第5話 決意(前編)
4人は神殿の入り口に着いた。神殿はとても大きくて、まるで宮殿のようだ。床は透き通っていて、海が見えている。
「きれいね」
いつかこんな所に住んでみたいと思った。
「インガーシティにこんなのがあったなんて」
マルコスは驚いていた。美しい海岸で有名なインガーシティにこんなのがあったからだ。こんなのが見える場所で海水浴をしたら最高だろうなと思った。
「早く行きましょ」
サラは早くウンディーネのオーブを手に入れなければと思っていた。
4人は神殿の中に入った。神殿の中はまるで宮殿のようで、壁も天井も床も透けている。
「中も美しいわね」
あまりの美しさに、サラは開いた口がふさがらなかった。
「敵だ!」
サムの一声で、サラは驚いた。敵が襲い掛かってきたからだ。2匹の半魚人だ。
「こんな美しいところに、どうして?」
サラは目を疑った。
「やはりここにも神龍教の魔の手が伸びているんだろう」
ウンディーネのオーブが王神龍を封印するために必要なものだからだ。
「ならばやってやろうじゃないの!」
サラは強気だった。
「天の怒りを!」
サムは魔法で雷を起こした。2匹の半魚人は体がしびれた。
「食らえ!」
レミーは電気を帯びた爪でひっかいた。ひっかかれた半魚人は倒れた。
「死ね!」
残った半魚人は槍でマルコスを突いた。マルコスは少し痛がった。
「とどめだ!」
サラは雷を吐いた。残った半魚人は倒れた。
「ここの敵は水の敵が多いから電気系の攻撃を積極的に使っていきましょ」
サラは冷静だった。
「サラ、あの扉、何で鍵がかけられてんのかな?」
サムは、鍵がかけられた中央の扉が気になった。頑丈な鍵がかけられて、いかにもこの先に何かがある予感がしていた。
4人は大広間の奥にある鍵のかかった扉の前に来た。扉はとても立派な造りで、彫刻が施されていた。
「この先に何があるんだろう」
サラは疑問に思った。
「きっと重要なもんだろう。例えば、ウンディーネのオーブとか」
マルコスは予感していた。この先にウンディーネのオーブがあるかもしれないと。
「みんな、これ見て」
サラは扉の横にある壁画を指さした。それは、今は亡きウンディーネ族の壁画だった。
「ひょっとして、この先にウンディーネのオーブがあるのでは?」
腕を組んで、サムは予想した。
「とにかく、この部屋に行くための鍵を見つけましょ」
サラは強気だった。一刻も早くオーブを見つけ出さなければ。
「階段の上に扉がある。ここから入ってみよう。とにかく隅から隅まで散策するのが大勢だからね」
サムは冷静だ。その扉を開けるための鍵がどこかにあると思っていた。
4人は階段を上った。会談は螺旋状で、手すりの先には彫刻が施されている。4人は感動しつつも、敵の襲撃を警戒していた。いつ襲い掛かってくるかもしれない。
階段の先の扉を開くと、通路があった。通路には赤いじゅうたんが敷かれていて、壁は大理石だ。
「相変わらずここも豪華ね」
あまりの美しさに、サラは開いた口がふさがらなかった。
突然、敵が襲い掛かってきた。敵は3匹で、頭がサメの人間で、槍を持っていた。
「ここにも敵が!」
レミーは驚いた。
「とにかくやっつけましょ」
サラは強気だった。
「食らえ!」
レミーは分身してひっかいた。サメ人間は少し痛がった。
「天の怒りを!」
サムは魔法で雷を落とした。サメ人間は大きなダメージを受けた。
「この野郎!」
マルコスは鋭い爪でひっかいた。食らったサメ人間は瀕死になった。
「とどめだ!」
サラは雷を吐いた。食らったサメ人間は倒れた。
サメ人間はレミーを槍で突いた。レミーは大きなダメージを受けた。突きの攻撃はとても強かった。
「大丈夫か? 癒しの力を!」
サムは魔法でレミーの傷を癒した。レミーのダメージが完全に回復した。
「覚悟しなさい!」
レミーは電気を帯びた爪でひっかいた。ひっかかれたサメ人間は倒れた。
「水の怒りを!」
最後に残ったサメ人間は魔法で津波を起こした。4人は大きなダメージを受けた。
「くそっ、とどめだ!」
サラは雷を吐いた。最後に残ったサメ人間は倒れた。
「最後の津波が痛かったわね」
サラは戦いを振り返っていた。何といっても最後の津波が印象に残っていた。全滅が頭をよぎった。
「気を付けないと」
サムは全員を魔法で回復させた。
「この先に何があるのかしら」
通路の先には扉があった。扉はふさがれていて、全く見えなかった。
「行ってみよう」
マルコスは強気だ。
