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9話

簡単なあらすじ紹介――――――――――

 ウェスリンへ向けて旅立ったキルたちだが、ウェスリンで見たものは痩せ細った土地と住民たち。


 領主から面会を断られたキルたちは領民たちのためライブルクから食料や作物の種を持ってきたが所属不明の集団に襲われた。

 否応なく応戦したが、武器についている紋章を見たところ領主直属のようで攻撃するわけにもいかず防戦一方になった。


「はぁ…… はぁ……」


「さ、流石に疲れてきたよ……」


「どうにかできないのでしょうか……」


「遅いぞ、たかが三人相手にいつまでかかっているんだ」


 周りをけん制しながらも打開策を探していたところで武装集団の後ろから声がして比較的背の高い俺でも見上げなければいけないほど巨躯の男が姿を現した。


「で、ディバイン様…… じ、実は思っていた以上の手練れでして、」


「言い訳は聞きたくない。貴様らにはもっと訓練を受けてもらわねばいけないようだ。それで、貴様らは何者だ」


「国から命を受けオボロという犯罪者を殺しに来た」


「ほぉ、あいつを殺そうとするような奴がいるとはな。まあいい。国がシャマク様を殺そうとしていないことが分かれば用はない。死ぬがいい」


「攻撃しないと負けそうだが攻撃はできない…… 一度退くこともできるがそうしたらこの街の人たちが飢えてしまう…… 一体どうしたら……」


 ぐあっ!? なんだこいつら!?


 振り向くとシグレと恐らく同僚だろう仮面の人物が後ろにいた奴らを斬ってすぐそばまで来ていた。


「シグレ、こいつら斬ってよかったのか?」


「こちらを」


 読んでみるとウェスリン領主に謀反の兆しありと認める。よって領主並びにその周りにいる物を抹殺せよと書いてあった。


「二人とも、こいつらは今から逆賊だ。手加減なしで全力で斬り伏せるぞ」


「ようやくだね!」


「これまでの鬱憤まとめて倍にして返してあげます!」


「全員殺せぇ!!」


 一斉に襲い掛かってくる逆賊を俺たちは次々と屠っていく。刀が胴を薙ぎ、剣が首や腕を飛ばし、クナイらしきものが喉に正確に刺さる。


 あっという間に逆賊は四人になった。


「投降しろ。投降すれば命までは取らないらしいぞ?」


「ふん、なにを言うかと思えば。こいつらを倒したところで勝ったと思うとはな。おい、お前たちは女どもをやれ。俺はこの男を殺す」


「わかりました。こいつらは俺たちがもらっても?」


「構わん。女は兵士の士気向上に役立つが男は役に立たん。殺すも殺さないもお前たちの勝手だが必ず動けなくしろ」


「へへっ、最近イイ女がいなくてつまらなかったんだ。よく見ればきれいな姉ちゃんばかりだし、楽しませてくれよぉ?」


 ディバインと呼ばれた男の部下は舌なめずりをしながらアリスやイヴを見ている。その言動に怒りを覚えたがこういう輩をアリスがどう思っているのかは知っているので任せることにした。


 それよりもディバインだ。こいつらのリーダーだけあってこいつらとは比べ物にならない殺気を感じる。


「貴様は何者だ。国に従っているにしては目が鋭すぎる」


「俺は復讐者だ。冒険者をしながら両親の仇を探している。目的が一致しているから国に従っているにすぎない」


「そうか。なら惜しいものだ。これほどの殺気を持つ者を殺さなくてはいけないとは」


 そう言うと巨躯に見合わない俊敏さで俺に向かって斧を振り下ろしてくる。


「うおっ! あぶねぇ!」


 お返しとばかりにカタナを振るうが斧ではじかれてしまった。


 そこからはお互いに隙を探して武器を振るい、そして弾かれるということを繰り返したが体躯の違いもありだんだん押されていった。


 俺の攻撃は何度かディバインの守りをすり抜けたが、鎧が思ったより硬くて刃が通らなかった。


「ふむ、やはりこうなるか。貴様と俺では体躯が違いすぎる。だから打ち負けて隙を作ることになる」


「わざわざ講釈してくれてありがとよ。けど体躯で負けるような奴は冒険者やってらんないんだぜ?」


「なに?」


 言うと同時に火の魔法を放ちディバインがそれを払っている間にもう一つの魔法を発動した。


「……何かあるのかと思ったが逃げただけか。まぁいい。他の奴らを探すとしよう」


「誰が逃げたって?」


 俺は無防備なディバインの背中にカタナを叩きつけた。


「何!? ぐぁ!」


 油断していたディバインはそれを避けられず背中に大きな傷をつけることに成功した。


「目くらましと気配を消すことを組み合わせたのか? 種が割れれば単純だな。もう二度と効かんぞ」


「なら試してみるか?」


 俺はまた火の魔法を放とうとしたがその前に素早く近づいたディバインが斧を振り下ろしてくる。


「ちっ」


 俺は発動する魔法を切り替えて何とかそれを避ける。


「加速、か」


 俺の使っていたもう一つの魔法は加速ではなく強化の魔法だが訂正してやるほど優しくはない。


「そんな魔法は聞いたことがないな。殺すのはやめだ、その魔法について拷問してでも吐いてもらうぞ」


「無理だな。お前はこの場で死ぬからな」


「加速出来たところで貴様が俺の鎧を壊せないことは既にわかっている。諦めろ」


「これを見ても同じことが言えるか?」


 俺は手に持っていたものをディバインへ投げた。


「そ、それは……!! 俺の腕…… 俺の腕があぁぁぁぁぁあああああ!?」


「言ったろ、体躯で負けるような奴は冒険者はやれないって。身体の硬さや大きさ程度で勝てるほど甘くないぞ」


「ふざけるなぁあああ!!」


 斬られたことで激昂したディバインはこれまで以上の速度で斬りかかってきたが俺はまた加速してディバインの身体をバラバラにした。


「さて、みんなは勝てたかな……」


 俺はみんなの気配のする方へ走り出した。

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