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脚本家もどきの日常。  作者: まめたろう
11/13

11 傍観者と演劇部の過去と現在。

俺がかなり事実を受け入れた時だった。

未だに事実を受け入れる事が出来ない奴がいた。

あいつだ。


「何で…ッ、先輩が…ッ、何で…ッ!!」

いつまでも泣いていた。

最初は普通に活動していても、途中から必ず泣いてしまう。

正直、面倒な奴だ、と思った。



ある時、思い詰めた彼女は、

「先生!高等部は廃部で中等部は継続、って、納得がいきません!いっそのこと、先輩たちと一緒に廃部にしてください。」

と訴えた。

マダムは戸惑って何も言えずにいた。

その時だった。

佐竹先輩が彼女に近づいたかと思うと、

パシッ

軽い音が響いた。

先輩がビンタした。

先輩は、

「お前、ふざけてんの?俺らはもう後がないの。お前らはまだ未来があるの。未来がある奴が、未来がない奴を可哀想ぶってそんなこと言ってるのが一番ムカつく。」一呼吸おいて、

「お前はそんなこと言ったら駄目なの。」

と優しく諭し、そのまま帰っていってしまった。




そして、そのまま帰らぬ人になってしまった。




俺らは翌日、先輩が事故に遭った事を知った。

病院へ駆けつけたけど、先輩は旅立った後だった。

先輩は旅立つ直前、こんなメモを残していた。


* * *


昨日はキツいこと言ってごめん。高等部は廃部。それが現実。受け入れてくれ。

でも中等部は活動出来るんだ。今までの様に、お客様に楽しんで頂ける舞台を作っていけば大丈夫。

つまづいても、みんなが何とかしてくれるから。部長の綾瀬はしっかりしてるから。きっと大丈夫。

俺の望みは、中等部が高等部を復活させてくれること。マダムが何とか話つけてくれると思うから、頑張れよ。

そして、もう1回俺をあの場所に立たせてくれ。後輩にプレッシャーをかけてしまってすまないとは思う。でも、お願いだ。

いや、お願いします。


* * *


彼女は泣いていた。

別に、彼女のせいではない。

だけど涙が止まらない様だった。

見ている俺も辛かった。

その場にいた全員が涙を流した。



先輩は、自分の死期を悟っていたのだろうか。

いや、それなら、舞台に立てない事は分かっている。


先輩の謎めいたメモは、俺らの原動力になっていった。



その後、元部長たちは、演劇部から姿を消した。

それに伴って、俺らの活動場所も、高等部の講堂から中等部の講堂に変わった。

…狭くなったな。



俺らの目標は「高等部の部活動に演劇部を復活させる」。

そのためにマダムが取り付けてきた約束は、

《実績を残す》

といったありふれたものだった。

しかし、条件が厳しかった。

理事長は、

「大きな大会で、完全オリジナルの劇で優勝する事が出来たら復活を検討しよう。」

と言ったらしい。

無謀なチャレンジだった。

俺らが優勝したことはないし、完全オリジナルの劇もやった事がない。

最初のうちは、みんな躍起になって、頑張って書いていた。

しかし、だんだんと実力の限界が見えてきた。

1人2人…と書くのを止めていった。

俺も止めた。

それでもただ1人、彼女は止めなかった。


それでも、限界はあった。


限界を迎えた彼女は、誰かに代理で書いてもらおう、と言い始めた。

ツテはあるから、と。

みんな半信半疑で話を聞いていた。



そんなある日だった。

興奮した面持ちで彼女は部長に何かを話していた。


翌日、同級生の男子がいた。名前は、確か、羽島。



…溝口によると、彼女が連れてきたらしい。

何でも、彼は作家先生なんだとか。



彼が作家だとは思わなかった。

それに、正直、俺は彼を信用していない。だって、軟弱で早速パシられてるし、第一に、小説が書けても台本が書けるとは限らない。


しかし、これで俺らの夢が一歩実現に近づいた事に変わりはない。

…作家先生の実力を見せて頂こうじゃないか。



俺らの目標は、羽島、お前にかかっている。

…頼んだぞ、羽島。

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