その頃、神殿には1人の女性が入ってきた。ナシアだ。ナシアはここまで泳いでやってきた。ナシアは神殿を見て、何かを考えていた。
4人は扉の向こうに入った。扉の向こうは薄暗い通路になっていて、前があまり見えなかった。
「暗いから気を付けて進みましょ」
サラは3人に注意を促した。
その時4人は、物音に気が付いた。4人は驚いた。
「何の音だろう」
サラは首をかしげた。
「見ろ! 壁が近づいてきているぞ!」
壁を指さし、サムが言った。サムは慌てていた。
「えっ、えっ、じゃあ、このままこの部屋にいたら押しつぶされるってことね。早く逃げなきゃ」
サラも慌てていた。
4人は全速力で走った。その間にも壁は近づいていた。通路の先には扉があった。早く扉の向こうに行かねば押しつぶされる。4人は急いだ。
「急いで! 急いで!」
レミーは叫んだ。汗をかいていた。
4人は全力で走って、何とか向こうの部屋に入ることができた。サラは扉を閉めた。その直後、通路が完全に押しつぶされた。
「ふぅ、何とか大丈夫だったわね」
サラはほっとしていた。
4人が入った部屋の中央には、1つの宝箱があった。その宝箱は金の装飾が施されている。
「あの宝箱、何かしら?」
サラは首をかしげた。
「とりあえず、開けてみよう」
マルコスは宝箱はとにかく何でも開けようと思っていた。
「うん」
サラは宝箱を開けた。中には鍵があった。その鍵は金色で、ウンディーネの彫刻がある。
と、その時、敵が現れて、襲い掛かってきた。3匹のサメ人間だったが、今さっきのと違って金色だ。今さっきのより強そうな見た目だ。
「くそっ、罠か?」
突然敵が現れて、サムは驚いた。
「この鍵を渡さないために見張っていた?」
サラは予想した。
「そうかもしれない」
「ぐじゃらぐじゃら言ってないで。殺されるよ!」
「えいっ!」
レミーは雷を帯びた爪で何度もひっかいた。効いてはいるものの、サメ人間はびくともしない。体力が高いからだ。
突然、サメ人間の1匹が持っていた槍でレミーを突いた。槍は光を帯びてレミーを貫いた。レミーは倒れた。即死技だった。
「天の怒りを!」
サムは魔法で雷を落とした。サメ人間はそれでもびくともしなかった。だが、着実にダメージを与えていた。
「仲間をよくも。許さんぞ!」
マルコスは電気を帯びた爪でひっかいた。食らったサメ人間は瀕死状態になった。
「不死鳥の力を、我に!」
サラは高く舞い上がり、火をまとって不死鳥となった。不死鳥となったサラは炎を吐き、倒れたレミーを炎で包んだ。
サラは元のドラゴンに戻り、地上に戻った。炎が収まると、その中からレミーが現れた。レミーは不死鳥の炎を浴びて復活した。
サメ人間は槍でサラを突いた。だがサラはあまりダメージを受けなかった。ドラゴンの皮膚が頑丈だからだ。
「今さっきはよくもやったな!」
レミーは電気を帯びた爪でひっかいた。食らったサメ人間は倒れた。
「天の怒りを!」
サムは魔法で雷を落とした。耐久力が高いと見て、より強めの雷を与えた。サメ人間は大きなダメージを受けた。
サメ人間は光を帯びた槍でマルコスを突いた。マルコスは倒れた。
「マルコス!」
サムは叫んだ。マルコスは一撃で倒れたからだ。
「食らえ!」
サラは雷を吐いた。食らったサメ人間は倒れた。
「水の怒りを!」
最後に残ったサメ人間は魔法で大津波を起こした。3人は大きなダメージを受けた。
「みんな、大丈夫?」
サラは2人に声をかけた。
「不死鳥の力を、我に!」
サラは不死鳥となり、マルコスを炎で包み、復活させた。
「覚悟しなさい!」
レミーは雷を帯びた爪でひっかいた。
「天の怒りを!」
サムは魔法で雷を落とした。最後に残ったサメ人間は倒れた。
「ふぅ、大変だった」
サラは戦いを終えて、ため息を吐いた。あまりにも大津波が強かったからだ。
「全滅するかと思った」
サムは大津波におびえていた。
「この鍵、もだがて、大広間の鍵のかかった扉のやつじゃないかな?」
「そうかもしれない。試しに使ってみよう」
4人は大広間に戻ることにした。
「でも、通路が壁でふさがれてしまって、どうやったら大広間に戻れるんだろう」
確かに、今さっき通った通路が壁でふさがれてしまった。
「ちょっと待って、この下に何かない?」
サムは宝箱を指さした。宝箱のある床は明らかに周りと色が違っていた。何かがある雰囲気がした。
「宝箱をどかしてみよう」
マルコスは自慢の怪力で宝箱を持ち上げた。すると、その下には階段があった。階段の下は薄暗かった。
「この階段の先に何があるんだろう」
「とにかく行ってみよう」
