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1 キャラクターメイキング(1)

大幅改稿しての心機一転再スタートです。

「身体情報をスキャンしています……しばらくお待ちください」

「スキャンが完了しました。Virtual Reality の世界へようこそ!」


 目の前に浮かぶ青く半透明なメッセージウィンドウ以外は何もない空間のなかで頭の中に明るい、しかし何処となく無機質な声が響き渡り、俺は人生初のVRMMOを開始することになった。


 時は2XXX年、科学技術は大幅に発達し、その技術はゲームにも大きな革命をもたらした。

 その結果生まれたのがフルダイブ型VRMMO、即ちVirtual Reality Massivery Multiplayer Onlineだ。

 人生初といっても数年前にはもうVRMMOは発売されていたと思うが、その頃俺はまだ小学生だか中学生だったのでそんな高価な物を買う金など無かった。だが今の俺は大学生。授業の合間を縫ってバイトに熱心に打ち込んだ結果予約開始日迄に大金を貯めることに見事成功したのだった。

 こうして俺は念願のVRMMOのハードとソフト両方を手に入れ、早速ヘッドディスプレイを装着してログインした。


 俺が手にしたゲームの名前は『New Genesis Online』。ゲーマー、というか半分ほど廃人の域に足を突っ込んでいる親友に何かオススメのVRゲーは無いかと聞いたところこのゲームを勧められた。運が良ければ何処かで会えるかもしれないな。


 ダイブする前に読んだ説明書や公式サイトの情報によると、まずこのゲームではプレイヤーは冒険者(Venturer )創造者(Creator )に分かれる。アバター等基本的な部分は二者で違うところは無いが、大きく違うところは創造者には冒険者が攻略する対象である『ダンジョン』を創ることが出来る権限がある点だ。分かりやすく言うと冒険者が勇者サイド、創造者が魔王サイド、と言ったところか。その代わり冒険者にあるギルド設立やパーティー編成といった徒党を組むための機能が存在しない。ファンタジー世界の冒険を思い切り楽しみたいプレイヤーは冒険者を選択することだろう。


 更にこのゲームの目新しい点としては「プレイヤーが主体となりゲームが創られていく」点であろう。このゲームはかなり自由度が高いが予め用意され、筋書きが決められているクエストは殆ど存在しない。クエストは創造者のダンジョンの出来具合いで自動生成されたり、プレイヤーが「冒険者組合」なるものに直接以来して作成されるらしい。上手く立ち回れば自らが「魔王」や「勇者」となることも決して不可能ではないだろう。



「あなたは冒険者と創造者のどちらを選びますか? 冒険者/創造者」


 そうして俺の目の前に浮かんでいるメッセージウィンドウに二つの選択肢が現れる。発売の情報を手に入れてから購入するまでの数ヶ月間悩み続け結論を出した俺は意を決して片方の選択肢へと指を触れた。


「人数を確認しています………………認可されました」

「あなたは『創造者』として登録されました」


 このゲームはどちらか選べるといってもゲームバランスの調整のために時々自分の希望が通らないことがあるみたいだ。ラッキーだったか?


「種族を選択してください」


 そして俺の前にファンタジーでおなじみの種族がズラリと並べられたリストが現れた。軽く流し読みしてみるとそこには人間に始まり様々な種類の獣人、エルフ、ドワーフ、更には悪魔まで揃っていた。どうやら選択する種族によって多少初期ステータスや成長する能力値などに補正があるようだったが、非常に細かく設定されておりかなり目移りしてしまう。



 一番オーソドックスな『人族』は突出して目立ったメリットは無いが、どの方向にも満遍なく成長していく。一番自分の色を出せる種族がこれだろう。

 『獣人族』はどの獣人になるかにもよるが、全体的に近距離攻撃タイプにステータスが成長していくようだ。それに初期技能として『部分獣化』を会得している。これはMPを消費し一定時間体の一部を獣化させステータスを上げるというものだ。

