か。だがどうやって侵入したんだ? 警備の兵はちゃんと立っていたよな……」


「近くの窓が開いていた。そこから侵入されたんだろう」


「こ、これは!? どうしてこれがお父さまの部屋に!?」


 イヴの手元を覗くとリンゴと蛇があしらわれた紋章のようだ。


「これは?」


「禁断の果実の幹部しか持っていないとされる紋章です。やっぱり父さんは奴らとつながっていたのか……」


 話しているうちに悲鳴を聞きつけた人たちが集まってきたので伯爵を任せ、少し離れた部屋で俺たちは情報の整理をすることにした。


「まず、殺害された伯爵の殺し方と誰にも気づかれずに殺す腕から見て、犯人はオボロである可能性が高いな。」


「それとお父さまは禁断の果実の幹部、もしくはリーダーだった」


「だが疑問なのはなぜオボロが伯爵を殺したかだ」


「そうだね……禁断の果実がもう不要だと判断したとか?」


「普通の幹部ならともかく領主である幹部を殺すのはあまり考えにくいな。まぁそれも明日禁断の果実を潰せばわかるだろう」


「それもそうだな。もしかしたら父さんの部屋に奴らのアジトの行き方を書いたメモがあるかもしれない」


「ならそっちはアダムとイヴで頼む。こっちはこの屋敷の周辺警戒をしておく」


「わかった」


 屋敷の周辺でオボロの痕跡がないか探したが見つからないまま夜明けを迎えた俺たちはふぉりすの森に入っていった。


 アダムとイヴも行きたそうにしていたが伯爵が死んだことで伯爵の地位を継ぐことになったアダムを連れていくことはできないし、イヴも才能はあるが俺たち二人じゃいざというとき守れないかもしれないし、かと言って護衛の兵を連れていくと奴らに気づかれるかもしれないからと説得して待ってもらった。


 アジトの地図は伯爵が持っていたようで俺たちはそれに従い森の奥へ進んでいくのだが……


 ガウ、ガウッ  グルル……


「なんでこんなに魔獣がいるんだ!? いつも戦っている奴らよりかは弱いがこの数は脅威だぞ!?」


「そんなのこと言ってないでさっさと倒しちゃおうよ! こいつらを放置してたら街の人たちも危険だよ!鍛えていない街の人たちじゃこいつらに敵わないんだから!」


 俺たちの目の前には二十匹以上のケルベロスがこちらを見て威嚇している。


 倒せない相手ではないが数が多い。どうしようかと少し考えたがあまり時間をかけられないなと思い、強行突破することにした。


「アリス! 強行突破するぞ! 手加減せず奴らに魔法をぶつけてまっすぐ突っ切る!」


「わかった!」


 魔法がケルベロスに炸裂し、まっすぐ突っ切ろうとした俺の視界の端に動く影を見てその方向に顔を向けると生き残ったケルベロスが飛び掛かってきていた。


(マズイッ、躱せない!)


 ギャンッ


 俺に飛び掛かろうとしていたケルベロスは横から割って入ってきたイヴに切り捨てられた。


「イヴ!? 屋敷で待ってろって言っただろ!?」


「言った結果がこのありさまなんだけど? 私がいなかったら押し倒されてたよね?」


「うっ……」


「それにしてもよくここがわかったね。もしかして尾行してた?」


「うん。実は私よく屋敷を抜け出してはこの森で遊んでたんだ~。だから森での動きに関しては二人にも引けを取らないよ?」


「そうみたいだな……はぁ、仕方ない。自分の身は自分で守れよ?」


「もちろん!」


 こうして俺たちにイヴを加えた三人は魔獣を蹴散らしながら奥へ奥へと進んでいく。そして少し開けた場所に大きめの家が建っているのを発見した俺たちはどう攻めこむかの段取りを決めた。


 段取りと言っても入り口や壁を魔法で吹き飛ばし最短距離でリーダーのもとへたどり着く、ようはごり押しである。


 バーンという音と共に崩れた入り口を踏み越えてアジトに侵入した俺たちに当然気づいた賊だがみんな魔法で倒していく。


 そして俺たちは呆気なくリーダーに会えたのだった。



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