マルコスは前向きだった。
4人は階段を下りた。通路は暗い。前が全く見えない。サラは持っていたカンテラに火を灯した。
「暗いわね。美しい神殿にこんな隠し通路があったなんて」
サラは驚いていた。何のためにこんなのを作ったんだろうと思った。
通路は薄暗く、敵が襲い掛かってきそうで怖かった。壁画には海の生き物の彫刻が施されている。
「きれいな壁画」
レミーは壁画に感動していた。
「それにしても、サラはすごいな。不死鳥になって戦いに復帰させることができるんだから」
サムはサラの能力に感動していた。
「ありがとう」
サラは笑顔を見せた。
「こんなの、普通のドラゴンじゃできないよ」
マルコスは感心していた。
「私にもその理由がわからないの。でも、私、何か特別な力を持っているためだと言われているの」
サラは徐々に自分は普通のドラゴンではないことに気づいてきた。
しばらく歩いていると、明かりが見えてきた。
「見て! 明かりが!」
サラは指をさした。
「その先は何があるんだろう」
4人は階段を上って明るい部屋に出てきた。そこは細い一本道で、左右には水が流れている。水の中には、人の肉を食いちぎる肉食魚が大量に泳いでいる。
「落ちちゃ駄目よ。食われて命を落とすから」
4人は落ちないように警戒していた。肉食魚の大群は4人を見つけると、口を開けて待ち構えていた。
通路の先には階段があった。だが階段の先は天井だ。
「行き止まりなのか?」
サムは首をかしげた。
「道、間違ったかな?」
詰んだと思った。
「ちょっと待って! 隙間から光が見える!」
サラは天井を指した。すると、天井の隙間から光が見えていた。
「開くんじゃない?」
サムは天井を上げた。すると、光が見えた。
「出れる!」
レミーは興奮した。
「この道であってたんだな」
マルコスはほっとした。
「その先は何だろう」
サムは天井を開け、外に出た。そこは、神殿の入り口だった。
「何だ、入り口じゃないか?」
サムは驚いた。
3人もサムの後についてやってきた。そして、神殿の入り口だったことに驚いた。
「ここに抜ける道だったのか」
そして、神殿を見上げていた。
4人は再び神殿の中に入った。神殿の中は相変わらず静かだった。
「相変わらず静かね」
「だからこそ敵が襲い掛かってこないか気を付けないと」
サムは敵が襲い掛かってくるのを警戒していた。
4人は鍵のかかった扉の前に立った。開けられるかどうかわからない。でもやってみよう。サラは鍵を指し、回した。すると、鍵が開いた。
「やっぱりこれであっていたのね」
サラはほっとした。これで駄目ならまた探さなければならないからだ。
「さぁ、行こう」
サムは扉を開けた。扉の向こうには少し薄暗い通路がある。左右には所々にサメの彫刻が施されている。
「きれいね」
サラは驚いていた。
突然、サメの彫刻が動き出した。サメは4人のいる方向に回り、近づいてきた。
「な、何だ?」
サムは突然のことに驚いた。
「石像が動き出したぞ!」
マルコスは辺りを見渡した。
「とにかく、やっつけましょ」
サラは強気だった。
「天の怒りを!」
サムは魔法で雷を落とした。2匹のサメ人間は大きなダメージを受けた。
1匹のサメ人間は光を帯びた槍でマルコスを突いた。マルコスは一撃で倒れた。
「マルコス!」
サラは叫んだ。あまりの強さに驚いていた。
「食らえ!」
レミーは電気を帯びた爪でひっかいた。サメ人間は再び大きなダメージを受けたものの、びくともしない。
「不死鳥の力を、我に!」
サラは不死鳥となり、マルコスを復帰させた。
「覚悟しろ!」
復帰したマルコスは電気を帯びた爪でひっかいた。食らったサメ人間は倒れた。
「水の怒りを!」
残ったサメ人間は魔法で大津波を起こした。全員が大きなダメージを受けた。レミーとマルコスは倒れ、残ったサムとサラは体力が残り少なくなった。
「天の怒りを!」
サムは再び魔法で雷を起こした。残ったサメ人間は倒れた。
サラは不死鳥となり、レミーとマルコスを復帰させた。
「全滅するかと思った」
元の姿に戻って、サラはため息を吐いた。
「もっと強くならないと」
サムはもっと強くならなければ全滅すると思った。この先、もっと強い敵が襲い掛かってくるに違いない。全滅しないためにももっと強くならねば。
「先に進みましょ」
サラは早くオーブを見つけなければと思っていた。
4人が先に進むと、行き止まりだった。水が張っていて、水の中には肉食魚が泳いでいた。この先に進めなかった。