 『翼人族』は獣人の鳥バージョンといったところだった。獣人ほど攻撃型のステータスでは無いが、その1番の魅力は慣れれば空を飛ぶことが出来るという初期技能の『部分獣化:飛翔』だろう。

 『魚人族』は獣人の水棲生物バージョンだが、獣人・翼人とは異なる点がある。それは『部分獣化』が存在しない点だ。といっても特性を見る限り『部分獣化』せずとも既に水中でも呼吸が可能などの水棲生物特有の機能が備わっているので決して弱いというわけでは無さそうだ。

 『妖精族』にはエルフやドワーフ、オーガなどがある。その種族によって特性が大幅に異なるり種族の色が一番強く出ているのがこの種族群だろう。

 『魔族』にはスケルトンやヴァンパイアといった、どっちかというとダンジョンでモンスターとして出てきそうな種族が集められている。全体的に魔術に高い適正を持っているようだがやはり種族ごとの特性が固有技能として色濃く出ており、若干玄人向けの種族となっている。




「……クソ、面倒臭ぇ」


 コンビニでおにぎりを1つ買うのにも10分は悩むほどの優柔不断な俺にとっては、これは余りにも種類が多すぎて決めるには時間がかかりそうに思えた。どれを選んでも致命的なデメリットは無さそうだし特に思い入れのある種族もなく、俺はリストの一番最後に書かれているある文字を選択した。


「『ランダム』」


「抽選しています……しばらくお待ちください」


「おめでとうございます!上位種族『ハイエルフ』が選択されました!」


 派手なファンファーレと共にさっきのリストにはなかった「ハイエルフ」の文字が現れた。あーコレはあれか。ランダム特有の低確率で良い思いをする奴か、さっきからラッキー続きだな。

 



「初期アビリティを5つ選択してください」


 系統別に分類された様々なスキルが並ぶウィンドウが目の前に現れ、選択を促してくる。アビリティは大まかに[生産][戦鬪]の2種に分類されていた。

アビリティにもLvがあるらしく、レベルが上昇する毎に使えるスキルが増えていくといったシステムのようだ。例として挙げられている戦闘アビリティである『長剣使いの心得』だと、LvⅠでAS(アクティブスキル)『スラッシュ』を会得、LvⅡでPS(パッシブスキル)『武器耐久力増加(弱)』を会得……といった具合だった。Lv上限はスキルにも依るが最大でⅩまでらしい。


今回は流石にランダムにはしないぞ!真剣に選ばないと酷い目に遭う可能性がデカいからな!


「まず生産系統は無しだな」


 そして生産系統のスキルをリストから除外して細かく選別していく。このような作業を何回も繰り返してようやく絞れてきた。だがスキルの全体数がやたらと多すぎて、ここまで絞るのにかなりの時間がかかってしまった。


「あー疲れた…。ったくどんだけ手間かかるんだよこれ。まだ一個も選べてないのに」


















「………時間切れです、強制的に……ザザッ……ランダムが選択されました」


「はあ!?」





 俺の悲痛な叫びを他所に、メッセージウィンドウには選択されたアビリティが表示されると同時にノイズの混じったアナウンスが現実を突きつけた。


「『求道者』『硬直の魔眼』『封印されしもの』『投擲』『武装補助』が選択されました」



  …………よし、一旦落ち着こう。スキルの解説を見よう。例え変なアビリティが混じっていたとしても、だ。



求道者:[固有]

・LvⅠ:PS『求道者』を会得

※これはランダム限定アビリティです。


硬直の魔眼:[戦鬪]

・LvⅠ:AS『スネークアイ』を会得


封印されしもの:[戦闘]

・LvⅠ:PS『封印されし右手』を会得


投擲:[戦闘]

・LvⅠ:PS『投擲強化(弱)』を会得。


武装補助:[戦鬪]

・LvⅠ:PS『両手装備』を会得。




 これは……当たり…………なのか……?





 

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