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精霊の御子  作者: 壱原 棗
第2章:諦めた変化
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僕らは

 

「こちらの話は行ってるわよね」

「あぁ、シルフィのこと?」


 レイラからこれまでの経緯を説明され、本題について確認しながらソーサーを持ち上げ、カップに口をつける彼の様もとても優雅だ。


「シルフィも大概辛そうなんだよね。僕がお嫁に貰っちゃえばいいんだけど」


 リマは唖然とした。貴族とはこういうものなのだろうか、なんて思ってしまう。


「そ、そんなお嫁になんて」

「最終手段よ。ソレは」


 思わず狼狽えたリマを見てレイラはくすくすと笑った。


「話を戻すけど、彼女が辛そうってどうしたのかしら?」

「精神的には疲れる立場だけど、最近おかしいんだ」


 するとレムが真剣な顔つきになり、教典を暗唱し出した。


 


 かつて世界に

 コアをもたらす泉があった

 しかし争いで泉は枯れ

 世界の理を守る精霊たちは死に絶えた

 それを嘆いた女神は自らの命を賭して

 世界にコアをもたらした

 すると泉の精霊__ティルナが誕生した


「私の命が尽きれば世界は滅ぶ。精霊たちを復活させよ」


 女神の最期の言葉を受け取ったティルナは

 天から宝石を落とした

 地上に落ちた宝石はヒトとなり

 精霊として生まれ変わる

 人々は彼らの誕生を待ち望むだろう



 これこそが、この世界の運命を綴ったものである。




「疑問には思わない?僕たちが生まれた時点で精霊が復活するのかと思ったら、そうじゃないらしい」


 レムは意味深な物言いでそう切り出した。


「言い伝えでは、風の精霊:シルフには予知能力があるとされる。そしてシルフィには夢で先を視る力があるんだ。それを利用して、人々の信仰を得ている」


 精霊の神託が降る町:カロルとはそういう意味である。彼女が力を使い、夢で見た未来を告げるのであろう。


「僕は大地からエネルギーを吸い取ったりその逆もできる。これは魔術というより『体質』かな。リマちゃんも心当たりはない?」

「この子は普通だと思ってたみたいだけど、数十分は平気で水中に入れるのよ。呼吸はどうなってるのかしら?」

「お、落ち着くんですよ。それに、ちゃんと苦しくなったら上がってます」



 リマの潜水能力は魔宝石身につけていない状態のことであるから、彼の言う『体質』という言葉が当てはまる。魔宝石があればこの体質は魔術と変わり、リマの場合は水中では呼吸が必要なくなるのだ。



「精霊は人間じゃない。食べることも寝ることも必要ないはずだ。だけど僕らには必要だろ?つまり、不完全な存在だ」


「『世界は滅ぶ』……」


「目に見えない速度とはいえど、世界は確実にバランスを崩し始めているから、ね」


 レイラが思案気味で呟いた。実際に昨今、世界中で異常気象や災害の報告が増えている。



 正式名称:マナフィ・コア。


 通称『コア』は魔力もとい生命の源とされるが、それは何より世界の恵みそのものなのだ。

 そしてその恵みをもたらす泉が枯れたのであれば、確実に有限である。そのエネルギーは魔術を通じて生活の様々に応用されている。

 しかしその一方で、この世界では新たな人類が誕生した。


『マナフィラー』


 その存在は、大量ではないにせよコアを生み出す。ゆえに彼らは重宝されるのである。

 いつ枯渇してもおかしくないエネルギーに生かされているというこの世界。バランスが崩れてきているのだ。

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