「行き止まりね。どうしよう」
サラは悩んでいた。
「あれ見て!水の下に通路が見える!」
レミーは水の底を指さした。そこには、通路らしき穴がある。だが、肉食魚が泳いでいて先に進めない。入ったら食い殺されるだろう。4人は行くことができなかった。
「どうやってこの先に行くんだろう」
サラは腕を組んで考えた。サラは悩んでいた。
サムが後ろを向くと、階段が見えた。
「サラ、あの階段、何だろう」
サムが指さすと、そこには階段があった。階段の先には出入り口があった。
「その先に出入り口がある」
「ひょっとして、この先に進めるための何かがあるのかな?」
レミーは首をかしげた。
「とにかく、行ってみよう」
サラは強気だった。
「うん」
進もうとしたその時、2匹の敵が襲い掛かってきた。今度は槍を持った半魚人だが、色が違っている。
「水の怒りを!」
1匹の半魚人が魔法で大津波を起こした。4人は大きなダメージを受けたが、何とか耐えた。
「みんな、大丈夫?」
サラは3人に声をかけた。
「うん、大丈夫」
だが、マルコスは息が荒かった。大きなダメージを受けたと思われる。
「天の裁きを!」
サムは魔法でより強い雷を落とした。早く倒さねばと思っていた。
「くそっ・・・」
サラは全身に火をまとった。何かをしようとしていた。
「食らえ!」
レミーは鋭い爪でひっかいた。食らった半魚人は瀕死になった。
「覚悟しろ!」
マルコスは電気を帯びた爪でひっかいた。食らった半魚人は瀕死になった。
「ガオー!」
サラは炎をまとって2匹の半魚人に向かって体当たりした。2匹の半魚人は一気に倒れた。
3人はサラの大技に驚いていた。今までに見たことのない技だからだ。
「サラ・・・」
サムは開いた口がふさがらなかった。
「どう、見た?」
サラは自信だ。
「サラ、すごすぎる・・・」
マルコスも開いた口がふさがらなかった。
「ありがとう」
サラは笑顔を見せた。
「こんな技、見たことない。サラ、お前は何か特別な存在じゃないか?」
サムはドラゴン族のことをよく知っていたが、そのような技を見たのは初めてだった。
「私、そうかもしれないと思ってるの。だって、10年前に捕まった時に発動した力もそうだし、不死鳥になれるし、火をまとって体当たりできるから」
サラは改めて自分が特別なドラゴンだということに気が付いた。
4人は階段を上り、次の部屋に入った。次の部屋は薄暗い細い通路だ。まるで今さっきの隠し通路のようだ。
「暗いわね」
その時、後ろから敵が襲い掛かってきた。今度は人間ぐらいの大きさのタコだ。まだ子供のクラーケンだ。
「くそっ、背後をつかれた」
後ろを向いて、マルコスは驚いた。後ろを突かれたからだ。
1匹のクラーケンは触手でレミーに巻き付いた。レミーは行動ができなくなった。
「天の怒りを!」
サムは魔法で雷を落とした。2匹のクラーケンは大きなダメージを受けた。クラーケンはレミーを離した。
「食らえ!」
マルコスは電気を帯びた爪でひっかいた。食らったクラーケンは倒れた。
残ったクラーケンは大津波を起こした。サメ人間のよりやや弱めだったが、4人は大きなダメージを受けた。
「とどめだ!」
サラは雷を吐いた。残ったクラーケンは倒れた。
「何とか倒せたけど、今の大津波は危なかったわね。倒れはしなかったけど気を付けないと」
サラは気持ちを引き締めていた。まだまだ頑張らないとと思っていた。
4人は薄暗い通路を進んでいた。通路はとても静かだ。下を流れる海水の音しか聞こえない。
「突然敵が襲い掛かってきそうだから、気を付けないと」
周りの視界はそんなに良くない。後ろからまた敵が襲い掛かってきそうで警戒していた。
通路を進んでいくと、大広間に出た。入口の大広間に似ているが、入口より小さい。中央にはらせん状の階段があって、どこまでも続いているように見える。
「あの階段の向こうに行ってみましょ。この先に何かがあるかもしれない」
建物はくまなく調べるのがいいと思っていた。
4人が階段を上ろうとしたその時、敵が襲い掛かってきた。半魚人とサメ人間だ。
「天の裁きを!」
サムは魔法で強烈な雷を落とした。2匹は大きなダメージを受け、サメ人間は体がしびれた。
「えいっ!」
レミーは鬼火を起こして半魚人を包み込んだ。半魚人はダメージを受け、体に火が付いた。
「水の怒りを!」
体に火が付いた半魚人は魔法で大津波を起こした。4人は大きなダメージを受けたものの、何とか持ちこたえた。サメ人間は体がしびれて、何もできなかった。
「食らえ!」
