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今更だけど異世界で育成します  作者: 神木名 緒
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お客さん終電ですよ

ーがこんと、電車が大きく揺れた。


「ーっ」


しまった、と思ったが、今日は通勤快速に乗っていない事を思い出す。


ー危ない危ない、県外に連れて行かれる所だった。


それにしても、日暮れが早いとはいえ、車内が暗いし、お客さんも誰もいない。

もしかしたら、自駅の隣にある車両基地に入る電車だったのか、等と思いながらふらふらと開きっぱなしの扉に向かう。


車内灯が消えている…。酔っ払いがたまにそのまま車庫に収容されるという都市伝説を聞いた事があるが、しかし車掌さんは何故に起こしてくれないのか…。

恥ずかしさ半分に、おばちゃん思考で車掌さんに頭の中で八つ当たりしながら電車の外のホームに踏み出した。


はずだった。


ーは?


と私は声を出したはずだった。

しかし、私の周りは無音の暗闇だった。何もない。闇。

感覚として、落下している感じもない。思わず、目をぎゅっと瞑ってからもう一度開けて見た。


ーやはり真っ暗だ。

自分の手や身体を見ると、ほんの薄っすらと青白く見える…気がする。

そのまま、足まで目線を走らせた私は、ぞわっと背筋に悪寒が走った。

足元も何もない。真っ暗だ。


なんなのだ…これは。


心臓がだんだんどきどきと鳴ってくる。それに伴って、耳鳴りのような音と、手先や足が震えるのが分かる。

ーやばい、パニックになりすぎたら、それだけで死んじゃうかも。

と、少しだけ冷静な自分が考える。


とりあえず、もう一度目を閉じて、大きくゆっくりと息を吸う。


ー大丈夫、まだ死んでない。ただ暗いだけ。落ち着け。落ち着け。


パニックを起こしている体中の細胞と心臓を何とか落ちつけようとする。

呪文みたいに何度も落ち付けを繰り返し、どくどくと鳴っていた心臓が、少しずつゆっくりになる。

耳鳴りも、少しだけ治まった気もする。


ぎゅうっと自分を抱きしめて、腕を擦る。ちょっと体が温かくなった気がする。


自分が冷静になれる事にほっとしてまた大きく息を吐く。

これは何かの自己啓発本で読んだ、ストレスの発散方法の応用みたいなものだ。


そんな事を、何分くらいしていたのか、ちらちらと瞼の向こうに光を感じて、恐る恐る目を開けてみた。ずっと遠くに、トンネルの出口みたいな明かりがあるのが分かった。


ー出口なのか


動こうとするのだけど、身体はまだ固まっていて、動く事ができなかった。


ーどうしたらいいんだろう…。


自分は冷静である、と自分に言い聞かせながら、私は考えようとしていた。

余り考えすぎると、パニックになるので、自分は大丈夫だと何度も言い聞かせながら、思考した。


そして、全く何も浮かばない状態が数秒か数分続いた後、突如、私は何かに…あの光に

向かって吸い寄せられていた。


ーうわわわわ


ものすごい勢いで引っ張られて、私は大声を上げていた。

しかし、それでもなぜか音は聞こえない。無音。ただただ、怖い。


ーやあああ、ぎゃああああああああ


絶叫系が大好きな私だが、絶叫ができない絶叫形は、全然楽しくない。


「ーゃあああああああ」

「うわあああああああ」


そんな事を思っていたら、しゅぽんと何かに吸い込まれて、私は絶叫を上げながら硬い床の上に、投げ出された。


そして、多分私に負けないくらいの絶叫を耳にしながら、ふわっと生まれて初めて意識を失った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


後から思うと、それはほんの一瞬だったのだろうと思う。


ぺちぺちと頬を叩かれていて、それがだんだん強くなってきて、耐えられなくて頭を振って手でそれをとめる。


「-ったいなsぁ。やめてよ」


思わず握った誰かの手が、異常に冷たくて、すぐに離す。

そして直前の事もあったので、その場からばっと手を突いて後方に飛び退る。ごちっと壁に背中と頭が激突打つ。


「っつー」


「&&%$&##%%%%%%$&」


何か言葉みたいなものが聞こえて顔を向けると、人が居た。

…人か?いやこれは…いわゆるコスプレか??


青い髪と、灰色の目。ちょっと、日本人離れした感じの顔に、耳がなんか、ねずみっぽい感じな、若い男のような人がしゃがみこんで私を見ていた。


…この瞳の色は実留香ちゃんが時々するカラコンの色だからそんなに怖くない。

…そういえば、40超えても趣味でレイヤーとカメラをしている人が前の派遣先に居たっけなー。

とか、まるで走馬灯のように私は全然明後日な事を考えていた。


その為、その青年がまた何事か全く理解できない声を発して、私の目の前から去っていくのを私はただただ見送ってしまったのでした。


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