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プロローグ
「本当に俺を殺せるほどに強くなるとはな……流石は英雄だ」
「違うっ!」
「何が違うんだ? 多くの犯罪組織を潰し、そして今国賊を殺そうとしている英雄だろう?」
「違う……本当の英雄はあんただ…… ここまで続いた復讐の旅、その全てにあんたの足跡があった。あんたは多くの人の命を助け、暴政を行う為政者を何人も殺した。俺の両親と兄は犯罪組織の幹部だった」
「ほぉ、そこまで調べたのか」
いたぞ! あそこだ!
「俺はあんたのしたことを語っていく。真に人を思った英雄と」
「いいからさっさと殺せ」
俺は涙を流しながら剣を構えた。
―――――――――さようなら、英雄。
数十年後……
「おじいちゃん、またあの英雄のお話してよ!」
「本当に好きだな、あのお話が」
「だってカッコいいじゃん! 国を敵に回しながらも最後まで国のために戦った英雄なんて!」
「そうだね……じゃあ聞かせてあげよう」
むかーしむかし―――――――