サラは雷を吐いた。2匹は大きなダメージを受け、倒れた。
「早く行こう」
4人は階段を上り始めた。階段は透き通っていて、手すりも透き通っていた。
「どこまで続くんだろう」
階段はどこまでも続いているように見えた。
5分上って、ようやく一番上に着いた。一番上にはレバーがあった。そのレバーの取っ手はサメの形をしていた。
「あのレバー、何だろう」
サラはレバーを指さした。
「わからない。引いてみようよ」
定かではないけど、これを引いたら先に進めるかもしれないとサラは思っていた。
サラはレバーを引いた。と、その時、4人がいた床が抜け落ちた。
「キャー!」
レミーは悲鳴を上げた。
「大丈夫?」
サラは落ちていくマルコスとレミーをつかみ、ゆっくりと下に降りた。
「まさか、こんな仕掛けがあるとは」
サラは驚いていた。
「危ないところだったわね。ここから落ちたら命がなかったわよ」
レミーはため息を吐いた。サラの背中から、レミーは下を見ていた。ゴーストのサムはサラの後について降りていった。
「ん?何かが流れている音がしない?」
サラは物音に気が付いた。大広間の向こうで何かが流れる音がした。
「もだがて、あの行き止まりになってるところに何かがあった?」
通れるようになっているかもしれないと思っていた。
4人は大広間の下に降り立った。大広間には崩れた床が粉々になって散乱している。
「危なかったわね。さぁ、あそこに戻ってみましょ。先に進めるようになってるかもしれないわ」
サラはため息を吐いた。いきなり床が崩れたことに驚いていた。
4人は大広間を抜け、薄暗い通路を歩いていた。
「サラ、母から自分が特別な存在だってことは聞いていなかった?」
普通のドラゴンとは桁外れに強いサラの技を見て、サラは母から特別な存在だと聞いたのではと思った。
「私、何も知らないわ。その力、マルコスやサムやレミー以外に見せたことがないし」
サラは特別な存在だと知りながら、その力を隠していた。その力を狙われて殺されるかもしれないと思っていた。だが、今は違う。その力で王神龍に立ち向かおう。そして、王神龍を封印しよう。
4人は行き止まりになっていた部屋に戻ってきた。
「あれ見て!水が引いてる!」
サラは叫んだ。水が引いているのが遠くからでも見える。
「本当だ! あのレバーで水が引いたんだ!」
マルコスの推理は間違っていなかった。
「行こう!」
4人は階段を下り、水が引いてできた通路の中に入った。通路の先は大きな部屋だ。部屋からは海の中が見えた。
「見て! 海の中が見える!」
サラは驚いていた。泳いでる魚が壁越しから見えていた。
「きれいね」
レミーは美しさにうっとりしていた。
うっとりしていたその時、敵が襲い掛かってきた。3匹のサメ人間だ。
「敵だ!」
「うっとりしてる場合じゃないわよ、レミー」
サラはレミーに注意した。
「それっ!」
サムは魔法で催眠術をかけた。2匹のサメ人間は眠ってしまった。
「食らえ!」
レミーは起きているサメ人間を鋭い爪でひっかいた。サメ人間は痛がった。
「えいっ!」
マルコスは起きているサメ人間を電気を帯びた爪でひっかいた。サメ人間は瀕死になった。
「ガオー!」
サラは雷を吐いた。起きていたサメ人間は倒れた。寝ていた2匹のうち、1匹が起きた。
「悪夢を見せてやる!」
サムは寝ているサメ人間に悪夢を見せた。寝ているサメ人間は悪夢にうなされ始めた。
「覚悟しなさい!」
レミーは電気を帯びた爪でひっかいた。起きたサメ人間は大きなダメージを受けた。
「覚悟!」
起きたサメ人間は槍でマルコスを突いた。マルコスは大きなダメージを受けた。
寝ているサメ人間は悪夢にうなされて、徐々にダメージを受けている。悪夢にうなされると、起きるまでダメージを受けるという。
「やったな!」
マルコスは電気を帯びた爪でひっかいた。起きたサメ人間は倒れた。
その時、悪夢にうなされていたサメ人間が起きた。だが、悪夢にうなされ続けたサメ人間の体力はわずかだ。サメ人間は疲れ果てている。
「とどめだ!」
サラは雷を吐いた。最後に残ったサメ人間は倒れた。
「今回は効率よく倒せたわね」
「ちょっと工夫を凝らして色んな技をかけてみた」
サムは自信気だった。ゴースト特有の補助技をかけてうまくダメージを与えたのが功を奏した。
大きな部屋の先には、暗い下り階段があった。壁は透き通っておらず、海が見えなかった。
「暗いわね」
後ろから敵が襲い掛かってきそうで恐れていた。
「本当にこの先にオーブがあるのかな?」
