07 演劇部はカオスで不思議で怖い。
…僕は憂鬱な気分で歩いていた。
って、一話目の書き始めじゃん!
…まあ、本当の話なんだけど。
事の発端は今朝、メールが来たことからはじまった。
綾瀬先輩からだった。
それは実に不吉なメールだった…。
From: 綾瀬なつみ
Sub: おはよー\(・o・)/
昨日はごめんね。
愛結から聞いたよ、随分親切にしてもらった、って。
私も昨日はお礼が言えなくてごめんね。ありがとう。
せっかく遊びに来てくれたのに、活動を見れなかったよね…。本当にごめんね。
もし今日も暇なら、来ない?
台本見損ねちゃったし笑笑
台本見せてねー(^_^)v
…すっかり忘れていた。
一時は用事がある、といってすっぽかそうかと思った。
だけど、敵はすぐ側にいた。
山森さんという存在があることを、僕は忘れていた。
朝一番、開口一番、「今日も講堂来るよね!!」
仕方がなく、僕は今、講堂に向かっている、という始末である。
そうこうしているうちに、講堂に着いてしまった。
はぁ…。
重い気分で入っていった僕は、中の異常さに驚いた。
ナンダコノジョウキョウハ
…中は恐ろしいほどカオスだった。
片隅では女子が筋トレをしていて(!)、
反対側では綾瀬先輩たち平均台で遊んでいて(何してるんですか部長!!)、
あるところでは長屋先輩が踊っていて(…!)、
また別の所では溝口が男子にメイクしていて(……!!!!)、
その横では加藤さんが男子にフリフリのドレスを着せていた(………!!!!!!!!)。
僕は今、夢を見ているのか?
頬をつねる。
痛い。
ビンタしてみる。
痛い。
痛い。
夢じゃない。
じゃあ、
「何なんだここは…」
「…演劇部ですけど。」
女子の至って真面目でまともで冷たい声が帰ってきた。
「そこ、入り口なんで。邪魔です。」
あ、ああ。すいません。
って、あ!
「加藤さん、大丈夫だった?」
「おかげさまで。」
よかった…
「大したことなかったのに、なつみ先輩が先輩呼ぶから、一晩寝たら治りました。」
…別に、毒舌は治さなくてよかったんだけどな。
なんでだろう。
感謝されてるのに、嬉しくない。
僕に気付いたなつみ先輩が駆けよって来た。
「昨日はごめんね、羽島君。あと、愛結は照れてるだけだから、嬉しくないなんて言わないであげてー。」
「な、なつみ先輩!?何を言うんですか!?」
ものすごい勢いで加藤さんが反応した。
…この子はツンデレか。
僕は脳内で加藤さん攻略プランを立て始めた。
この子の毒舌を崩すには…
「何変なこと考えてるのよ!!」
バシッ!
痛ッ!
誰!?
振り返ると、山森さんがいた。
手には、固そうなバインダーを持っていた。
どうやらこれで叩かれたらしい。
「かわいい後輩虐めたら許さないからね!!」
山森さんは加藤さんを庇うように抱き締めた。
…前から思ってたけど、山森さんって、GLの気があるんじゃ…
バシッ!
痛ッ!
何!?
「また変なこと考えてたら叩くからね!!あと、女子が女子に抱きつくのは普通だから!!」
え、そうなの!?
加藤さんを見る。
頷かれる。
綾瀬先輩を見る。
頷かれる。
…女子って不思議…。
あ!そういえば!
「今日は何でこんなカオスになってるんですか?」
「あー、これ?いつものことだよ?」
いやいや、なつみ先輩。答えになってませんよ!?
…それより、何で平均台で遊んでたり、男子がフリフリドレス着てたりするんですか!?
「平均台は練習。フリフリドレスは試着。」
だから!答えになってないんですって!
「…今度は男子がフリルのドレス着るようなやつやるの!」
山森さんが呆れて答える。
……それ、どんな話だよ。
「物分かりの悪い猿ですね。」
加藤さん、毒舌要らない!
てか、地味に侮辱してない!?
いじめだぁー!
僕の方が年上なのに!
年上は敬うべきじゃないの!?
「では先輩は、物分かりの悪い猿を敬え、と言うのですか?先輩は猿を敬う事が出来ると言うのですか?」
…いや、それは…。
言葉を失う僕。
それを見て嘲笑う様に
「そうでしょう?でしたら、ご自身の言動にもお気をつけてください。」
…はい。
…でも、だけど…!!
「本当、煩い猿(笑)」
ちょっと、山森さん!!
山森さんまで、Sキャラに目覚めないで!!
あと、最後の(笑)って、何!?
「ほら見ろ!羽島ハーレ…」
バシッ!
いつの間にか溝口がしゃしゃり出て山森さんに叩かれてた。
「おい。今、何つった?」
山森さん、怖いッ!
何て言った?が何つった?になってる!
…多分ハーレムって言おうとして…
ギロッ
わああああ!
ごめんなさい、何も言ってません!何も言ってませんから睨まないで!
そんな僕に気付かず、謝罪を続ける溝口。
「す、すみませんでした…。」
「あ゛あ゛!?」
「ごめんなさいッ!」
遂に溝口は?Japanese土下座style″を繰り出した!
しかし、美奈子の怒りは治まらない!
「本当、真面目にすいませんでした!」
溝口は最終兵器?貴女の犬になりますからどうかお許しを女神様″を繰り出した!
…またテンション壊れた。
…それにしても、最終兵器名前長すぎる…。
それでもまだ怒りが治まらない彼女は一体…?
…山森さんって怖いなぁ。
怒らせない様にしないと…。
…溝口、犠牲になってくれてありがとう。勉強になりました。
捕まると怖い、って、こういうことだったんだね…。




