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2 キャラクターメイキング (2)

 初期アビリティで得られた5つのスキルはこのようなものだった。


PS『求道者』

・種族の系統の変更が不可能になる。

・初期設定で入手した武器以外の武器が装備不可能になる。

・入手したアビリティの削除が不可能になる。

・Lvの上昇に必要なExpが大幅に減少する。

・アビリティのLv上昇速度が大幅に増加する。


AS『スネークアイ』[魔術-魔眼]

・消費MP5

・発動時、相手に状態異常『硬直(微)』を与える。


PS『封印されし右手』

・自らのHPが最大値の10%以下になったときに自動で発動し、発動時は右手のみ全能力値+100%になる。

・み、右手の封印がッ!


PS『投擲強化(弱)』

・物体の投擲の命中率増加

・物体の投擲の威力増加。


PS『両手装備』

・武器を両手で装備する際のみ必要STR半減。



「……おい、若干ふざけてんだろ、これ」


 詳細を見た俺は思わず顔を手で覆った。『スネークアイ』『投擲強化(弱)』『両手装備』はまだいい。『封印されし右手』の説明文、完全に製作者の趣味が入ってるだろ。

 一番目を引いたのがPS『求道者』だった。様々なものの種類が変更になる点は痛いが、成長速度が速くなるのは強力なアドバンテージになる。他4つのアビリティも現時点では決定打に欠けているが、成長速度に物を言わせて強化していけば補うことが出来るだろう。レベルを上げて物理で殴れば良いとはよく言ったものだ。




「ステータスポイントの割り振りを行って下さい」

「えーっと今度「時間切れです。「ランダム」が選択さ……ザザッ……した」はあ!?」




 さっきまでの行動を反省しこれから真面目にキャラを作っていこうとした矢先、さっきよりもノイズの強くなったアナウンスがされると同時に強制的にランダムが選択されてしまった。早速不具合かよ…………詫び石はよ。あ、このゲーム課金アイテムなんて無かった。


 ここでは本来STR、CON、DEX、INT、POW、AGIの6つの基本ステータスに初期値70を自由に割り振るはずだった。


 STRは筋力(Strength)のことで、物理的な力の強さのことだ。これが高いと武器での攻撃力が上昇したり、マップ移動の際に木などの配置されているオブジェクトを掴んだりすることが容易になる。

 CONは(Const)(itution)のことで、物理的な力への耐久力を示している。これが高いと物理攻撃からのダメージが減少し、マップ移動の際には長い距離を走り続けたりとスタミナに直結している。

 DEXは器用さ(Dexterity)のことで、攻撃の際の命中率に影響している。これが低いと扱うことのできない道具やスキルも存在するようだ。

 INTは(Intell)(igence)のことで、要は魔術の強さだ。やはりこれが低いと使えない道具もあるらしい。

 POWは精神力(Power)のことで、魔術的攻撃に対する耐久力や状態異常への対抗力が現れている。

 AGIは敏捷さ(Agility)のことで、これが高ければ高いほど素早く動くことが出来る。



 実はこういった育成が自由に効くゲームをプレイするのは初めてで勝手がよくわからない。どうせ自分でやるとまた時間がかかってたし、変な比率にならなければまあ良しとしよう。



「初期ステータスが決定しました」

 HP:(STR+CON+POW+5)×2→40

 MP:(STR+INT)→34

 STR:11

 CON:0

 DEX:15

 INT:23

 POW:4

 AGI:17




「おうふ」


 思わず変な声が出てしまった。耐久力殆ど紙じゃねえか。



「初期ぶ……2…ザッザザッ……してく……い」

「強………ンダム……され……」

「おい!武器ランダムはシャレになんねえよ!ってかもう完全にバグってるじゃねぇか!!!」



 次は武器、防具を決める段階の筈だった。もはや無視できないほどに拡大したノイズがアナウンスの邪魔をしており殆ど聞き取れなかったが、辛うじて「ランダム」という最悪の単語だけは聞き取れた。先ほど入手したスキル『求道者』のデメリットを考えるとここの選択に最も時間をかけるべきだったのだけれど、俺に出来ることは変な武器が選択されないことを祈ることだけしか無かった。




「抽選……す」

「『斧』が選択され…た。『銃』……されまし…」


「…………終わったな」


 選択された武器を見た瞬間に頭を抱えて膝から崩れ落ちた。個人的には折角ハイエルフになれたことだし『弓』や『短剣』なんかが良いなとは思っていたが、その夢はあっさりと打ち砕かれてしまった。作成終わったら速攻で運営にクレーム入れてやる。


「防………ザザザザザ……い」

「ザザザザ……ザザザザザ……」


「最早メッセージすら無くなったか。クソが」


 アナウンスはノイズに塗れて何も聞き取れなくなったが目の前に浮いているウィンドウに何が書かれているかは辛うじて読み取ることが出来た。


『エージェントセット』

・頭:なし

・体:黒スーツ CON+10

・腕:腕時計 CON+1

・脚:黒ズボン CON+5

・足:黒の革靴 CON+3

・装飾品:黒ネクタイ CON+1


「エルフのアイデンティティを全力で消しにかかってきやがって…………」


 黒スーツを身に纏い銃や斧を使って侵入者を排除するダンジョンのボスと言えば聞こえは良いが、決してハイエルフがしていい装備ではない。ファンタジーの世界観ぶち壊し間違い無しだ。


「プレイヤー名を設定してください」

「ここが治ってもなぁ……『コーツ』っと」

「確認しています……しばらくお待ちください」

「認可されました。『コーツ』でよろしいですか?YES/NO」


 プレイヤー名設定の番になると不自然なほど急にノイズが引いていった。そのタイミングの悪さに強烈な違和感を覚えたが、またノイズが復活して変な名前にされても困る。即座に名前を入力し、迷わずYESを押した。


「アバター設定が終了しました。こちらが貴方のアバターになります」


 完全にノイズの消えたアナウンスが作業の終了を告げると目の前に俺のアバターの全体像が現れた。

 どんな風になっているのか気になっていたが、パッと見ただけでは自分だとわからないくらいエルフっぽくなっていた。お決まりのエルフ耳と目に加え、髪も白金色で肩まで伸び、目の色も青になっていたからだ。しかも顔立ちもかなり良くなっており、一見すると自分だと分からないほどになっていた。

 しかも白金色の髪と黒スーツの色の対比が良い感じに映えていた。世界観を度外視すればこの服装は意外と似合っているのかもしれない。



「以上でキャラクターメイキングを終了致します。チュートリアルをスキップしますか?NO/YES」「強ザザッ…的にYESが選択さ……ザザザザ……はNew Genesis Onlineのザザザ……楽しみ……さい」


「ですよねええええ!!!!!」



 何故か復活したノイズ混じりのアナウンスが無慈悲にもゲームの開始を告げ、俺の意識はホワイトアウトしていった。



「権限『ランダムダンジョン作成』を手に入れました!」


意識が完全に失われる直前、アナウンスが響いたような気がした。

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