マルコスは首をかしげた。
「わからないけど、行ってみましょ」
サラは強気だった。
階段を下りると、細くて暗い通路に出た。通路は静かだった。海のさざ波も聞こえない。
「この先に何があるんだろう」
細い通路を抜けると、水路らしきところに出た。壁は大広間同様透けている。側壁からは海の中が透けて見えた。水路には大量の肉食魚が泳いでいる。
「ここにも肉食魚がいるわね。落ちないように気をつけましょ」
サラは水路の肉食魚を見て注意を促していた。
4人が細い通路を歩いていたその時、敵が襲い掛かってきた。3匹の半魚人だが、色が違っている。入口にいた水色ではなく、緑だ。
「食らえ!」
レミーは包丁に化けて、半魚人を切り裂いた。狐特有の変化術を使った攻撃だった。
「氷の力を!」
半魚人は魔法でレミーを氷漬けにした。レミーは氷漬けにされ、身動きが取れなくなった。
「覚悟しなさい!」
サラは3匹に甘い吐息を吹きかけた。3匹のうち2匹は眠ってしまった。
「悪夢を見せてやる!」
サムは寝ている2匹に悪夢を見せて、徐々に体力を奪っていった。
突然、1匹だけ起きている半魚人はマルコスを光を帯びた槍で突いた。マルコスは倒れた。
「不死鳥の力を、我に!」
サラは不死鳥となり、マルコスを戦闘に復帰させた。
寝ていた2匹の半魚人が倒れた。悪夢の中で体力を完全に奪われたからだ。
「これでどうだ!」
レミーは鬼火を起こして、半魚人を包んだ。半魚人は大きなダメージを受け、体に火が付いた。
「とどめだ!」
サラは雷を吐いた。最後に残った半魚人は倒れた。
「どう?私の化け術」
レミーは笑みを浮かべた。レミーはこのように様々な物に化けて攻撃することができる。これは狐の妖怪などが使える技で、それにはいくつかの流派がある。
「なかなか面白いわね」
サラは化けることができるレミーに感心していた。
「行こうぜ」
マルコスは前向きだった。早く先に進みたかった。
4人が歩いていると、水の下に通路を見つけた。下に行く階段もある。肉食魚のせいでその通路には行けなかった。
「あそこにも通路が」
「またレバーを探さなければならないの?」
サラは、今さっきみたいにレバーを引いて水を抜かなければ先に進めないと思った。
「そうかもしれないな」
サムは冷静に推理した。
その先を進んでいくと、右と前への分かれ道があって、その先には出入り口があった。どっちかにレバーがあるに違いない。
「どっちにあるんだろう」
サラは考えた。
「右から行こう。わからないけど、やってみるしかない!」
マルコスは強気だった。間違ってでも行ってみるしかないと思っていた。
4人は右の扉に入った。扉の向こうは細くて暗い通路だった。
「ここも暗いわね」
「襲い掛かってきそうだわ」
突然、敵が襲い掛かってきた。3匹の子供のクラーケンだったが、色が違っていた。紫だった。
「天の裁きを!」
サムは魔法で強力な雷を落とした。3匹は大きなダメージを受けたが、よく耐えていた。
「切り裂いてやる!」
レミーは包丁に化けて3匹の触手を切った。だが、また生えてきた。3匹は全くダメージを受けていなかった。
突然、1匹のクラーケンがマルコスに噛みついた。紫のクラーケンは毒の牙を持っていた。マルコスは毒に侵された。
「うっ・・・」
毒を食らったマルコスは傷口を抑えた。
もう1匹のクラーケンは大津波を起こした。4人は大きなダメージを受けた。
「食らえ!」
サラは雷の息を吐いた。食らったクラーケンは倒れた。
「よくもやったな!」
マルコスは電気を帯びた爪でひっかいた。クラーケンは倒れた。
「氷の力を!」
最後に残ったクラーケンは魔法でレミーを氷漬けにした。レミーは大きなダメージを受け、氷漬けにされた。
「天の怒りを!」
サムは魔法で雷を落とした。最後に残ったクラーケンは倒れた。
「くそっ、毒を食らった・・・」
マルコスは傷口を抑えていた。
「大丈夫?癒しの力を!」
サラは魔法でマルコスの毒を消した。
「ありがとう」
4人は細い通路を抜けて、その先の部屋に入った。だが、そこはただの広い部屋で、何もなかった。
「何もないじゃないの?」
サラは残念がった。
「ごめん」
サムは3人に謝った。
「待って!壁画がある」
レミーは壁画を指さした。
この世界に危機訪れし時、聖なる力で闇を引き裂き、平和をもたらす魔導士現る
その魔導士、聖魔導なり
サラはその壁画が気になった。魔導士には黒魔導士、白魔導士がいる。でも、聖魔導なんて、初めて聞いた。こんな魔導士、いるのかな?
