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精霊の御子  作者: 壱原 棗
第4章:月の満ち欠け
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次の手がかり

 ランティスとトールの地方は山脈によって隔たれており、リマたちが来たブレイズランド経由の陸路と、ランティスからの海路しかない。ちなみにリマのいたベイシアからも海路がある。レギア洞窟というのはランティス付近にある山脈の窪みで、今回はロゼ付近の小さな洞窟と繋がったらしい。


「ルートが増えたのはありがたいわ。とりあえずレムが戻るまで待ちましょ。二人は危ないから宿でお留守番ね。アレフ付き合いなさい」


 お留守番と言われて二人が苦笑いをしながら宿に戻りながら、少し店を見て行かないかというリマの誘いにシルフィが嬉しそうにしていたのでよかったと思った。特殊な環境で育った彼女にとっては、一つ一つがとても新鮮だろう。

 レイラは不機嫌な顔をしているアレフにようやく気が付く。レイラから見て社会性があるんだかないんだか経歴の少年がおとなしくレイラの側に立っているのが面白かった。


「なんだよ…」

「不安そうね、大丈夫よ。あんたが絶対喜ぶ場所に連れていくから」


***


「あ!おかえりなさい」


 宿のロビーでシルフィとお茶をしていたリマが帰ってきた二人に気がついた。彼女の後ろからは、いつも仏頂面の少年が機嫌の良さそうな顔をしている。


「なんだか嬉しそうですね。どこに行ってたんですか?」

「武器屋」


 武器?と首を傾げたシルフィが視線を下げると、彼の足元にあるものに気がついた。膝から脛にかけて、金属の突起がついたものを着けていた。


「わぁすごーい!」

「よかったですね」

「ああ…」


 同じように彼の足元に気づいたリマとシルフィが嬉しそうに声を上げるとアレフは顔を背けた。



 涼しげな顔をしたレムが入ってきたと思ったら、その後に鎧に身を包んだ騎士が数名入ってきた。宿の主人にしてみたら何事かと思うだろう。まるで一斉検挙の現場のような光景に開いた口がふさがらない。


「ただいま。それがさ……あ、続きをよろしく」

「報告します。先日トール帝国より、精霊の子を発見したとの連絡がありました」


 騎士の一人がそう告げた。


「なんですって!」

「厳密に言えば、発見じゃなくて情報解禁なんだけどね」

「どういうことだ」

「どうやら四家の人間らしくて、教会も下手に発表できなかったらしい」

「それで、誰なの」

「はい。 月の精霊の子 ポーラ・アーネスト嬢です」


()の精霊?」


 リマがおうむ返しに呟いた。


「光の精霊は対に、月と太陽の対になっていて、太陽の精霊が馬の形をしているってことまでしかわかってないのよ」


 研究者のレイラも確認しきれていない月の精霊。その宝石を持つ者が現れた。


「シルフィの予言は間違ってないってことが証明されただろ?」

「確かに『対の光』って言ってたね」


 改めて彼女の予知能力が本物だとわかる。


「まさか、アーネスト家の人間とはね」

「レム様から話は伺いました。ローレンス殿には申し訳ないが、レム様に召還命令が出ております」


 渋い顔をして呟くレイラに、一番序列が高いであろう騎士が告げた。


「大変申し上げにくいのですが、シルフィ様が行方不明と一部騒ぎになり始めています」

「一度陛下に謁見したほうがいいかな。ランティスに寄ってもいい?」

「ええ、そうね」

「とりあえず!僕たちものすっごく疲れてんの。だから明日にしてくれる?小隊長」

「では失礼します」


 騎士たちは綺麗に礼をしてぞろぞろと宿から去った。


「どこまで話したの?」

「大丈夫、うまくやってるよ。研究の延長で精霊の子を探してるってだけ。この二人が非公認の精霊の子だとは言ってない」

「そう。じゃあもう休みましょ。悪いけど二部屋しかとれなかったから。男二人ね」

「はーい」

「……」


***


「久々のベッドだ~」


 部屋に入った途端にリマとシルフィがベッドに横になった。慣れない野営に疲弊していたのでふかふかしていて今夜はぐっすり眠れそうだ。明日の準備をしているレイラに向かってリマはずっと気になっていたことを問いかけてみる。


「レイラさんって義眼なんですよね?やっぱり…半分見えてないんですか?」

「ま、普通は見えないわよね」

「普通は?」


 にやりと笑いながらベッドに近づいてリマとシルフィを見下ろし、自分の右目を指さした。


「どういうことですか?」

「この義眼はね、『増幅器』なの」

「!それって…」

「害は無いわ。正しく使えばとっても便利なんだから。あたしのは義眼で映ったものを、魔力が視神経に伝えてくれるの。でも最近たまに途絶えてね~アレフの時は偶々よ。ほら、わかったらはやくシャワー浴びて来なさい」


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