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精霊の御子  作者: 壱原 棗
第5章:月の裏側
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聖堂

「それでティーセット持ってたんだ」


 急いでレムたちと合流して、先ほど得た情報を話した。


「夕方にポーラ嬢の儀式が始まるみたいだけど、シルフィについては?」

「わからない。でも急がないと一緒にされちゃうかも……」

「アレフに連絡したから、二人は直接聖堂に向かうって」

「じゃあ僕たちも行ってみようか」

「急ごう!」


 国を挙げてティルナ教を進行するトールでは、城下にある自治区の大聖堂はもとより、場内にも立派な聖堂がある。現教皇がトール四家アーネスト家のご隠居であることも影響し、年々規模は大きくなっているそうな。


「ここ?」

「そうだよ。オレは入ったことないけど」


 辿り着いた3人は入り口の扉に手をかけたが開かなかった。


「儀式の準備中なのに人の出入りを禁じてるのか?」

「……嫌な予感がする」


 不審がるディアンの隣でレムが扉に手を当てて思い詰めた顔をした。


「……私が行く」

「え?」

「古い扉だけど下の隙間が少しだけあるから、行けると思う」


 扉に耳を当てながら、少し強張った声でリマが言った。


「2人を待ってからでも…」

「きっと同じ考えだよ。私しか行けないもん。それに……」


 止めるディアンを遮ってリマは自分の帽子とメイド服に手をかけた。着ていた服から被るだけだったので、すぐにいつもの格好に戻る。


「友達が助けを求めてるのに気づけないのはもう嫌なの」


 振り替えってそう言ったリマは、体を水に変化させた。

 ディアンはそれ以上言葉を紡げなかった。何よりリマの強い意志に気圧されていたから。


 僅かな隙間から入ることができたリマは辺りを見渡した。自分の住んでいた教会よりも広いだけ。教会なんてどこも変わらないとどこか冷めたような感想が頭に浮かんでしまう。


 精霊が死んだせいで、世界が滅びに向かう不安。いつか訪れる最期への不安。

 だから人は祈り、縋る。精霊の復活を、世界の救済を――精霊の子に。



「誰?」


 か細いが聞き覚えのある澄んだ声が、誰もいない聖堂に響き渡った。祭壇の近くに翡翠色が見える。リマは迷うことなくそちらに駆け寄った。


「シルフィ!!」

「……リマ!?」

「よかった……よかった…!」


 力一杯抱きしめて何度もそう呟いた。


「寂しい思いさせて…ごめんね」

「私こそ!黙っていてごめんなさい」

「どうしてここに?」

「あれから記憶が途切れ途切れなんです。いつの間にか移動してて、意識が戻っても誰もいないんです。それに…」


 とシルフィは手を胸元に当てた。そこにはいつもあった金属はおろか、オパールもなかった。


「魔術を使えなくするために、取られたと思うんですが……」


 冷静に言うものの、彼女は少し怯えたようだった。


「とりあえずここを出よう!」


 リマは内側から掛かっている大きな錠に手をかけた。しかしガチャガチャと音が鳴るだけで外れる様子はない。


「リマ?無事なの!?」


扉の向こうでレイラのくぐもった声が聴こえた。


「シルフィもいます!でも内側の錠が外れなくて……外から魔術をかけてみて下さい!」

「!!リマ、手を離して!!」


 突然叫んだシルフィの声に体が反応した。それとほぼ同時に錠が光出して小さな爆発を起こした。


「……何をしてるの?」

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