4人は来た道を引き返した。4人とも残念そうな表情だ。正しい道ではなかったからだ。
「結局、何もなかったわね」
レミーは残念がった。この道が正しいと思っていた。
「でも、私、あの壁画が気になったわ。聖魔導って、聞いたことある?」
「知らないな」
魔法が得意なサムもわからなかった。
「この中にはいない。もう1人仲間に加わるってことか?」
「きっとそうだろう」
サラは5人目の仲間に期待した。
4人は水路に戻ってきた。相変わらず中は静かだった。
「それにしても聖魔導って、何?」
サラはまだあの壁画が気になっていた。
「こんな魔法使いがいたの?」
マルコスは驚いていた。魔法教室でも聞いたことがなかった。
突然、水の中から敵が飛び出してきた。空飛ぶ海蛇、リヴァイアサンだ。
「何だあいつ」
マルコスは開いた口がふさがらなかった。
「リヴァイアサン」
サムは驚いた。ほとんど見たことがない魔獣だった。
「食らえ!」
レミーは剣に化けてリヴァイアサンを斬った。リヴァイアサンの体から血が出た。
「天の裁きを!」
サムは魔法で大きな雷を落とした。リヴァイアサンの体がしびれた。
リヴァイアサンは大津波を起こした。マルコスとレミーは倒れた。サラとサムも大きなダメージを受けた。
「早く倒さないと!」
サラは雷を吐いた。大きなダメージを受け、リヴァイアサンは倒れた。
「何とか大丈夫だったわね」
サラは不死鳥になって、マルコスとレミーを復帰させた。
「ほんと、びっくりした」
「リヴァイアサンなんて見たことなかった」
「私も」
4人は先を急いだ。右に曲がり、別の扉を開いた。
扉の向こうは明るい通路だった。側壁は透けていて、中には肉食魚が泳いでいる。肉食魚は4人を見つけると牙をむき出しにして、口を大きく開けている。
「怖いわね」
「早く行こう」
突然、大きな音を立てて天井が降りてきた。何が起きたのかわからず、4人は辺りを見渡していた。
「天井が!」
天井を見て、サムは驚いた。音を立てて、天井が近づいてきた。
「降りてくる!」
サラも驚いた。
「早く行こう!押しつぶされるぞ!」
4人は急いだ。
「早く! 早く!」
レミーは焦っていた。押しつぶされて、死にたくなかった。
4人は間一髪で逃げることができた。通り抜けた直後、天井が完全に下がり、通路がふさがれた。
「今度はこんな仕掛けが!」
「どうしてこんな仕掛けが?」
サムは疑問に思っていた。どうしてこんな神聖な場所にこんな仕掛けがあるんだろう。
「神龍教の仕掛けているのかな?」
サラは考えた。神聖な場所ならこんな仕掛けはないに違いない。きっと、神龍教が仕掛けているに違いない。
その先の部屋は水路だった。細くて長い橋が目の前にあった。その下には水が流れていて、ここにも肉食魚が泳いでいる。
「また水路か」
「ここが正しかったみたいね」
サラは安心した。これで間違っていたら詰んでいたからだ。
4人は水路を歩いていた。サラは下から肉食魚を見ていた。
「怖いわね」
「あんなんに食べられたらひとたまりもないわ」
レミーは怯えていた。
突然、橋が大きな音を立てながら徐々に崩れ始めた。崩れた橋は水に落ちていった。
「な、何だ?」
「橋が崩れていく! 急ごう!」
サラは慌てていた。落ちたら肉食魚に食べられて死ぬ。早く逃げないと。
「早く! 早く!」
一番早く対岸に着いたサムが大声で叫んだ。
「急いで!」
サラは2人の前を走りながら叫んだ。
4人は間一髪のところで対岸に着いた。間もなくして、橋は完全に崩れた。
「危なかったわね」
サラは息を切らしていた。
「今度はこんな仕掛けか」
サムは驚いていた。こんな仕掛けをしたと思われる神龍教が憎かった。
その先の部屋に入ると、そこにも水路があった。階段があり、その先には高くて細い通路がある。
「今度は階段か」
「上がってみましょ。前と一緒じゃないの」
サラは今さっき引いたレバーの場所を思い出していた。らせん階段の先だ。今度はまっすぐな階段の先にあると思った。
4人は階段を歩いていた。レミーは下を見ていた。肉食魚の群れがよく確認できる。サラは驚いていた。
「こんなにたくさんいる」
「怖いな」
マルコスは怯えていた。
「下を向いちゃだめよ。前を見て歩きなさい」
サラはレミーやマルコスに忠告した。
4人は階段を上りきった。階段の先には、レバーがある。そのレバーは、今さっきのレバーとデザインが一緒だ。
「レバーだ! これを引けば先に進めるはず」
マルコスは期待していた。
「今度は落ちてこないかな?」
「大丈夫だろう、足場がしっかりしてるんだもん」
「そうよね。」
サラはレバーを引いた。その瞬間、床から檻が出てきて、4人を閉じ込めた。
「な、何?」
「閉じ込められた!」
「こういう罠だったのか!」
と、4人はあることに気づいた。檻が下がっていく。このままでは下の水に落ちて、肉食魚の餌食になってしまう。4人は慌て始めた。
「よし、こうなったら!」
レミーは巨大なグラインダーに化けた。檻をグラインダーで切って脱出しようと考えた。
「おりゃー!」
グラインダーは火花を飛ばしながら檻を切断し始めた。その間にも、檻は下がり続け、水面が近づいてくる。
「レミー、早く!」
水面まで残り1メートルを切った所で、レミーは檻を完全に切断した。
「早く逃げよう!」
4人は檻を出た。まもなくして、檻は水面に浸かった。肉食魚が檻の中に入ってきた。
「間一髪だったわね」
「ほんとほんと。レミー、ありがとう」
