第5話 異種族
種族について
レクイエムのいた世界には
人間
獣の姿に変貌できる獣人
寿命が長く美形のエルフ
背は低いが力のあるドワーフ
が存在した。
彼らは皆、各種族ごとに大陸を持ち
それぞれの長が統治している
近頃は他種族との交流もあり、
色々な種族が住む場所も存在する
ドラクル達のいるギルスタン大陸には
吸血鬼・異形種・人間の三種族がいる
人間は別な大陸に多く存在するが、
ギルスタン大陸にはほとんどいない
異形種は人ならざる者達の総称で
本来は細かく種族が別れる
この大陸では吸血鬼が最も栄えており、
この地では人は奴隷か狩人のどちらかしか居ない
・・・どうしよう。
別な大陸どころか全く知らない場所に
来るとは・・・
「あー、それで一応念のために聞いておくが
お主は人間・・・じゃよな?」
「はい、多分・・・」
「・・・何故はっきりと断言できないのじゃ?」
「・・・分からなくなったから」
「そうか、ちなみに私とラミカは吸血鬼で
カレンはハーピーなのじゃが」
「きゅーけつき?はーぴー?」
今まで聞いたことのない種族だ。
エルフやドワーフ、獣人なら父さんから
多少聞いてはいるが・・・
「む、それも知らんのか・・・。
ならこの本を返すついでに来てくれんか?」
「どこへ?」
「この城の図書館じゃ。
ラミカもおるじゃろうし、少しは働いてもらうとするかの」
「・・・分かりました」
大量の本をドラクルと一緒に運ぶ
そして図書館に着いたのだが・・・
「・・・広い!?」
天井がかなり高く、そこら中に本棚が
置いてある
・・・一体何冊あるんだろうか
「ラミカー、本を返しに来たぞー」
「はい、返却ありがとうございます伯爵様」
気付けばラミカさんが目の前に立っていた
そういえば"きゅーけつき"とは何なのだろうか
「あの・・・ラミカさん」
「どうしたの?坊や」
「"きゅーけつき"というのはどんな種族なのですか?」
「それはね・・・こんな種族よ」
そう言うと彼女は僕の後ろへ一瞬で回り込み
僕の首筋に噛み付いた
痛みはあまり感じないが、力が抜けていく・・・
「おいラミカ、間違っても殺すでないぞ?」
「大丈夫ですよ伯爵様、ちゃあんと加減はしてますか・・・ら・・・?」
「・・・どうした?」
僕に噛み付いた後、彼女は震えていた
そしてこちらをじっと見つめ、
涙を浮かべつつあった
「・・・あの、大丈夫ですか?」
「ああ、いえ何でもないの・・・
ごめんなさい、急に泣いちゃったりして」
「あの、それで結局これはどういう・・・」
「ようは血を吸って生きてる化物って事じゃよ」
なるほど、血が栄養源なのか・・・
でも、彼女が泣いたのはなんでだろう?
「伯爵様、ちょっとこちらへ・・・」
「ん、おう・・・分かった」
「坊や、ここに置いてある本は自由に読んで構わないわ。ただし!絶対に元の場所へ返すこと!
もし分からなくなったらそこのテーブルに・・・」
そう言って彼らは図書館から消えて行った・・・。
「・・・せっかくだし、色々見てみようかな」
本を読むのは嫌いではないし、
この場所を知るのにも十分だろう
"きゅーけつき"や"はーぴー"の事と・・・
あとは【四英雄物語】とやらの事も
知っておかなければ・・・
・・・そういえば、あの黒い服の男の人
あの人って何者なのだろうか・・・