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脚本家もどきの日常。  作者: まめたろう
9/13

09 とりあえず、な演劇部。

「とりあえず、話を続けます。」

僕はこう言って、また語り始めた。


* * *


彼女が団子屋の青年を見続けて1年程経ちました。

彼女は、日に日に彼に惚れていきました。

しかし、時間も着々と過ぎていきました。


彼女は15歳になろうとしていました。

あと1ヶ月で、誕生日という所まで来てしまいました。

「ああ、私はあと一月で、あの方とお別れをしなくてはならないのね。」

彼女は毎日泣きました。

おねはどうすることも出来ません。

「申し訳ありません、姫様。」

「別にあなたのせいじゃないのよ、あなたが泣く必要はないのよ。」

「しかし、姫様…」

2人は一緒になって毎日泣きました。


とうとう、1週間前になってしまいました。

彼女はおねと共に、団子屋に行きました。

結婚をする前に、彼の顔を近くで見ておきたかったからです。


彼女は団子屋に入りました。

そして、彼女は彼に妻子がいる事を知りました。


激しい嫉妬に燃えた彼女は、ある手紙を書きました。


『果たし状 満月の夜、店の前にて』


次の満月の夜は、誕生日の前日でした。


そして彼女は満月の夜、彼女はこっそりと屋敷を抜け出しました。

彼女の脱出に気付いたおねは、

「姫様、危険です。お止めください。姫様、姫様!」

と諭しました。

しかし彼女は、

「うるさいわ!」

と言って、おねの上に短刀を振りかざしました。

自分の最期を悟ったおねは、

「姫様…お元気で…。」

と呟きました。

一言呟いたかと思うとそのまま冷たくなっていくおねを横目に、彼女は走り始めました。

他にも気付いた者はいたのですが毒を飲まされたり、短刀で切りつけられたり、と誰一人声を上げる事は出来ませんでした。


こうして彼女は、店の前までやって来ました。

青年は、自身を呼び出した人間が、姫君であった事に驚きました。


「そう謙遜するでない。今まで団子を届けてくれた礼じゃ。」

姫は不思議な団子の様な、大きな丸いものを青年に渡しました。

「南蛮渡来の団子じゃ。食べてみるがよい。」

彼は不思議に思いましたが、食べてみる事にしました。

一口食べた途端、彼は不思議な感覚に包まれていくのを感じました。

そのまま彼は倒れました。

「これで彼は永遠に私と一緒…。」

姫は彼が食べかけた団子を一口かじり、彼の上に覆い被さる様に倒れました。



彼女は黒い笑顔を浮かべたまま不思議な感覚に包まれていくのでした。


『愛よ永遠《とわ》に』


薄れる意識の中、血で赤く染まった手で彼女はこう書きました。


こうして世にも恐ろしい愛の物語は終結を迎えました。


* * *


…と、こんな感じなんですけど…。

「怖い!怖いよ、羽島君!」

綾瀬先輩は、こう話した。

「期待は裏切られたけど、怖すぎだよ!?」


他にも色々意見はあったけど、とりあえずこんな感じでいいことになった。


よかった。今朝書きかけの小説探しといて。

…本当は、これは小説として書きかけてた話だった。

だけど、今朝不吉なメールを受信してから、急いでちょっとリメイクしたのだ。

これでボロボロに言われてたら、僕は軽く死んでいたかもしれない…。



ミーティングが済んだ。

場面練習が始まった。

僕は、特別活動室で詳しい執筆をすることになった。

ようやく一人で落ち着ける、そう思った。

浮いた足取りで教室へ行くと…


加藤さんと【椅子に腰掛けている少年】君


がいた。


「遅いです、羽島先輩。」


え、意味がわかんないんですけど…。


「今から衣装のイメージ聞くんで、教えてください。」


はあ!?


「羽島先輩、全然『ゆるーい学園もの』じゃなかったじゃないですか!」


え!?


「これ絶対衣装費高くつくじゃないですか!」


「僕ちょっと期待してたのに…少女漫画的展開…。」


ちょ、ちょっと待て二人とも!!


「着物、皆の家にあればいいけど…。あとあんた少女漫画的展開期待するな。真面目にキモいから。男子のくせに。」


「何それ。男子だから少女漫画的展開期待しちゃ駄目、ってこと?男女差別じゃん!!」


バシッ


「あ、ああ…。教科書の角で叩くのは止めて…。」


「アホ。台本書いてる先輩が男だから、って話。少女漫画的展開は書きにくいでしょ、流石に…。」


…いや、普段、僕、少女漫画的展開書きまくってるんですけど…


「でも、そんなことないかもしれないじゃん!!」


「でも、書いてたらちょっと引くでしょ?」


「…確かに。」


よし、黙っていよう。


「でもやっぱり少女漫画的展開欲しかった!壁ドン!壁ドン!」


…自由だな、ここは。


「先輩も何か言ってくださいよ、このもやしに!」


…いや、僕何も言えないんで…。


「…そうでしたね、そういえば先輩は猿でしたもんね…。」


…すみませんね、所詮猿は猿なんですよ。

というか、君らここにいていいの?




「…所で、そっちの彼の名前、聞いてもいいかな。」

「あ!すみません。申し遅れました。上原翔太です。翔太で構いません。」

「じゃあよろしくね、翔太。」



とにかく、とりあえずベースは出来た。

ちょっとずつ、これから進めていこう。

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