「どういたしまして。これは狐や狸の妖怪が使える技なの。どう、すごいでしょ」
レミーはお辞儀をした。レミーは笑みを浮かべて、尻尾を振った。
「うん」
「でも、本当にこれで水が引いたのかな?」
レミーは疑問に思った。ただ檻が下がるだけで、水位に変化がないからだ。
「でも、行ってみましょ」
サラは強気だった。あの水路に戻って確かめたいと思っていた。
4人は階段の横の通路から戻ってきた。
その時、1人の男が現れた。神龍教の信者だった。
「サム、久しぶりだな」
信者は笑顔を見せた。
「お前は、レオ!」
サムはその男を知っていた。神龍教の信者の中でも位の高い12使徒で、八大竜王と称されているレオだ。
「確かにこの神殿に仕掛けをしたのは神龍教なのさ。世界を救うと言われている4人を殺すように命令されているからね」
レオは自信気に語った。満足そうな表情だ。
「やっぱりお前らがやったのか?」
サムは拳を握り締めた。神殿にあらゆる仕掛けをした神龍教が許せなかった。
「ああ。それでは、話はこれまでにして、君達はここで消えてもらいましょう」
レオはドラゴンに変身して襲い掛かってきた。
「食らえ!」
レミーは4匹に分身してレオを斬りつけた。だがレオはあまり痛がらなかった。
「この程度で勝てると思ってるのか? 水の怒りを!」
レオは魔法で大津波を起こした。4人は大きなダメージを受けた。マルコスとレミーは倒れた。
「マルコス! レミー!」
サラは驚き、叫んだ。
「天の裁きを!」
サムは魔法で大きな雷を起こした。レオは大きなダメージを受けたが、まだ耐えていた。
「くそっ、こうなったら!」
サラはレオに甘い吐息を吐いた。レオは眠ってしまった。
「よし、チャンスだ!」
サムは眠っているレオに悪夢を見せた。悪夢を見始めたレオは汗をかき始めた。
「不死鳥の力を、我に!」
サラは不死鳥となってマルコスとレミーを復帰させた。
「眠らせたわ。今がチャンスよ!」
マルコスとレミーは攻撃するなら今がチャンスだと思った。
レミーはレオが起きないように何も言わずに剣に化けて、レオを斬りつけた。レオは起きなかった。
マルコスは電気を帯びた爪でひっかいた。レオは深い傷を負った。だが、レオは全く気付かない。寝ていた。
「おりゃあ!」
サラは空高く舞い上がり、翼をはばたかせて竜巻を起こした。竜巻に巻き込まれたレオは回りながら舞い上がり、床に落下した。レオは大きなダメージを受けた。それでもレオは起きない。いまだに悪夢を見ている。
サムは魔法で流れ星を落とした。大量の流れ星がレオにめがけて飛んできた。レオは目を覚ました。レオはかなりダメージを受けていたが、まだ元気だ。
「しまった! 寝てしまった!」
「起きた! 早く寝かさないと、また大津波がくるよ!」
レミーは大津波を警戒していた。
「ふっ、ならばやってやろうじゃないか!水の裁きを!」
レオは魔法で大津波を起こした。前の攻撃よりも威力が高い。回復魔法をする間もなく、サラ以外の3人が倒れた。
「みんな!」
サラは叫んだ。だが3人は起きなかった。
「次はお前だ!」
レオは笑みを浮かべた。これで任務を全うできると思っていた。
「くそっ、こうなったら!」
サラは拳を握り締め、全身に炎をまとった。サラの体がみるみる大きくなり、巨大な炎のドラゴンとなった。
「何だこりゃ」
レオは自分の何倍もある炎のドラゴンを見て、開いた口がふさがらなかった。
「ガオー!」
巨大な炎のドラゴンとなったサラはレオに向かって体当たりした。レオは炎に包まれた。
「まさか、その力、ミラクル・・・」
レオは燃え尽き、その後には灰しか残らなかった。
サラは元のドラゴンに戻った。サラは不死鳥となり、倒れた3人を復帰させた。
「ありがとう」
「サラ、やっつけたのか?」
「うん」
サラは放心状態だった。自分に隠された力を解放したからだ。
「何が起こった?」
サムは何が起こったのかわからなかった。意識を失っていたからだ。
「私に秘められた力を解放したの」
「秘められた力?」
サムはどんな秘められた力を使ったのか気になった。
「炎をまとって体当たりしたの。そしたら、敵が跡形もなく消えたの」
サラはレオがどうなったのか詳しく話した。
「それって、神炎?」
サムは開いた口がふさがらなかった。生きる物を溶かす神の炎、神炎だと思った。信者だった頃、王神龍が生贄に向かって放っているのをたびたび見ていた。まさか、サラもそれを放つことができるとは。サムは驚いていた。
「神炎って?」
「サラのお母さんが生贄に捧げられるところを見たよな。あの時、お母さんの体を溶かしたあの炎のことだよ。まさか、サラがその炎を使えるとは」
サラはお母さんが生贄に捧げられたときのことを思い出した。あの時、炎を浴びて跡形もなくなった。あの時の炎が神炎で、まさか自分がそれを操ることができるとは。サラは驚いた。
「ミラクル・・・」
「どうしたの?」
「レオが死に際に言った言葉なの」
サラはレオが死に際に言った言葉が気になっていた。何がミラクルなのか気になった。
「ミラクル種ってのを聞いたことがある。この世界に危機が訪れる時に現れ、邪神を封印する力を秘めたドラゴンのことさ」
「ひょっとして、そのことじゃないかな?」
サラはその話を真剣に聞いていた。自分にどんな特別な力が秘められているのかわからなかった。そして今、ようやくその力がわかった。それは世界を救うための力なんだと。その力を使って世界を救わないと。サラは強く決意した。