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脚本家もどきの日常。  作者: まめたろう
1/13

01 僕が脚本家もどきになるまで。

僕は憂鬱な気分で歩いていた。


僕は新米作家だ。

と、言っても、同人誌の上でのみ活動している売れない作家だが。

一年前、遊びに半分で投稿した小説が小さな賞を取ってしまったのだ。

それ以来、ちまちまとではあるが活動している。


この一年間、僕はこの事実をひたすらに隠してきた。

面倒なことに巻き込まれるのが嫌だから、必死に隠してきた。

だから、一部の友達にしか知られていない。


しかし、意外な所から情報は漏れていたようだ。


事の始まりは、僅か数分前である。

HRが終わり、僕が帰ろうとしたときだった。同じクラスの女子が話しかけてきた。

「羽島君、ちょっといい?」

「あ、うん…。」

彼女の名前は何だっけ…?

「えっと…山森さん?僕に、何の用かな?」

「…あのさ、これって、羽島君だよね…?」

彼女は一枚の紙を差し出した。

「…え!?」

そこには、真顔の僕がいた。


彼女が持っていたのは、僕の取った賞の発表記事のプリントアウトだった。

世間的にもたいして有名でないものだったので、僕は油断していた。それに、もう一年たったから、と安心していた。

しかし、油断できなかった。

しかも、写真を撮られていたなんて…。今の今まで知らなかった…。


「…ねぇ、これどこで見つけたの?」

「父の捨てた雑紙のなかに混じってたの。」

彼女の説明によると、彼女の父親は出版社に勤めていて、文学関係の話には詳しいらしい。

…全く、僕には迷惑な話である。

「それでね、羽島君にお願いがあるの。」

「え、何…?」

「私、演劇部で活動してるんだけど、今度やる劇の台本を書いてもらえないかな…?」

「ええ!?」

「今度の舞台で、オリジナルの劇をやりたいの。お願い、私たちを助けると思って…」

「そう言われても…」

僕の都合だってあるし、そんなに都合よく書けるかな…。

第一、僕が書くのは小説だ。台本ではない。

小説とはわけが違う。

「お願い、羽島君にしか頼めないの…。」

ズッキューン!!

そんな風に言われたら、僕断れないじゃないですか!

「…わかったよ。考えてみる。」

「本当!?ありがとう!」


―と、いった感じである。

しかし、僕も馬鹿だと思う。

あっさりと山森さんに負けてしまったのだから。

でも、今までこんな風に頼られたことないんだから、仕方ないか。

彼女いない歴=年齢だもん。

所詮、僕は負ける運命なのだから。

…しかし、テーマも決まっていないとは…。


本当に僕、大丈夫かなぁ…。

大変なことに巻き込まれてしまった気がする。


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