あざみへようこそ
お久しぶりでございます。
今回なんとなくで投稿させていただきました。
途中で視点が変わります。ご注意ください。
先ほどまで真っ白だった世界が様々な色を映し出した。
「ここがDTOの世界…」
某家電量販店のくじ引きで一当を当てた幸運な男である俺、ロックこと岩城祐樹は1当の商品である今話題のMMORPG『Dream・Tale・Online』にログインした。
キャラメイクをして200問以上の心理テストを終了させた結果、俺の職種は『戦闘職』の【ファイター】だった。一番基本的な前衛物理職で一番人口の多い職業だが技が素直で使いやすかったり、そこそこ攻撃力も高いので優遇されている。
というか職業は良いんだが心理テスト長すぎだろ! キャラメイクから全部含めて1時間近くかかったぞ。さすが資金の1/3を職関連にぶち込んだと噂のあるゲームだわ。
まぁそういう感想は置いておいて、せっかく新作ゲームをプレイできたんだ。このゲームのコンセプトである『もうひとつの人生を』とやらを感じるとするか。
ならばすることは一つ、食事だ! 人生の生きる糧は食事であると俺は思う。ましてゲームの世界なんだ、現実世界では食べられないものを食べたいだろう?!
というわけで町を散策しているとある建物が目についた。洋風の建物が立ち並ぶ中、一つだけまったく雰囲気の違う建物がある。
その建物は屋根には鼠色の瓦が貼ってある木製の建物だった。しかも屋根の右の方からは煙突が伸びており、煙が少量噴出している。
さすがに気になる。世界観ガン無視の建物を造るなんて開発は何を考えているんだ? 疑問を持ちつつその建物に近づいていく。建物の入口は引き戸であり、その引き戸には暖簾がかけてあった。暖簾にはこう書かれている『VR銭湯 あざみ』と。
VR銭湯? さすがに戦闘ではないので戦うという事はないだろう。………なんだこれ?
イヤ、疑問を持っていても始まらん。せっかくだから俺はこの引き戸からはいるぜ、とどこかの伝説の糞ゲーを思わせるようなセリフを思いながら俺は引き戸を開いた。
「ごめんくださ~い。」
誰にいうでもないがつい声が出てしまう。帰ってこないと思っていたが越えの返事が返ってきた。声の主は正面の番台? カウンター? に腰かけている男だった。
「いらっしゃい。」
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ここで銭湯を始めて2週間。開店して最初に来た客はNPCだった。このゲームのNPCは独自のAIを持っていて、人間と同じようにコミュニケーションをとることもできるし一緒に冒険したりもできる。どうやらそのNPCはウチが気に入ったらしく、翌日にはそのNPCは友人達を連れて遊びに来た。結局そいつらの影響もありそこそこに常連もできたんだが、常連の8割がNPCってどういうこっちゃ。
「ごめんくださ~い」
なんて思いにふけっていると入口から声が聞こえてきた。そちらを見ると初期装備でいかにも『ゲーム始めたてですv(・ω<)☆キャピッ』みたいな装備の男が入ってきた。
「いらっしゃい。」
あまり接客は得意ではないがどんな装備だろうが、どんな性別だろうが迷惑でない奴以外はみんな客だ。無碍にはできん。ってむこうさんは俺がいたことに気づいてなかったのか? こっちみてびっくりしてるんだが…
「すみません。気付かなくてビックリしちゃいました。外の暖簾みて入ってきたんですけど、ここって銭湯なんですか?」
本当に気付いていなかったのか。まぁいいさ、紹介くらいしておこうかね。
「ああ、『VR銭湯 あざみ』へようこそ。」
次回「やっぱり銭湯には牛乳だろ!」
更新は未定也