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脚本家もどきの日常。  作者: まめたろう
13/13

13 演劇部の1年生。

僕が執筆を始めようとした時だった。


【椅子に腰かけた少年】君、じゃなかった、翔太が声をかけてきた。


「先輩はどうして台本を書こうと思ったんですか?」

「山森さんに頼まれたからね。」

「それだけですか?」

「それだけだよ?」


…正確にはそれだけじゃないんだけど。


「本当ですかー?」

翔太の目が怪しむように光る。

「うん、それがどうかした?」

「俺、てっきり羽島先輩は美奈子先輩に惚れてるのかと。」


ぶっ!?


僕は息を盛大に吹き出した。

もし今、僕の口の中にお茶があったら、完全にアウトだった。


「先輩、赤くなってますよー。」

う、うるさい!

ちょっとびっくりしただけだって!

「もう、そんなこと言ったってバレバレですよー?」

いや、そんなことはない!

女子に頼まれたことがないから調子に乗っただけ!

…とは言えないし…。

「先輩、耳まで赤くなっちゃって…。そんなに好きなんですかー?」

いや、だから…


「仕方ないじゃん、猿なんだから。顔赤いのは当然じゃない?」

思わぬところで助け舟(!?)が入った。


加藤さん、助けてくれて嬉しいんだけど、その一言は翔太にも効くけど、僕の心にも深く刺さるものがあるよ…。


「別に私、助けたつもりありませんから。」

ぴしゃり。

しょぼん。

「じゃあ、先輩は誰か好きな人いないんですかー?」

「いない。」

「真顔で即答!?」

「先輩嘘でしょ!?」

いや、本当なんだけど。

それよりも、翔太より加藤さんの突っ込みのが速かったような…


ってことは…僕そんなに異常!?


「だって先輩!?」

「まあ、仕方ないんじゃない?」

あれ、加藤さん?

「だって、所詮猿でしょ?」

え、何を言っているのかな?

「あ、そうか!所詮は猿か!」


…なんかあまりよくない方向に話が進んでいるような気がするのは僕だけ?


「え、僕、猿じゃないけど?」

「じゃあ好きな人のひとりやふたり、いてもおかしくないですよねー?」


やばい、こういう時の女子は苦手だ。

確実に獲物を捉える肉食獣の眼になってる。

に、逃げなきゃ…。


「逃がしませんよ?」


僕の心を読んだかのように肉食獣は宣言した。

やっぱり、加藤さん小動物じゃないじゃん!

肉食獣じゃん!

しかもライオンとかチーターとかの大型獣!

小柄で小動物みたいで可愛い?

見かけはね!見かけは!

ああ、僕、なんてことを言ってたんだろう…。


てかそんなこと言ってる場合じゃないじゃん!

逃げなきゃまずいじゃん!

やばいよ、確実にやばい。

頭の中であの有名なリアクション芸人D川T朗が降臨した。

今降臨しなくていいよー!!!

てか、来ないでよー!!!

今、僕は肉食獣に襲われている小動物なんだからー!!!

お、お、お、お帰りくださいっ…!!!!


…あれ、加藤さん、顔真っ赤…。

「誰が肉食獣なんですかねー?」

…え、もしかして地雷踏んだ?

「…先輩こういうカンだけ当たってる…」

え、翔太、これってや…

「翔太、先輩(それ)捕まえて。」

「は、はい!」


* * *


翔太に謝られながら椅子まで連行された僕は、女子の怖さを垣間見ている。


「羽島先輩?」

は、はい。

「今、何と仰られました?」

あ、えと…。

「ご自身のお言葉をお忘れになられたのですか?」

あ、あれは、あの、一つの喩えと言いますか… 言葉遊びといい… ひいっ!

「ふざけるのもいい加減になさってください?」

はははは、はいっ!

「では、私に対してなんと仰られたのか、もう一度お話頂けますよね?」

「あ、それは、その…」

《ヤバイよヤバイよ、マジでヤバイよ!ヤバイよヤバイよ、マジでヤバイよ!》

ああっ!

なんでまたD川が脳内で暴走するかな…

「今何と?」

まずい、僕は無意識のうちに、ヤバイよヤバイよ…、って言っていたらしい。

こ、殺され…

バコッ

痛ッ!

あ、それは…

山森さんのバインダー!

「羽島先輩に変なこと言われたらこれで叩け、って美奈子先輩に言われていたので。」

…山森さん、何教えてるの。

てか知ってる?

それ何気に痛いんだよ、けっこう…。

「ええ、知っていますよ。」

「俺で試したもんね…」

怨みのこもった目を向ける翔太。

…あ、乙です。

「先輩、謝罪しなかった罰として、コンビニスイーツ奢ってください!」

はへ!?

えと、それは、一体どういう…

「早いうちに折れるに越したことはないですよ。」

翔太がそっと耳打ちする。

僕は3秒間脳内で考えた。


《…今までの感じでいくと、翔太のアドバイスには従った方がいい。》


「…わかった。今日帰りにコンビニ寄るから。」

「じゃあ、駅の近くのコンビニに行こー!ね、いいでしょ?」

…どうした、キャラが急に変わりすぎではないか?

「こいつに甘いものを与えると、急激に幼くなるんです。」

…加藤さんの変化についていけないのは僕だけだろうか。

「いいでしょ?ねぇー?」

「早く返事してください!後々面倒なんで!」

「だめなの?ねぇー。愛結、泣いちゃうよ?」

「先輩、早く!」

「…いいよ、じゃあ駅の近くのコンビニね。」

「うん!」

…どうやらギリギリセーフだったらしい。

加藤さんは満面の笑みを浮かべ、翔太はやれやれ、と言わんばかりの顔をしている。

それにしても、あのまま無視したら何が起こったのだろうか。

…少し気になるが、聞かないでおこう。



…それよりも、僕はまだ演劇部(ここ)に来て数日にしかならないはずなのに、疲労感がハンパないのだが。

ずっと思ってたんだが、演劇部の面子はキャラが濃すぎではないか?

僕の体力は日に日に削られていくのだが…。

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