おいしくなあれ
こんにちは
予約投稿しています
見直しが出来ていないのですが
外出しているので見直すのは
夜か明日の予定です
よろしく願いいたします。
ないのかぁぁぁ。
というのが、私の気持ちだった。
そんなに気にならないと思っていたけれど、食べられないとなるとこんなにがっかりす
るものなんだと初めて気がついた。
やることも無いので、気分転換に家の外の庭に敷物を敷いてごろごろしていた。
でも、さっきから考える事は食べ物の事だった。
食べ物の恨みは深いというけど、本当に今身にしみています。え?言わないの?
ちなみにチャッピー君は、私が大人気なく大ショックを受けていることに慌てて、クヌートさんに聞いてきてくれると言って出かけてしまった。ごめん、本当にごめん。
「-あああああ」
ストレス発散に、敷物の上でバタバタしてみる。
私の横に転がっていた猫クロスケが、なにやってんのという感じでみてくる。
うーん…。大丈夫と思ってるけど、やっぱりちょっとホームシックというか…。手持ちぶたさというのもあるかもしれない。
私は元々暇というものが嫌いだ。
何か身体を動かしているとかしないと、気持ち的にしんどいと思ってしまう。
「…ここに居ろって言われたらいるけどさぁ…暇は嫌なんだよね」
と私が愚痴ると、猫クロスケがにゃあんと啼いてしゅぴっと立ち上がった。
「え?なになに?魔法?ダメだよ!」
あせる私を置いて、尻尾を揺らしながら猫クロスケは歩き始める。そして、少し離れた場所で立ち止まると、にゃあんと私に向かって鳴く。
ー着いて来いって事??
靴をはいて猫クロスケに近づくと、また、たたたっと歩いていっては、私を振り返ってにゃあんと鳴く。
それを何度か繰り返したら、いつの間にか昨日クヌートさんと歩いた獣道みたいな樹木いっぱいの場所に出た。
ピンクとか薄紫とか、カラフルな植物がいっぱいあってきょろきょろする中で、猫クロスケが突然地面を掘り始めた。
「…ちょっと、猫クロスケさんや…何をしてるの」
「にゃっ」
凄い必死の形相で掘っているが、何かあるのかなぁ。
仕方ないので、その辺に落ちていた木の枝を拾って、私も一緒になって掘ってみる。
「…何か変なものだったらやだなぁ」
実家で飼っていた猫が、よく仕留めた獲物を持ってきてくれた事を思い出してしまい、若干手がおろそかにる。そうこうしてるうちに猫クロスケが何かを掘り当てた。
「なぁあ」
「…何コレ」
ピンク色の芋みたいな丸い物が出てきた。
もしかして、コレは食材なのだろうか??
更に掘り進めてみると、3個程ゲットした。ごつごつした形の芋はピンクで、匂いを嗅いでみると玉ねぎっぽい感じがする。
にゃあんと、また猫クロスケが少し先で鳴いた。
私は、慌てて、そちらに向かった。
その後、泥だらけになったり、木に登ったりしながら収穫したのは、小さい緑の実と薄紫色の葉っぱだった。
これが、食べられるのかな?だとしたら凄く嬉しい。
うきうきしながら家に戻ると、チャッピー君が待っていた。
「…何ですかそれ?」
「えっ?…この世界の食べ物ではないのかな…??」
さっきまでのうきうきは途端に不安にかわる。
この世界の人が食べないものって…だ、大丈夫なんですか?猫クロスケ君!
猫クロスケに視線を向けると、足元のにゃんこはにゃっと自身ありげに短く鳴いた。
…まあ、君を信じますけどもね。
チャッピー君が塔からもって来てくれたのは、干し肉と塩と胡椒みたいなスパイスだった。
やっぱり塔には食材が殆どなくて、お酒のつまみみたいなものと、研究用にあったそれを少し分けてくれたみたい。
でも、コレで何かおいしそうなスープとか作れそうじゃない?
再度気を取り直して、私は台所へと向かった。
まずは、最初に収穫したピンクの芋みたいなもの!
コレは完全に匂いが玉ねぎなんだよね。
という訳で、皮をむいて薄くスライスしてみる。
うん。形は芋だけど、完全玉ねぎ、だって目がしみてきた、
「…うっ何ですかコレ」
私の手元を近くで覗いていたチャピー君の目にも涙が浮かんでいる。玉ねぎは息を止めて切らないとね…。
スライスしたピンク玉ねぎ(私が勝手に命名)を三つ丸ごと火にかけます。
火、というか魔法が組み込まれたIHみたいな台だね。鍋の下が熱くなってます。
それをあめ色になるまで、どんどん炒めます…どんどん炒めたら…あめ色…じゃなくて、濃いピンク色っていうか、ムラサキっぽくなってきた…。うーん。
そして、この炒めた玉ねぎに、お水を足してゆきますとオニオンベースの野菜スープになってるはず。
ここに、塩とスパイスを入れ、ほし肉も一緒に入れます。あとは、緑の実を切ってみた。中身も緑。アボガドよりも鮮やか。切った感触はジャガイモに近かったので、大きめにざく切りしていれて、更にちょっとだけ細かくしして入れる。
「マーサさんなんでそれだけ細かくするんですか?」
「もし、ジャガイモと同じでんぷんが出るなら、溶けたらスープにとろみが出るはずなんだよね」
灰汁を取りつつお玉でくるくるとスープをかき回す。
部屋には、おいしそうな匂いが充満し始めた。
出来上がる少し前に、肉厚の薄紫の葉っぱも刻んで鍋に投入する。
ぐつぐつと鍋が煮込まれてきた時、チャッピー君のお腹がぐうっと鳴った。
「チャッピー君も一緒にたべるよね?」
私が笑いながらそう聞くと彼は嬉しそうに食べたいですと返事をしてくれた。
見た目ピンクの野菜スープは、私としては完全に視覚テロ状態になっているけれど、匂いだけは合格のようです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
余談ですが、小さいこと親が作る根菜の謎のスープを
身体にいいからと飲まされていました。
あのごぼうの味を忘れません。
ブックマークポイントありがとうございます。
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また明日もがんばりますのでよろしくお願いいたしますv